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テーマ : 森町

祭り屋台撮って50年 病に負けず集大成写真展 森町の岩本雅志さん「地域の誇り見てほしい」

 ライフワークとして50年以上、県内各地の「祭り屋台」を1人で撮影し続けてきた岩本雅志さん(85)=森町=が、集大成となる写真展を12日から10月1日まで、森町文化会館で開く。展示する写真に納まる屋台は1838台。「地域それぞれの誇りを見てほしい」。写真展の成功のため、突如襲ってきた病にも負けず、日々リハビリに励みながら病室から家族に指示を出して準備を進めてきた。

写真展の準備が進められる森町の岩本雅志さん宅
写真展の準備が進められる森町の岩本雅志さん宅
集大成となる写真展の成功に向け、入院中の病院でリハビリに励む岩本雅志さん(右)=9月上旬、掛川市内
集大成となる写真展の成功に向け、入院中の病院でリハビリに励む岩本雅志さん(右)=9月上旬、掛川市内
写真展の準備が進められる森町の岩本雅志さん宅
集大成となる写真展の成功に向け、入院中の病院でリハビリに励む岩本雅志さん(右)=9月上旬、掛川市内

 屋台写真を撮り始めたのは、30歳を過ぎたころ。森町の小学校教員時代に、児童たちの姿を撮るために買ったカメラが壮大な「屋台写真人生」のきっかけを作った。「地域一丸で屋台を引く人たちの顔は本当に生き生きしている。日本っていいなと感動した」。祭りの日に人々が引き回す屋台を撮ることにのめり込んだ。
 展示会を開き始めたころ、見に来る人たちが自身の地元の屋台を探し、展示が無いと残念そうに帰って行くことに気付いた。「どんな形、大きさでも屋台は地元の誇り。1台も逃すわけにはいかない」。岩本さんが50年以上、県内各地を歩き回って1800超の屋台を撮り続けたのは、森町に生まれ、屋台の偉大さを知っているからこそ湧いた使命感だった。
 しかし、突き動かされるように屋台を追い続けてきた岩本さんの体も、年齢とともに悲鳴を上げた。3年ほど前、集大成となる写真展を開くことを決め、準備を進めてきたが今年7月、原因不明の病に倒れ入院。一時は話すことすらつらい状態だったが、写真展に足を運びたいという思いが岩本さんの原動力に。力を振り絞りリハビリを続けた。
 指示を受けて準備を手伝う長女の岩川誓子さん(54)も「写真展が近づいて佳境に入るにつれてどんどん元気になって」と回復ぶりに驚く。岩本さんの強い意志と、医師や家族のサポートもあり、11日に退院し、12日の開幕日には会場に出席できる予定だ。
 「屋台は住民のまとまりの象徴。地域を盛り上げるために団結しようとする姿を収めてきた」と岩本さんはしみじみ振り返る。「多くの人が見に来て、地元の誇りやふるさととのつながりを思い出してくれたらうれしい」とほほ笑んだ。
 (袋井支局・北井寛人)

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