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テーマ : 森町

安倍川本流・フライ 最後に良型アマゴ 増水でポイント選び苦戦【魚影を追って】

 昨年9月の台風15号は中部地区を中心に県内河川の釣り環境に大きな打撃を与え、その影響はいまだに尾を引いている。興津川漁協の前沢元次組合長が「雨に対する回復力が極めて低下している」と語るように、いったん雨が降るとなかなか濁りが取れない。

フライに出た良型のアマゴ
フライに出た良型のアマゴ
安倍川本流・フライ 使用したタックル
安倍川本流・フライ 使用したタックル
フライに出た良型のアマゴ
安倍川本流・フライ 使用したタックル

 まさに雨の後で特に本流は厳しい状況だったが、フライロッドをせいせい振りたいと思い、5月末、静岡市の安倍川本流の上流部に向かって車を走らせた。増水の川でポイント選びに苦戦したが、ラストチャンスで良型のアマゴを手にすることができた。
 どこまで上ったら釣りができるだろうか。時々車を止め、川をのぞき込む。灰色の流れが少しずつ澄み始め、水量、濁りともに何とか竿を出せそうな場所までやってきた。「よし、ここから」と決めて支度を始める。
 本流にこだわったもう一つの理由は、手に入れたばかりの6フィート8インチ、4番のバンブーロッドをしっかりラインを出して振りたかったからだ。6X9フィートのリーダーに同じく6Xのティペットを4フィートほど足し、フライはまずアピール度が高いライツロイヤルの14番を結んだ。
 川の流芯は激流の様相で、ドライは難しそう。ポイントを岸寄りの緩い流れに絞り、フライを丁寧に流す。
 バンブーロッドをゆったりとしたリズムで振るのは、やはり気持ちいい。パワーの乗ったラインが、真っ直ぐ伸びていく。トルクのあるショートロッドだと感じた。
 フライには時折、魚が飛び出してくるが、小型ばかり。気が付けば、かなりの距離を釣り上がっていた。川も平たんな流れから、少しずつ落差が出てきた。岩も増え、変化のある渓相になってきた。だが「いかにも」というポイントを流しても、魚は出てこない。
 この竿のデビュー戦はここまでかと思った時だった。2カ所から細い流れ込みがある小さな淵。鏡状の水面にフライを落とすと、思いがけず黒い影が浮上して、様子をうかがうように戻っていった。まずまずのサイズのようだ。
 再度投じると、魚はフライの直前でUターン。まさか出ないだろうと思ったが、もう一度振り込むと、明確な意志を持つかのように魚が真っ直ぐフライに向かい、くわえた。まさに三度目の正直。意表をつかれたが、早合わせは避けられた。これも、重みがある竹竿のおかげか。
 魚はグイグイと下に向かって突っ込む。竹竿は魚の動きへの食い付きも良く、無理なくパワーを吸収してくれる。勝負はついた。ネットに収まったアマゴは25センチ級。なかなかの面構えだ。魚を流れに戻した後、竿に目をやりながら「いい仕事をしたな」とつぶやいた。
 本流は当分、濁りが取れにくい状況が続きそうだ。特にアユ釣りは厳しいだろう。森町の太田川漁協は濁りの長期化などを理由に、アユ釣りをはじめとする今年の遊漁事業の中止を決めている。
 釣りを終えて下流に向かうと、再び濁流の川が目に飛び込んできた。
 安倍・藁科川水系に関する問い合わせは、安倍藁科川漁協<電054(272)3111>へ。
 (K)

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