天竜支局 平野慧
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“お山の暮らし”魅力発信 水窪の夫妻企画 27日浜松市天竜区二俣で「結の市」
浜松市天竜区水窪町在住の手塚崇貴さん・めぐみさん夫妻が運営する「スタジオMUSUBI(むすび)」が27日午前10時~午後3時、催し「天竜マルシェ結の市」を同区二俣町の商業施設「森のマルシェきころ」で開く。近隣地域や川根本町などから、自然由来の雑貨や地元産食材を扱うカフェなど16事業者が出店して“お山の暮らし”の良さを紹介する。 米粉の菓子や染め物、雑穀などのブースが並ぶ。同区二俣町の「アトリエいもほり」がルームフレグランスの作り方を、地域おこしを担う浜松山里いきいき応援隊の平野健寿さんが世界の木製玩具を紹介するワークショップをそれぞれ行う。手塚さん夫妻が中心となって
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乾燥シイタケ品質安定 浜松・天竜区で入札会 販売量は最少水準
浜松市天竜区山東のJA遠州中央光明農産物集出荷場でこのほど、乾燥シイタケの入札が行われた。近隣市町の生産者が搬入し、豊かな香りや味わいの品物を求める業者が評価していった。販売量は2~3月の天候不順やサル、シカなどによる食害の影響で429キロと過去最少水準だった。 ビニール袋に入った乾燥シイタケが会場に並び、買い付け人が手に取り、形状や色合いを確認して希望価格を決めた。取引の平均価格は前年より600円ほど高い5352円だった。 同区や森町、磐田市は県西部有数の原木シイタケの産地。同JA天竜営農センターの担当者は「今年は広域でサルなどによる被害が出た。品質は総じて安定している」と話した。
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シカ肉おにぎりや丸焼き、売り切れ続出 天竜でジビエイベント
浜松市天竜区二俣町の商業施設「森のマルシェきころ」で21日、ジビエ(野生鳥獣肉)や里山の自然の魅力を伝える催し「天竜ジビエフェス」があった。来場者でにぎわい、飲食のブースで売り切れが続出した。 天竜高生が考案したシカ肉そぼろと地元産のみそを使ったおにぎりやシカの丸焼きなどが好評だった。セミナーも開かれ、同区春野町のジビエ加工施設「ジビエ工房ジミート」や皮革加工の取り組みなどを実践例に基づいて伝えた。眼鏡用品製造の栄商会(同市中央区)が皮革製品を、自動車部品製造を中心とするソミックマネージメントホールディングス(磐田市)がヒノキの間伐材から作るオイルやキャンプ用品をそれぞれPRするなど製造業
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記者コラム「清流」 空き家利活用のあり方
空き家を改修して移り住んだり、店舗として活用したりする人に出会う機会が増えた。浜松市内にある築50年以上の古民家を訪ねると壁紙や床板、水回りが新たになり、旅館のような雰囲気を演出していた。所有者の30代男性は「費用は新築の半分以下。自前で改修を繰り返し、住みやすい空間としたい」と話す。 日本経済が右肩上がりの時代に建てられた家屋や賃貸住宅が時を経て、地域や子孫が悩む要因となっている。空き家増加を抑制するための新法が昨年施行され、管理や相続への関心は高まると予想される。 市内の不動産業者は「古民家として再販できる家屋は一握りに過ぎない。特に中山間地は厳しい」と明かす。空き家の管理が行き届か
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静岡人インタビュー「この人」 ジビエ産業振興で地域活性化に挑む 高林麻里さん(浜松市天竜区)
浜松市天竜区春野町杉で2022年から、野生鳥獣肉(ジビエ)加工施設「ジビエ工房ジミート」を営む。異業種との連携を盛んにし、産業の裾野拡大や地域活性化に挑む。44歳。 -ジビエに関心を持ったきっかけは。 「地域の食材を扱う料理店をめぐる団体の活動で、ジビエの魅力を知った。耕作放棄地の増加などを要因にシカの生息圏は広がっており、農家に及ぼす食害の深刻さを痛感した。担い手の高齢化などで閉鎖を余儀なくされた工場を再開させ、食肉の需要を広げることで森林環境保全に貢献できればと考えた」 -活動に賛同してくれる事業者が増えた。 「地域で活動する猟師の理解を得て、シカの個体の提供を受けている。販売面
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「御詠歌」を唱え仏教に親しむ 浜松・浜名区 泉蔵寺で花まつり
浜松市浜名区上島の泉蔵寺の本堂でこのほど、花まつりの法要が営まれた。地域住民らが参加し、仏の教えにメロディーをつけた「御詠歌」を唱えるなど仏教の伝統に親しんだ。 花まつりは釈迦(しゃか)の誕生日を祝う法会。参加者は、誕生仏の像に小さなひしゃくで甘茶をかけて祈りをささげる儀式も行った。市内などで活動するクロマチックハーモニカの愛好家グループによる演奏も行われ、にぎわった。
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北遠の春満喫ハイキング 浜松の水窪・龍山で林道散策や山菜摘み
春の陽気が続く浜松市天竜区各地で14日、登山やハイキングの催しがあった。静岡県内外から来訪した行楽客が鮮やかな緑色の若葉や山菜、花に囲まれながら散策を楽しんだ。 同区水窪町のNPO法人山に生きる会(坂本貞夫理事長)は恒例の「山開き」のイベントを、国道152号草木トンネル北側の「山の駅」付近で行った。参加した約40人は安全祈願の神事で祈りをささげた後、林道に沿って散策した。 約1時間半歩いてゼンマイやタラの芽といった山菜を摘み取り、山からの眺望を楽しんだ。交流施設「田楽の里」で山菜を天ぷらに調理し、香り高い春の味覚を堪能した。 同区龍山町で地場産品の販売や加工を手がけるグループ「ドラゴン
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記者コラム「清流」 新茶生産を控えて
浜松市天竜区内各地で新茶の生育への関心が高まっている。生産者の高齢化や価格低迷といった課題を抱えるが、地域の主要農産物としての地位を保つ。 静岡茶市場の新茶初取引が史上最速となる12日に行われた。区内の盛期は今月下旬から5月以降となる。ある農家は「収穫時期が後になると、新茶商戦のムードに乗り遅れてしまう」と懸念する。 地域では近年、伝統的な煎茶作りに加え、抹茶原料の碾茶(てんちゃ)や紅茶などの生産に挑む農家の動きがある。春野町の60代農家男性は「時代が変わってもお客さんに必要とされるお茶を作るだけ。旬の時期の新茶が売れないなら、他の販売手段を考えれば良い」と前向きだ。試行錯誤の先に明るい
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碾茶炉増設、来春稼働へ 天竜の農事組合法人 処理能力4割増 県産抹茶 海外需要下支えに
浜松市天竜区の農事組合法人「天竜愛倶里ふぁーむ」は今年、抹茶原料となる碾茶(てんちゃ)工場の設備を増設する。来年春に稼働予定で、処理能力4割増を見込む。県西部一円の農家から茶葉を集め、安定品質で生産する仕組みを構築していて、輸出ニーズが高まる県内産抹茶の生産を下支えする。 今年秋から熱で茶葉を乾燥させるレンガ造りの碾茶炉などを整え、生葉の年間処理能力を130トンから183トンに引き上げる。総事業費は約1億円で、半額分国の補助を受ける。 工場には同区春野町や袋井、掛川など広域から生葉が寄せられ、碾茶に加工して製茶問屋に出荷。問屋が抹茶に仕上げて各地に販売する。各茶園で使う肥料や栽培法の指導
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天竜川ダム再編工事推進 国交省、磐田に新事務所
国土交通省は8日、天竜川ダム再編事業に向けて磐田市上野部に新設した工事事務所の開所式を開いた。洪水被害や海岸浸食の抑制を目的に2009年から続く工事の推進を図る。 再編事業では佐久間ダム(浜松市天竜区)に新たに洪水調整容量を設け、放流設備を増設する。上流域の大雨時に水をダムにためることで、下流の洪水量減少につなげる。 ダムに土砂が堆積し、遠州灘海岸への供給が減っている状況に対応するため、ダム下流に集積拠点を構築する。ベルトコンベヤーで運ばれてくるダム湖の土砂を集め、放流水で河川に流す仕組みをつくる。 佐久間ダムは1956年、日本有数規模の利水ダムとして完成し、総貯水容量は3億2600万
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一番茶生産向け決意 天竜茶振興協が総代会
静岡県西部で今月下旬以降、一番茶生産が本格化する。山間部で香り高い茶を作る浜松市天竜区では8日、天竜茶振興協会(事務局・JA遠州中央)の総代会が開かれ、関係者が新茶期に向けて決意を新たにした。各産地では、11月に同市で初開催される全国お茶まつりに向けた準備も進む。 総代会では、消費拡大に向けた催事出店や有機栽培普及などを盛り込んだ新年度事業計画を決定した。昨今は肥料代や製茶工程で必要となる重油代の高騰が茶工場の収益を圧迫する状況が続き、農家の高齢化も課題となっている。平賀義行会長は「茶園を新たに造成するなど前向きな動きもある。厳しい状況が続くが、順調に生育して生産現場にとって良い新茶期とな
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「てんぐ市」初開催 桜の下にぎわう 浜松市天竜区春野 「ten具汁」など人気
浜松市天竜区春野町堀之内の地場産品直販施設「くまの親子・春野いきいき天狗村」で7日、イベント「春野てんぐ市」が初開催された。各事業者や住民らが個性的な品を持ち寄るマルシェ形式で、咲き誇る桜の木の下にステンドグラスや雑貨、コーヒーなどの販売ブースが並んだ。同施設はイベントを毎月第1日曜に開いていく。 シカ肉や野菜、シイタケなどをみそで煮込んだ「ten具汁」などが好評で、地域住民やドライブ客らでにぎわった。同施設の裏を流れる不動川と桜が織りなす景色を楽しむ家族連れもみられた。 同施設の杉山久美子さんは「継続して開催することで、地域の魅力発信につなげていきたい」と話す。 (天竜支局・平野慧)
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浜松移住の塩見さん夫妻、蜂蜜作りに奮闘 人類最古の醸造酒、ミード企画も
静岡県外から浜松市天竜区に移住した夫婦が蜂蜜作りや販売に奮闘している。山中での養蜂から製造を一貫して担い、「養紡屋」のブランドを立ち上げた。人類最古の醸造酒とされる蜂蜜酒(ミード)の企画にも取り組むなど、多面的に魅力を発信している。 神奈川県出身の塩見亮太さん(38)は20代の頃、酒造りを目指す過程でミードに関心を持った。各地の生産者や専門家を訪ねてミツバチの育成法を学び、2012年ごろから浜松市内に採蜜場を設けて養蜂業を始めた。抗生物質不使用、非加熱で作る蜂蜜の種類はミカンやハゼノキ、サクラなどさまざまだ。19年に結婚した未紗さん(39)=愛知県出身=と共に販路開拓を進め、22年に天竜
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台湾の製茶技術発展貢献、藤江勝太郎を顕彰 森町の生家保全へ一般公開 6、7日に住民ら企画
静岡県内で初めてウーロン茶製造を手がけ、台湾の製茶技術発展に貢献した森町出身の藤江勝太郎(1865~1943年)を顕彰する動きが本格化している。住民らは地域の活性化策として、海外を舞台に挑戦した藤江の功績を伝える企画を検討。同町城下に残る生家の保全を進める方針で6、7日、一般公開する。 藤江は明治期、緑茶輸出の中心地の横浜などで茶取引に従事した後、日本統治下の台湾で機械製茶技術を普及させてウーロン茶産業の育成につなげた。大正以降は森町商工会設立に尽力し、町長を務めるなど地元の発展を支えた。 現存する生家は木造2階建てで、1階部分の広さが134平方メートル。所有する子孫が県外に転居して解体
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てんぐ伝説で地域おこし 町の象徴 企画続々 浜松・春野町
浜松市天竜区春野町で、てんぐをテーマにした企画が相次いで始動している。事業者や住民は地域に伝わる伝説を由来にした町のシンボルを活性化に生かそうと、アイデアを凝らす。 春野町堀之内の地場産品直販施設「くまの親子・春野いきいき天狗村」は7日、マルシェ形式の催し「春野てんぐ市」を初開催する。シカ肉やシイタケなど10品目をみそで煮込む「ten具汁」を販売するほか、農家や企業などが出店する。継続して毎月第1日曜に開く予定で、同施設の杉山久美子さんは「焦らず着実に続けていく。新たな企画や商品開発につながる場としたい」と話す。 町内の秋葉山には古くから、てんぐの姿をして火難から人々を救った火防(ひぶ
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天竜エコテラス完成 浜松に新清掃工場 ごみ再資源化重視
浜松市天竜区青谷で25日、新清掃工場「天竜エコテラス」の完工を祝う式典があった。環境に配慮してごみの再資源化や余熱活用などを重視した設備で、中野祐介市長は稼働後の安定運転に期待感を示した。 建設は老朽化した南部清掃工場(中央区)と平和破砕処理センター(同区)の代替施設として2011年度から検討が進み、18年度からの6年間で行われた。用地造成、建設などの整備費は約500億円。1日に可燃ごみ399トンを溶融、不燃ごみなど64トンを破砕・選別する能力を持つ。 施工業者の日鉄エンジニアリング(東京都)や、中村建設(浜松市中央区)、中村組(同区)など8社でつくる特別目的会社「浜松クリーンシステム」
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広瀬(沼津工)が1位で準決進出 全国高校総体・ローイング 男子シングルスカル
ローイング(旧ボート競技)の全国高校選抜大会が22日、浜松市天竜区の天竜ボート場で開幕した。男女各3種目の予選に県勢は7クルーが出場し、1着だった男子シングルスカルの沼津工・広瀬、男子ダブルスカルの新居など4クルーが準決勝に進んだ。有観客での開催は5年ぶり。23日は準決勝と敗者復活戦が行われる。 持久力発揮 2位に大差 男子シングルスカルの予選4組では、沼津工の広瀬が1着で準決勝へ進んだ。広瀬は「安定したペースでこぐことができた」と振り返った。 持ち味の持久力を生かしたレース展開を見せた。中間の1000メートル地点まで激しい競り合いを続けた。「自分のレースを意識した。周りは気にしない
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【はりきり人生】マンドリンサークル主宰 野沢講一さん(浜松市天竜区) 理想の演奏の形を追求
浜松市天竜区を拠点とするマンドリン奏者のサークル「ビバ・マンドリーノ天竜」を主宰する。20年以上活動する中で本格的なアンサンブル編成を組むようになり、「理想とする演奏の形に近づいている」と手応えを語る。73歳。 大学進学後、マンドリンのサークル活動に熱中し、1970年の大阪万博で演奏する機会に恵まれた。卒業後は県西部の中学校で国語教諭を務め、30代だった二俣中(現在の清竜中)時代にはマンドリン部顧問を担当。指導に励み全国大会出場に導いた。 サークルでは歌謡曲を含めた幅広い楽曲を奏で、各地の同窓会や企業のOB会で出演を頼まれることもある。「哀愁を帯びた独特の響きや、ハーモニーが評価されてい
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空き家改修 町の交流拠点に 山いき隊田代さん 商店開業へ 3年越しの構想前進 浜松市天竜区二俣
浜松市内中山間地の活性化を担う浜松山里いきいき応援隊の田代起也さん(34)=天竜区春野町=が4月、同区二俣町で空き家をリノベーションして量り売りをコンセプトに据えた店舗を開業する。仲間とともに一から改修作業を進め、住民や来訪者の交流拠点をつくる3年越しの構想を実現させる。 クローバー通り商店街北側に位置する店は築数十年の家屋の倉庫部分を再生し、有機栽培のコーヒーやナッツ、ドライフルーツといった品を扱う。一口サイズの五平餅、春野産茶葉使用の緑茶ラテなどもテイクアウト形式で販売する。 田代さんは沼津市出身。山間地への移住を考えていた2021年、遊休不動産などの再生促進に向けて市が開講する「リ
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ジビエ調理法 専門学生ら学ぶ 浜松・春野で料理人が指南
浜松調理菓子専門学校(浜松市中央区)は28日、学生が食文化やジビエ(野生鳥獣肉)の調理法を学ぶ「春野のまち勉強会」を天竜区春野町の「くまの親子・春野いきいき天狗村」で開いた。同校や近隣大学、専門学校などの学生約60人がシカの食肉処理や調理の際の要点を学んだ。 シカ肉を扱うジビエ工房ジミート(春野町)を運営する高林麻里さんと中央区半田山のフランス料理店主の鈴木孝治さんが、つるした雌鹿に刃物を入れながらロースやヒレといった各部位の特徴を解説した。肉を切り分けた後、学生はグループに分かれてプロの料理人の指導を受け、炭火を使った調理に臨んだ。ハーブや調味料の使い方を工夫してソテーや煮込み料理などに
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龍山と向き合い 活性化へ 浜松山里応援隊の加藤さん 活動開始
浜松市の中山間地活性化に取り組む浜松山里いきいき応援隊に委嘱された加藤亮太さん(38)が2月、担当する天竜区龍山町で活動を始めた。農林業の作業や伝統行事の担い手として働き、里山や集落の課題に沿った活動を展開する。 2月上旬の初仕事は、同町の地場産品販売所「ドラゴンママ」のみそ造りだった。ベテランの女性スタッフと、大豆を丹念につぶして米麹(こうじ)、塩と混ぜる作業に精を出し、山あいの小さな加工場に蒸気と大豆の甘い香りが立ちこめた。 旧浜松市との市町村合併前、旧龍山村時代の2004年に1200人を超えていた龍山町の人口は500人を割り込み、高齢化が進む。ドラゴンママの玉本君枝代表(79)は「力仕
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「ゆるキャン△」列車、惜しまれつつラストラン 天浜線が運行終了
天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は25日、2021年2月から続けてきたアニメ作品「ゆるキャン△」のラッピング列車の運行を終えた。予約限定で走る臨時列車を一目見ようと、天竜二俣駅(天竜区二俣町)を訪れたファンら約200人が別れを惜しんだ。 キャンプ好きの女子高生の日常を描いた作品には、気賀や奥浜名湖展望台など沿線地域にゆかりがある場所が登場する。同社は水色を基調に、登場人物のイラストがあしらわれたデザインのラッピング列車を走らせ、アニメファンらの誘客を進めてきた。 臨時列車は事前に申し込んだ50人が、天竜二俣駅—浜名湖佐久米駅(浜名区三ケ日町)間の往復を楽しんだ。降車後、見物客ら
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名物しし鍋に行列 アルプホルン響く「大寒謝祭」そば早食いも 浜松の熊地区
浜松市天竜区熊地区の住民らでつくるNPO法人夢未来くんまは18日、地域の冬の魅力を伝える催し「大寒謝祭(だいかんしゃさい)」を同地区の「道の駅くんま水車の里」で開いた。名物のしし鍋をふるまう時間帯には100人を超える行列ができ、天竜太鼓やアルプホルンの演奏を見物する来訪客でもにぎわった。 そば早食い競争やバルーンアートが行われ、親子連れらが楽しんだ。もちやサトイモなどの地場産品販売も好評で、早々に完売する店舗が見られた。NPOの担当者は「小雨が降る中でも来てくれてありがたい。来年はさらに多くの人に来てもらえるように頑張りたい」と話した。
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ドローンのノウハウ共有へ 静岡県西部4社連携 事業者協会を設立
浜松市や磐田市の事業者が中心となり、ドローン活用の知見を広める県西部ドローン事業者協会が活動を本格化させる。農林業や建設、防災などの分野でドローン活用の幅が広がる中、広告業や林業などの中小企業同士で連携を深め、ノウハウの共有を図る。 昨年11月に設立された協会の会員企業は、やまびこドローン(浜松市天竜区)、オオタカ(同市浜名区)、リックス(同市中央区)、アーク(磐田市)の4社。ドローン導入は障壁が低く、機体の点検などは各事業者が国土交通省が定めた基準に沿って行っている。協会は点検の手順やマニュアルの内容、風速計などの機材について意見交換したり、航空法への理解を深める交流会を開催したりといっ
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浜松・天竜浜名湖鉄道 全15車両更新へ 25年度から段階的に
第三セクターの天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は、全15車両の更新に着手する。既存車両は導入から約20年経過して老朽化が進んでおり、2025年度から段階的に環境性能に優れた電気式気動車を導入する。中長期的な修繕費用を抑え、収益力強化を図る。 車両1両あたりの導入費用は約3億4千万円。国の補助と、出資者の県や沿線6市町が毎年負担する支援金などでまかなうため、各市町は新年度予算案に関連費用を組み込む。19~23年度の支援金額は17億7200万円だったが、車両代金や基幹設備の整備費用などがかさむ24~28年度は約10億円増の27億4900万円を見込む。 現在は車両1両がエンジン故障で動いていない
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学校行事を紙面化、表現力磨く 浜松・春野中、ワークシートで読解力も向上
浜松市天竜区春野町の春野中はNIE実践指定校となり2年目の本年度、学校行事を振り返る新聞の作成に取り組んだ。生徒たちは写真と記事で1枚の紙を埋める作業を通じ、体験や感想を生き生きと表現する力の向上につなげている。 「見出しは短く、インパクトがあるようにしないと」「写真はここに貼ろうかな」-。2年生が総合学習の時間を活用し、11月に開かれた学習発表会「黎明[れいめい]祭」の様子をつづっていく。2時間ほどすると、一点物の新聞をほぼ完成させる生徒の姿もみられた。 昨年4月以降、職場体験や陶芸体験などの学校行事を振り返る機会として新聞作りを重ねてきた。「春野の魅力新しく発見」「とても緊張した
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記者コラム「清流」 発展の道決める選挙
今年は世界各国で選挙が行われる。東南アジアの大国インドネシアでは、10年にわたり権力を行使してきた現大統領に代わるリーダーが決まる。 県西部に住む同国出身の40代の男性経営者は「選挙は国の発展に向けた進路を決めるため、若者の関心が高い。指導者には強い国を目指して頑張ってほしい」と期待する。県内に住む同胞たちは都内などで行われる在外投票に向け、候補者の人柄を見極めているという。国全体の有権者は2億人を超え、前回大統領選の投票率は約8割とされる。 投票日は2月14日。同国では、製造業を中心に多くの静岡県の企業が事業展開し、農水産品輸出先としての成長も期待できる。政治のかじ取り役が代わる転機は
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石川被災地にマスク50万枚 浜松のROKI 感染症予防へ寄付
浜松市天竜区の自動車・二輪車用フィルターメーカー「ROKI」が19日、能登半島地震で被害を受けた石川県内被災地への不織布マスク発送を開始した。感染症予防に役立ててもらう考えで、現時点で避難所生活を送る人のおよそ1カ月分に相当する約50万枚を順次寄付する。 同社は震災発生後に同県などと連絡を取り合う中で、避難所でのマスク不足に起因する感染症リスクを考慮して寄付を打診した。19日は第1便として、フィルター製造技術を応用して同市浜名区の工場で製造する不織布マスク「纏(まとい)」3万枚を送った。 今後も現地の需要に応じて発送作業を進める考えで、藁科健一総務部長は「現地で感染症の懸念がある中、被災
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築100年超 古民家活用 春野のカフェ 交流拠点に 浜松 地元産紅茶でおもてなし
浜松市天竜区春野町砂川に築100年を超える古民家を活用したカフェがオープンした。地元産の茶や野菜を使った料理やスイーツで来客をもてなす店は、食事処が少ない地域の交流拠点となりそうだ。 昨年11月にオープンした「風香つきみ亭」は、茶畑が広がる中山間地にある。のぼりと白いのれんが目印の店内には約25席分のこたつやテーブルが並ぶ。メニューはナポリタンや春野産紅茶、緑茶ゼリーのパフェなどで、ミルクセーキやミックスジュースは手作りにこだわる。 「昭和レトロの雰囲気が感じられるお店にしたい」と語る店主の鈴木房子さん(62)は磐田市で働いていたが、7年ほど前に実家がある砂川地区に戻った。周辺に飲食店がない
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天竜林業担い手 確保へ意見交換 未来創造会議 効率化など検討
静岡県や浜松市、森林組合などの林業関係者でつくる「天竜林業の未来創造会議」の会合が15日、同市天竜区の北遠総合庁舎で開かれた。情報通信技術(ICT)を活用した林業の効率化や、新規担い手確保に向けた取り組みを話し合った。 県西部農林事務所天竜農林局は、昨年9月に林業経営体若手職員向けに行った、林業施策を学ぶ研修の成果を報告した。林業者からは「人材育成のために研修は継続開催してほしい」といった意見が出た。若手林業者が出演して浜松商業高(同市中央区)生徒が編集を担当した、若年層に林業の魅力をアピールする動画製作の事例も紹介された。 会合ではドローンによる山林の空撮や高強度の防獣ネットといった、森林
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シイタケ 原木で育ててみて! 浜松市天竜区で出荷ピーク、9000本販売
浜松市天竜区でシイタケ栽培用の原木が出荷のピークを迎えている。同区二俣町でシイタケの卸売りを手がける北遠椎茸は3月末までに原木9千本を販売する計画で作業を進めている。 同社店頭には毎年1~3月、切り分けられたコナラの木が積み上がる。原木の長さは90センチほど、直径は7~20センチ。穴を空けて菌を打ち込んで保管し、2度の夏を経て収穫を迎える。 同社によると、林業家や家庭で栽培する個人など幅広く引き合いがあり、出荷予定本数は前年より約千本多いという。社長の杉田孝史さん(69)は「自然の力で育てる原木シイタケの味わいや香りは優れている。地域の伝統を広く伝え、残していきたい」と話す。 原木は1
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日常生活の輝き 住民つづる 「天竜文芸」第14号発行 光が丘中生も詩文寄稿-浜松
浜松市天竜区の住民やゆかりのある人が寄せた随筆や詩、短歌などを収めた「天竜文芸」第14号が2023年12月、発行された。戦争体験の記録や日常生活を生き生きとつづった随筆、中学生による詩文など、バラエティー豊かな内容となっている。 天竜区文芸誌発行事業実行委員会(野沢講一委員長)が製作した冊子はA5判、192ページ。6部門計123点の寄稿があった。 今年は同区山東の光が丘中生徒から20点の応募があった。豊かな感性を発揮し、里山の風景や家族のふれ合いを活写した。 地域の歴史や風土、日常生活を扱った文章が収録される中、戦争や平和をテーマにした作品も複数寄せられた。終戦直後のシベリア抑留の記憶
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記者コラム「清流」 外国人が働きやすく
海外との往来が活発化し、静岡県内に住み始める外国人とふれ合う機会が増えた。多くが製造業や建設業、介護・福祉の分野で働くアジア圏の人材だ。 「明るく社交的。サービス業の現場に向いている」。金融機関主催のセミナーで、フィリピンの送り出し機関幹部が強調した。「日本で働きたい若者はたくさんいる。良い就業先を見つけたい」と企業とのマッチングを進める。 昨今は在留資格をめぐる新制度の議論が進む。人手不足に悩む中、外国人が働きやすい環境の整備が大前提で、就労先に選んでもらうための努力が欠かせない。 日本語教育や宗教対応など課題は山積する。「多文化共生社会」がかけ声で終わらないよう、できることとは。現
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平安と息災を 舞に祈る 浜松北部の正月行事「ひよんどりとおくない」
国の重要無形民俗文化財に指定されている浜松市北部の正月行事「遠江のひよんどりとおくない」が3日、各地で営まれた。地域住民らが舞を奉納し、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈った。 天竜区懐山の泰蔵院では中世から伝わる「懐山おくない」が行われた。懐山おくない保存会(大石寅十会長)が笛や太鼓の音を響かせ、やりや剣を手にして悪霊をはらったり、豊作を祈願したりと多彩な舞を演じた。獅子が勇壮な動きを見せる「宵の獅子」、3匹の鬼が登場する「鬼の舞」などの演目が続いた。 会員の減少や高齢化が課題となる中、中山間地活性化を担う「浜松山里いきいき応援隊」隊員で懐山出身の大石紘明さん(22)ら若者の活躍が目
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新たな年への思い胸にスタート 浜松・天竜で元旦マラソン
天竜元旦マラソンが1日、浜松市天竜区の船明ダム運動公園を発着点に行われた。市内外の259人が1年の健康を願い、快晴の下を駆けた。 小学生から一般まで幅広い世代が集まった。号砲で駆け出し、船明ダムを渡り天竜川沿いを往復して3キロを走った。完走後は参加賞の菓子やお年玉賞など各賞を受け取り、喜ぶ子どもたちの姿が見られた。 市スポーツ協会天竜支部の主催で、開催は4年ぶり。同支部の小泉孝保支部長は「毎年参加してくれる人も多く、4年ぶりに楽しんでもらえて良かった」と話した。
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復活の北遠伝統の舞「神沢おくない」 4日、披露へ 浜松市天竜区
北遠に伝わる民俗芸能「神沢おくない」が来年1月4日午後1時から、浜松市天竜区熊の熊ふれあいセンターで奉納される。伝統の舞で新年の五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を願う。 浜北区内で12月上旬、神沢おくない継承同好会のメンバーらが各演目を練習し、全体の流れを確認した。畳の上での稽古には熱が入り、笛や太鼓の音に合わせてゆっくりと体を動かしていった。 神沢おくないは神々にささげる「神うた」で始まる。当日は剣を手に邪気を切り払う「片剣の舞」、農作業を模したユニークな所作と歌を交えた「畔(あぜ)塗り」、足踏みをしながら唱え言をする「万歳楽」など計9演目を舞う。 おくないの歴史は300年を超えると
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記者コラム「清流」 活性化につながる方策
浜松市天竜区で今年、地元の商工会や金融機関、行政などが知見を持ち寄り地域経済の課題解決を考える取り組みが本格化した。各機関同士が情報交換を積極的に行い、支援を必要とする事業者を紹介し合ったり経営革新を後押ししたりしている。 各機関は人口減や産業衰退への危機感を共通して抱く。人手不足で現場の余裕は乏しく、新たな取り組みの実行は楽ではない。それでも「何とかしなければ」との思いで、地域課題と向き合っている。 事業承継の推進やデジタル化支援、空き家問題への対応など連携してやるべきことは多い。中山間地の活性化につながる方策は、県内他地域の期待やヒントにもなるはずだ。未来に向けた事業の芽が育ち、持続
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ラウンドネットでアジア準V 浜松出身 大学生松本さん 球技普及に意欲「交流の輪広く」
浜松市出身の大学4年生松本朱加さん(22)=東京都=が11月、米国発祥の球技「ラウンドネット」のアジア大会男女ミックス部門で準優勝に輝いた。松本さんは競技に打ち込む中で国内外に交流の輪を広げた経験を踏まえ、「幅広い世代が楽しめるラウンドネットの魅力を伝えていきたい」と意欲を見せる。 ラウンドネットは2人組のペア同士4人で、直径約1メートルのネットを囲みボールを打ち合うスポーツ。チームでパスをつなげ、3回以内にネット内にバウンドさせて相手方に打ち込むラリーを通して得点を競う。世界の競技人口は500万人を超えるとされるが、日本国内では数千人に過ぎないマイナースポーツの位置付けだ。 松本さんは県内
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森林テーマにダンスやミュージカル 小中学生が公演 23日から 浜松市天竜区
浜松市天竜区二俣町の天竜壬生ホールで23、24の両日、小中学生によるダンスとミュージカルの発表公演「MIBUワークショップ」(市文化振興財団主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が開かれる。子どもたちが4月から重ねた練習の成果を発揮する。 ミュージカルは森林を取り巻く課題をテーマにした「森のてんぐ屋さん」を上演する。原作は西区長を務める仲井英之さんが著し、童話コンテスト「第3回森林のまち童話大賞」で最高賞を受賞した作品。てんぐに姿を変えた森の精霊と子どもたちの交流を通じ、身近にある森林を知ることの大切さを描いた。 23日のダンス公演は、創作ダンスなどを踊る。全席指定でチケットは800円。問い合
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災厄焼きはらう「秋葉の火まつり」 浜松市春野町
火伏せの神社として全国から信仰を集める浜松市天竜区春野町の秋葉山本宮秋葉神社(河村基夫宮司)上社で16日夜、恒例の「秋葉の火まつり」が行われた。神職が霊力で罪やけがれ、災厄を焼きはらうとされる秘伝の舞を奉納した。 夜が深まった午後10時前、手筒花火が空に放たれて「防火祭(ひぶせのまつり)」が幕を開けた。神職3人が受け継がれてきた秘儀を披露。矢を放ち来年の豊年吉凶を占う「弓の舞」、罪やけがれをはらう「剣の舞」と続き、最後は本殿奥の神火から火を移したたいまつを振りかざす「火の舞」で火難や水難、諸厄諸病をはらった。 同神社は火の神「火之迦具土大神(ひのかぐつちのおおかみ)」を祭る。訪れた参拝者
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浜松・天竜材のトロフィー製作 26、27日に中高生演奏コンテスト 盛り上げに一役
NPO法人浜松生涯学習音楽協議会が26、27の両日、中高生による管打楽器ソロ演奏のコンテスト(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市天竜区二俣町の天竜壬生ホールで開く。初の試みとして地元企業の協力を受けて天竜材のトロフィーを製作した。地域の文化を発信する音楽イベントとしての定着を目指す。 コンテストは26日の中学生部門は正午、27日の高校生部門は午前10時半にそれぞれ開演する。県内外から参加する100人がサックスやフルート、コントラバスなどの演奏を披露していく。入場無料。 5回目の今回は、天竜材がふんだんに使用されたホールとの調和を意識したトロフィーを、グランプリ受賞者に贈る。天竜区南鹿島
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家康ゆかりのミカン収穫 二俣小児童 香り楽しむ 浜松市天竜区・清瀧寺
浜松市天竜区の二俣小3年生が13日、同区二俣町の清瀧寺にある徳川家康ゆかりのミカンの木で収穫作業を行った。たわわに実った小ぶりのミカンを丁寧に摘み取っていった。 家康が自ら植樹したと伝わる駿府城公園(静岡市)の「家康手植えの蜜柑(みかん)」から2010年に枝分けし、境内に植え直した樹木に実った。県内に広く普及する温州ミカンと比べ、やや小さく酸味が強い特徴がある。家康の嫡男・信康を顕彰する「信康の会」が毎年、同小児童を招いて収穫体験の機会を設けている。 児童ははさみでオレンジ色のミカンを枝から切り離し、みずみずしい香りを楽しんだ。 (天竜支局・平野慧)
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台湾学生と英会話 浜松・天竜高春野校舎でオンライン交流
浜松市天竜区春野町の天竜高春野校舎でこのほど、3年生と台湾の職業専門高校3年生によるオンライン交流会が開かれた。ビデオ会議システムを用いて英会話し、相互理解を深めた。 春野校舎の生徒8人が国立曽文高級家事商業職業学校3年生9人と対話した。生徒は春野町の魅力や特産品などを英語で紹介した。台湾側からの「日本にはシカがたくさんいるんですか」といった質問に答える場面もあった。アニメ文化の話題で盛り上がり、春野校舎の生徒たちは「ぜひ1度静岡に来てください」と呼びかけた。 台湾との交流は県の地域外交施策の一環。生徒たちはLINE(ライン)を使った英文メッセージのやりとりを通じて、事前に交流してきた。
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春野の住民がおもてなし 工作や料理…10日までイベント 浜松市天竜区
浜松市天竜区春野町の住民が自宅や工房を開放し、中山間地の魅力を紹介する「春野人めぐり」(区観光協会春野支部など主催)が9日、同町各地で始まった。10日午後4時まで。 茶農家や菓子店、地域おこし活動を担う若者らが軽食や土産物を販売。来訪者は町内各地をめぐり、工作や山の味覚をふんだんに使った料理など里山の環境を楽しめる。 同町和泉平の吉田克秀さん(72)は、スギの枝を用いたハンガー製作やヤマザクラのバードコール作りといった体験メニューを用意し、来訪者をもてなす。9日、吉田さん宅を訪れた静岡大情報学部3年の中村優里さんは、広葉樹を輪切りにした板に絵を描く作業を体験し、「久しぶりに自然と触れ合
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くんまの特産をお歳暮に 浜松市天竜区「冬のふるさと便」 シカ肉商品充実、24日まで受け付け
浜松市天竜区熊の道の駅「くんま水車の里」が、お歳暮シーズンに合わせて特産品を詰め合わせた「冬のふるさと便」の販売を始めた。地域で深刻化する鳥獣被害を踏まえ、シカ肉商品を拡充した。24日まで申し込みを受け付ける。 ふるさと便の「水車オリジナルコース」は手作りのみそや生そば、コンニャク、漬物、シイタケなど計7品4680円。ジビエ(野生鳥獣肉)や五平餅のコースも用意し、人気商品の「水車みそ」などは個別注文を受け付ける。 熊地域は6月の台風2号で県道9号が被災した影響で、天竜市街地との往来は迂回(うかい)路の使用を余儀なくされている。道の駅は10~11月の売り上げが例年と比べ約2割減るなど厳し
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吉田町 12歳双子、町3位に貢献 2区・岩本陸斗選手と9区・岩本拓海選手【市町対抗駅伝】
吉田町は未経験の区間でも安定した走りを見せる選手が多く3位につけた。2区岩本陸斗選手(12)、9区拓海選手(12)は双子で、初めての同時出場となった。日々の練習の成果を発揮し、いずれも上位を保ってたすきをつないだ。 弟の拓海選手は昨年、僅差で選考に漏れて駅伝出場がかなわなかった。悔しさをばねに、体のぶれを修正して走り込むことでベストタイムを更新した。9区では坂道を念頭に置いた練習の成果が生きたという。 陸斗選手は「監督やコーチの指導のおかげで、力を発揮することができた。これからも兄弟で競い合い、頑張りたい」と話した。中島克訓監督(60)は「双子で一緒に努力し、力を伸ばした。若い力が育つこ
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平安時代から地域守る千手観音 クラウドファンディングで修復へ 磐田・定光寺
磐田市前野の定光(じょうこう)寺が、800年以上前に作られたとされる千手観音菩薩(ぼさつ)立像の修復に乗り出した。12月5日までクラウドファンディング(CF)で資金を募り、地域のよりどころとなる“菩薩さま”の再生を目指す。 高さ1.7メートルほどの菩薩立像は平安時代末ごろに作られたと伝わり、磐田市の指定文化財に選ばれている。経年劣化で脚部の腐食が激しく、台座も傷んでいることから松本龍哉住職(51)は知人の助言を受け、修復の計画を練った。吉備文化財修復所(さいたま市)で分解や補強、組み立て作業を行い、2026年に完成させる計画。費用は約600万円に上るという。 クラ
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商工会、金融、行政の連携本格化 浜松・天竜区 事業者の経営革新を後押し
浜松市天竜区で本年度、金融機関や商工会、行政が金融懇談会を核として連携する取り組みが始動した。人口減に伴い商圏縮小や廃業件数の増加といった課題が深刻化する中、それぞれの知見やノウハウを持ち寄り経営相談や事業承継支援を展開することで、地域経済の活性化を目指す。 同区の天竜商工会本所で今月下旬開かれた会合には、静岡財務事務所や県信用保証協会、JA遠州中央、銀行、信用金庫の担当者が顔をそろえ、現状や課題について意見交換した。金融機関からは「人材紹介や空き物件活用、マーケティングなど事業者を総合的に支援していきたい」(静岡銀行)などの意見が出た。 金融懇談会は6月に発足した。各機関同士が協力し
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少年期の宗一郎 熱演 天竜区出身ホンダ創業者描く 地元児童生徒がミュージカル 浜松市
浜松市天竜区(旧磐田郡光明村)出身のホンダ創業者本田宗一郎氏の少年時代を地元の児童生徒が演じるミュージカル「本田宗一郎物語」がこのほど、同区二俣町の天竜壬生ホールで上演された。約350人が来場し、好奇心を培い世界的な自動車メーカーを築いた経営者の原点に触れた。 1906年に生まれた宗一郎氏の幼少期を同区光が丘中3年の上田鈴果さん(15)、ものづくりへの探究心を育み15歳で上京するまでを天竜高3年の藤森早紀さん(18)がそれぞれ演じた。天竜の豊かな自然と鍛冶屋を営む両親の元で育ち、飛行機に憧れたり自動車技術に衝撃を受けたりしたエピソードを歌や踊りとともに生き生きと描いた。 成長に伴って夢を
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記者コラム「清流」 野生鳥獣との共生
1日の野生イノシシとニホンジカ対象の銃、わな猟解禁を皮切りに狩猟シーズンが本格化した。各地の猟友会員が山に入り、捕獲、狩猟に奮闘している。 野生鳥獣による農林業被害が問題視されるようになって久しい。浜松市天竜区の農家の男性は「防護柵設置などの対策はしているが、自然の力にはかなわない」と不安を隠さない。 鳥獣被害が増える中、ジビエ(野生鳥獣肉)を使った料理を販売したり、獣の皮を用いたかばんや雑貨を作ったりする取り組みが広がっている。消費の場が増えることで社会の関心が高まる期待がある。野生鳥獣の生息域拡大の理由は天敵不在や地球温暖化に求めることはできるが、戦後の大規模な人工林造成や耕作放棄地
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キツネの嫁入り、練り歩く 移住の夫婦を地域で祝福 浜松市天竜区
浜松市天竜区二俣町のクローバー通りでこのほど、キツネの面をかぶった新郎新婦が結婚を祝福されながら練り歩く「キツネの嫁入り行列」があった。法被を着てキツネに扮(ふん)した行列を目当てとする見物客が沿道に集まった。 行列は吾妻町稲荷の例祭「酉(とり)の市」に合わせた催しで、クローバー通り商店会が企画した。新郎新婦は3年前に同町に移住し、はちみつ店「養紡屋」を営む塩見亮太さん(38)と未紗さん(38)。和装姿の夫婦に続いてちょうちんやかさを持った一行約40人がゆっくりと150メートルほど歩いた。 吾妻町稲荷で皆に祝福されながら結婚式が執り行われた。復路は面を外した亮太さんが長男桃ノ介ちゃん(8
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カブ系バイク 浜松市天竜区・船明に結集 ホンダ創業者ゆかりの地
現在の浜松市天竜区で生まれ育ったホンダ創業者、故本田宗一郎氏の顕彰に取り組む「ポンポンCLUB浜松」(宮地武夫代表)は12日、ホンダ製バイクが集まる催し「カブミーティングinふなぎら」(静岡新聞社・静岡放送後援)を、浜松市天竜区の船明ダム運動公園で開いた。 各地からカブ系バイクの愛好家が集まり、200台強が会場内に並んだ。茨城や香川など遠方からの参加者も見られ、デザインやカスタムパーツなどについて話が弾んだ。 会場には、1950年代に製造された原動機付き自転車も展示され、注目を集めた。宮地代表(80)は「本田宗一郎ゆかりの地である船明を多くの人に知ってほしかった。カブ愛好家が交流する機会
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獣害から農作物守れ 農家や猟友会、自衛へ防護柵や狩猟 浜松市天竜区
晩秋を迎えた静岡県西部の中山間地で、農作物を食い荒らすシカやイノシシへの警戒が強まっている。農家は果樹や野菜を守る柵の設置や補修といった備えを進め、地元猟友会は今月1日の銃・わな猟解禁を受けて捕獲や狩猟を展開する。 浜松市天竜区佐久間町浦川で10月下旬、野生鳥獣向けの防護柵の使い方を学ぶ研修会が開かれた。農家ら約25人が、シカに網を破られたり、支柱を倒されたりした畑の状況を確認。ワイヤメッシュ製の柵を組み立てる作業を行った。 2022年度の野生鳥獣による県内農産物被害額は2億6千万円と前年度を4・4%上回った。同区水窪町の住民でつくる「みさくぼ野菜を育てる会」の守屋銀治会長(89)は「田
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保護犬譲渡、浜松市天竜区に拠点 東京のNPO「飼育の選択肢に」
NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(東京都)が3日、保護犬譲渡施設「浜松譲渡センター」を浜松市天竜区二俣町に開設した。最大30匹を飼育できる環境を整え、譲渡希望者とのマッチングを進める。 天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅から徒歩約2分の地点に立地し、犬と触れ合える室内ドッグランがある。保護犬は専門スタッフが世話し、特徴や性格を把握した上で希望者に紹介していく。 同NPOが、殺処分になる犬をゼロにすることを目指して展開する活動「ピースワンコ・ジャパン」の一環。これまでに約3900匹の譲渡実績があるが、中部地方には拠点がなかった。担当者は「犬を飼うことを検討する中で、保護犬を選択肢に入れてもらうき
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静岡人インタビュー「この人」 日越の交流促進を目指す ドアン・ソン・トゥンさん(袋井市)
静岡県西部を中心に活動するベトナム人の団体「在県ベトナム人会(VN静岡)」代表を務め、日越の相互理解促進を進める。2005年に来日し、21年に人材紹介会社を起業した。38歳。 -これまでのVN静岡の活動とは。 「技能実習や留学など静岡で暮らすベトナム人が増える中で、サッカーや音楽などを通じて交流する機会を増やそうと立ち上げた。新型コロナウイルス禍で県内のベトナム人が解雇されたり収入が減ったりした時は、生活が苦しい人に食料を配布する支援活動を展開した。ベトナム人のネットワークの形成を進めるとともに、日本人社会とも交流を深めたい」 -静岡に来て18年が経過した。変化を感じる点は。 「県内
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「勝坂神楽」 学生盛り上げ 伝統の舞 継承へ 浜松市天竜区春野町
400年以上の歴史を持つ浜松市指定無形民俗文化財の「勝坂神楽」が29日、天竜区春野町豊岡の勝坂地区で行われた。伝統の舞を神社に奉納する行事は4年ぶりで、継承活動を担う大学生が舞やおはやしに参加して盛り上げた。 勝坂神楽は子孫繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る伝統芸能で、例年10月に祭礼を行う。赤い着物を身にまとった獅子やしの笛、太鼓の一行は、清水神社と八幡神社を目指して「道中舞」を舞いながら練り歩いた。神社では、軽快な演奏に合わせて「ほろ舞」と「ぬさ舞」を奉納した。 静岡県内各地で人口減少や高齢化により、伝統芸能の存続は難しさを増している。勝坂神楽は大学生らのNPO法人「わたぼうしグラ
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中山間地の伝統芸能 学生NPOが継承 担い手減少に危機感 浜松 技能磨きICTで発信
浜松市内の大学生らでつくるNPO法人「わたぼうしグランドデザイン」が、中山間地の伝統芸能継承に挑んでいる。高齢化や担い手減少で、各地の神楽や祭礼の運営が難しくなる中、舞いや和楽器に魅力を感じる若者が技能を磨き、情報通信技術(ICT)を通じて魅力発信に力を注ぐ。 しの笛の心地よい調べが室内に響く-。浜松学院大(浜松市中区)で10月、天竜区春野町豊岡の勝坂地区に伝わる「勝坂神楽」の練習が行われた。華やかな赤い着物をまとった獅子頭の舞いや笛太鼓などで構成される、市指定無形民俗文化財の神楽を披露する祭礼は29日。河原崎賢治さん(18)=同大1年=は「本番まで練習を続けてもっとうまくなりたい」と意気込
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発芽玄米販売増加へ 有機栽培に参入 川島米穀店(浜松天竜区)
浜松市天竜区の川島米穀店が、発芽玄米商品の販売増に向けて有機栽培に乗り出した。農薬・化学肥料不使用の玄米の需要増を見込み、生産面積は5年後に現状の約3倍に当たる10ヘクタールに広げる計画。原料の安定供給体制確立と同時に、水稲段階から成分などの研究を重ねることで製品開発力の拡充につなげる。 供給力向上、研究開発も 同社は1887年創業の老舗米店。健康志向の高まりなどを背景に開発した無洗米タイプの発芽玄米「玄氣」が顧客の支持を得て、インターネット通販で販売を伸ばしている。原料は約15県から年間150トンほど仕入れる。有機栽培のコメの引き合いが全国的に強まる中で原料を確保するため、自社生産に踏み
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インドネシアの文化知って 浜松で友好協、踊りやライブ披露
浜松インドネシア友好協会はこのほど、「インドネシア・フェスティバルin浜松」を浜松市中区の新川モールで開いた。約20の出店ブースと、踊りやライブなどの舞台パフォーマンスを通じてインドネシアの文化を多面的に紹介し、多くの来場客でにぎわった。 日本・インドネシア国交樹立65周年記念事業として企画した。ステージ上では、鉄琴のような打楽器などで奏でる民族音楽「ガムラン」や、バリ島、ジャワ島スンダ地方といった各地の舞踊が披露された。焼き飯料理「ナシゴレン」や串焼き「サテ」などを売り出すブースには行列ができた。浜松調理菓子専門学校の学生らも出店した。 同友好協会は2002年の設立以来、両国間の交流事
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天浜線と自然の魅力PR 浜松市天竜区 鈴木さん(細江中3)写真展
浜松市天竜区の浜松いわた信用金庫二俣支店で11月10日まで、同市北区の細江中3年の鈴木楓さん(14)=同区=による天竜浜名湖鉄道と自然をテーマにした写真展が開かれている。 鉄道や車両基地などを背景にして、沿線上に咲くサクラ、アジサイといった四季折々の花やカモメを写した36枚が並ぶ。鈴木さんがデザインした天浜線のヘッドマークも飾られている。 鈴木さんは小学校低学年時に写真を始めた。天浜線の沿線で撮りためた写真を披露する個展を昨年から開いていて、「地域の自然や鉄道から生まれる風景の魅力を伝えていきたい」と話す。 (天竜支局・平野慧)
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シカ肉加工・販路拡大に力 浜松・天竜区春野町「ジミート」 獣害対策に貢献へ
11月の狩猟解禁を控え、浜松市天竜区春野町の野生鳥獣肉(ジビエ)加工施設「ジビエ工房ジミート」が販路開拓に力を注いでいる。農業に悪影響をもたらす獣害対策の一助として、シカ肉の消費拡大を目指す。高林麻里代表は「新鮮でおいしいジビエの裾野を広げ、里山保全につなげたい」と熱意を込める。 9月上旬、浜北区内の猟師が仕留めたシカ2頭がジミートに運ばれてきた。機械を用いて、金属の器具に1メートルほどの胴体をつり下げる。皮と、ピンク色の肉の間に刃物を入れて丁寧に動かしていく。高林さんは「森林に食べ物が少ないからなのか、脂身が少ないな」とつぶやく。約1時間の作業を経て枝肉として冷蔵保管された。 ジミート
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静岡県西部で秋冬番茶、生産ピーク 天竜の茶工場 有機栽培に挑む
静岡県西部の秋冬番茶生産がピークを迎えている。秋冬番茶は県内の年間荒茶生産量の3割以上を占める。収益性の観点から重視する茶工場もあり、茶農家は連日の収穫に汗を流す。 浜松市天竜区春野町の茶工場「はるの逸究園」では5日、有機栽培に転換中の畑で刈り取った茶葉で荒茶(製品加工前の茶)が作られた。トラックで各地から持ち込まれた茶葉を蒸し、もんで乾燥させた。代表理事の中小路嘉久さん(72)は「9月に適度な雨に恵まれて育ち、例年並みには生産できそう」と話す。茶工場での生産は今月下旬まで続くという。 秋冬番茶は県内で例年約1万トン生産され、ペットボトル飲料やティーバッグ茶などの原料となる。一部の茶工場
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業種さまざま、経営者40人が日替わりマスター 静岡のスナック、交流拠点に
JR静岡駅北側の市街地に一風変わったスナックがある。2時間飲み放題3500円、マスターは日替わりで多彩な業種の経営者40人が担う―。「おまち」活性化を狙った中小企業発の交流拠点づくりの試みが、注目を集めている。 経営の悩み相談できる場に 静岡市葵区常磐町に位置する「スナック40(フォーティー)クラブ」の開業は、焼き肉店経営の「慶州」(同市駿河区)社長の山田将弘さん(48)と公認会計士の中村光太さん(44)=静岡市=が企画した。山田さんは15年ほど前から、来店者との会話機会が多いスナック経営に関心を持っていた。物価高や売り上げ減少などで経営方針に迷う仲間が増える状況を受け、「酒を飲
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浜松・緑恵台 盛り土崩落で自宅全壊の佐藤さん 新居の上棟式 同じ場所、同じ家で
2022年9月の台風15号による浜松市天竜区緑恵台の盛り土崩落で自宅が全壊した佐藤聖徳さん(64)が30日、同地で新築する家屋の上棟式を行った。被害への補償の先行きが見えず不安を抱えつつも、住み慣れた土地での生活再開を期している。 佐藤さんが妻、長男と住んでいた家屋は盛り土の崩落で、約10メートル流された。現在は区内の別の住宅で暮らす。 「同じ場所に同じ家を建てて再出発する」。10年前に建てた家は地元の天竜材を使い、大きなガラス窓が特徴だった。緑に囲まれて空気がきれいな土地で再び暮らしたいとの思いを後押ししたのは、地元の小学校が大好きな長男(10)の存在だった。佐藤さんは「元気に成長でき
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遊び通し幼児教育、カンボジア政策に 天竜厚生会 ノウハウ提供が結実
静岡県内で保育施設などを運営する社会福祉法人天竜厚生会(浜松市天竜区)によるカンボジアへの幼児教育のノウハウ提供が実を結び始めた。国際協力機構(JICA)の「草の根技術協力事業」として2016年から現地での共有がスタートした指導法は好評で、政策にも反映された。同国政府は活動を深化させ、日本式の「遊びを通して学ぶ教育」の全土への浸透を目指す。 晴天のもと、園庭でかけっこやサッカーを楽しむ園児にやさしく声をかけ、遊びの輪に入る-。カンボジア政府や幼児教育の関係者が9月8~16日、浜松市を研修・視察で訪れた。同法人の「子育てセンターみゅうのおか」(同市浜北区)では、子どもが自ら遊び方を選んで友達
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中学生発案 地域活性企画第1弾 人口減、歌や踊りで表現 浜松・犬居地区
浜松市天竜区春野町の犬居小体育館でこのほど、住民有志による学芸会が開かれた。町の活性化を目指す中学生発案のプロジェクト「犬居SOZO(ソーゾー)学校」の企画第1弾。今後も住民が学校に集い、楽しむための活動を展開していく。 ミュージカル風に歌ったり踊ったりする学芸会の題目は「どうする犬居!? 忍び寄るブラックハルーノ」。人口減少が進む地域の現状を描いた。悪役の少年が「もっといいところに行こうよ」と子どもたちを誘惑して連れ去ってしまったことを受け、友人たちが捜索に向かうストーリー。動画と写真のスライド上映を通じて、地域の自然や生活風景も映し出した。 学芸会には住民約60人が訪れた。企画した春
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非業の死遂げた徳川信康しのぶ 浜松・清瀧寺で法要
徳川家康の嫡男信康(1559~79年)の顕彰に取り組む「信康の会」が15日、浜松市天竜区二俣町の清瀧寺で慰霊の法要を執り行った。会のメンバーら約30人が集まり、若くして非業の死を遂げた信康をしのんだ。 メンバーらは住職による読経の中、位牌(いはい)に手を合わせて焼香した。信康の生涯について語り合う出席者もみられた。 信康は徳川家康の長男として生まれながら謀反の疑いを掛けられ、清瀧寺の近くにあった二俣城で自害した。同寺は菩提(ぼだい)寺として供養を続けている。同会は地域住民有志が信康の生涯を後世に伝えるために発足し、毎年命日にあたる15日、同寺で法要を営んでいる。大村邦男会長は「信康公は文
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工芸職人村へ 若手育成 旧宿場町 つなげ活性化 山梨洋靖/創造舎社長【聞きたい】
静岡市駿河区丸子泉ケ谷地区と、同市葵区人宿町でまちづくりに取り組む。伝統工芸の維持発展を掲げるほか、両地点を旧東海道の宿場町「丸子宿」と「府中宿」に重ね合わせて観光振興、地域活性化を目指す。 -丸子泉ケ谷での伝統工芸振興で何を目指すか。 「長期化する担い手不足対策に注力したい。静岡市の指定管理者として運営する伝統工芸体験施設『駿府の工房 匠宿』では竹千筋細工や陶芸といった分野の職人が集まり、職人や作家を目指す若者への指導に取り組んでいる。10年間で100人の職人誕生を目標としている」 -施設近隣で宿や模型体験施設を開業する狙いは。 「工芸を未来に残すには、工房だけを強くしても不十分
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太陽光パネル ドローンで点検 林業経験基に顧客拡大へ 浜松の「やまびこドローン」
ドローンによる近距離空輸を手がける「やまびこドローン」(浜松市天竜区)が8月、人工知能(AI)を用いた太陽光パネルの点検、画像解析事業を始めた。林業で培った経験を基にして各方面にドローン技術の提供を進め、顧客の裾野拡大を図る。 同社は2022年創業。榊原康久代表(40)は木材伐採から搬出までを担う林業の榊原商店(同区)を経営する中で7年ほど前、山間地の作業にドローンを導入した。中でも役立ったのは、山中に張ったワイヤロープに丸太をつり下げて山の下に運ぶ「架線集材」の作業。人手を必要として危険も伴うが、ドローンで道路がない急斜面までロープを運搬することが可能になり、省力化につながった。 自
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4年ぶり熊六所神社祭典 屋台引き回し、家内安全へ神楽舞も 浜松天竜区・熊地区
浜松市天竜区の熊地区で26、27の両日、熊六所神社祭典が開かれた。地元の若者らが屋台を引いて地区内を練り歩き、子どもたちが奏でる笛や太鼓の音色が響きわたった。 六所神社での神事などからなる祭典は明治時代から続く伝統があり、4年ぶりに開催された。彫刻をあしらい金箔(きんぱく)を施した高さ4メートルほどの屋台を、祭りの担い手「熊正(ゆうせい)団」メンバーらが綱を引いて前進させた。26日は、屋台に乗り込んだ子どもたちのおはやしの音色や「よいしょー」のかけ声とともに、道の駅「くんま水車の里」付近から宿場町の面影が残る熊地区中心部まで、雨上がりの夜道を歩いた。沿道に並ぶ明かりをともされたちょうちんが
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東海家具工業 インドネシアで商品独自性磨く 進出50年、彫刻文化取り入れ成長
家具メーカー東海家具工業(静岡市駿河区)は12月、インドネシア進出50年を迎える。本県から同国へ進出した企業の草分け的存在で、現地の文化に根差したものづくりの技術を蓄積してきた。日本に製品を供給しつつ、世界市場も視野に入れた成長戦略を描く。 実石幸男社長(58)の父で創業者の貞次氏=故人=が1973年、現地視察で知り合った家具業者と現地法人を設立した。当時は進出例が少なかったが、豊富な木材資源や労働力、独自の彫刻文化に生産拠点として可能性を見いだした。 合弁会社設立後は日本人駐在員が技術指導を重ね、机や棚といった家具のほか、テレビの木枠も手がけた。日本の生産機能を徐々に移管し、97年の
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薬膳茶・ハーブティー開発に力 静岡県内茶業者、訴求力強化へ
静岡県内で茶に果実や草花、豆類を配合した薬膳茶・ハーブティーの新商品を開発する動きが活発化している。製茶問屋らは緑茶の香りやうまみと、ハーブが持つリラックス効果などを掛け合わせた商品の研究を重ね、急須になじみが薄い顧客層への訴求力強化に結び付けている。 季節や体調に合ったお茶で体の内側から整える-。鈴和商店(静岡市葵区)は昨年、薬剤師と共同で考案した薬膳茶のシリーズ商品を発売した。 国産ウーロン茶にハトムギや黒豆を配合した「慈雨(じう)」、ほうじ茶にヨモギやシナモンを加えた「温香(おんこう)」など4種類で、小売店「茶屋すずわ」や各地の雑貨店、セレクトショップなどへ出荷する。女性を中心に香
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「二俣まつり」大屋台豪快に引き回し 法被姿で威勢良く 浜松・天竜区
北遠を代表する夏祭り「二俣諏訪神社祭典二俣まつり」の宵祭りが18日夜、浜松市天竜区二俣町で行われた。4年ぶりの祭典を心待ちにしていた地元住民らが、大屋台の見物を楽しんだ。 まつりは二俣町内各地区の13若連が、それぞれ彫刻をあしらい幕で飾った大屋台を引き回す。城下連では法被を身にまとった参加者が、かけ声を上げながら屋台を引いて大明神に運び込んだ。屋台の中には子どもたちが乗り込み、練習を重ねた笛や太鼓の音を響かせた。 本祭は19~20日の2日間の日程。町内各地を練り歩いた大屋台13台が諏訪神社に集まり、神事を執り行う。 期間中は交通規制が敷かれる。19・20の両日とも午前9時~午後9時半は
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天竜川下り船転覆事故12年「教訓継承」 関係者ら冥福祈る
浜松市天竜区の天竜川で川下り船が転覆し、5人が亡くなった事故から17日で12年を迎えた。事故現場近くの同区渡ケ島の慰霊碑前で関係者による慰霊式が営まれ、当時川下り船事業を運営していた天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)や沿線自治体の関係者ら24人が追悼した。 事故が起きた午後2時過ぎ、参列者が現場の方角に向けて黙とうをささげた後、慰霊碑に献花した。天竜浜名湖鉄道の松井宜正社長(59)は慰霊碑の前で追悼の言葉を述べ、「事故の教訓を継承して安全運行に努めていく」と誓った。 犠牲者の遺族の参列は5年連続でなかった。事故当時社長だった名倉健三氏(75)は「毎日手を合わせ、冥福を祈っている。自分にできる
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ハラール対応で新工場 水産加工品イスラム圏へ出荷 いまる井川商店(焼津)
水産加工業「いまる井川商店」(焼津市)は、東南アジアや中東の販路開拓に注力している。ハラール(イスラム教の戒律)認証対応の工場を稼働させて漬け魚や切り身の生産態勢を整え、現地の日系量販店や飲食店への出荷を本格化させた。イスラム圏での日本食人気を追い風に商機取り込みを図る。 同社は国内大手スーパーや外食産業などに漬け魚や総菜、切り身を出荷する。国内市場が頭打ちとなる中、2017年ごろから海外輸出や訪日外国人(インバウンド)の需要に着目。アルコール不使用の調味料や製造工程の研究を重ねて2022年、ハラール認証付きの工場を建設した。地上2階建てで、低温冷蔵設備や真空包装装置などをそろえる。
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水難事故防止へ 浜松市、天竜区・阿多古川で啓発
浜松市はこのほど、河川合同巡視を同市天竜区の阿多古川沿いの坂之脇橋付近で行った。水辺のレジャー利用者に環境保全のためのマナー順守と、水難事故防止の心構えを呼びかけた。 市や天竜署、阿多古川環境保全協議会のメンバーが参加し、市が2008年に制定した「浜松市川や湖を守る条例」を啓発するチラシを配布。「ごみの持ち帰り忘れに注意を」「危ないから子どもは1人で遠くに行かないように」などと声をかけた。 同署管内では昨年7月、2件の水難事故が起き、川遊びの子どもが溺れた。堀内公明地域課長は「大人が常に行動を共にし、子供に危険な地点に行かせないようにして川遊びを楽しんでほしい」と語った。
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天竜の勝坂神楽 若い力で継承 10月に4年ぶり奉納
大学生を中心に、中山間地支援などに取り組むNPO法人「わたぼうしグランドデザイン」が6日、浜松市天竜区春野町豊岡の勝坂地区に伝わる市指定無形民俗文化財「勝坂神楽」の発表会を同町で開いた。担い手減少で運営が困難となる中、4年ぶりの実施に向けて若い力で準備から運営までを担う態勢をつくり、10月下旬の祭礼に臨む。 勝坂神楽は400年以上の歴史があり、五穀豊穣(ほうじょう)や子孫繁栄を祈念する。新型コロナウイルス禍で2020年以降は、地域の神社での神楽奉納を中止。担い手の勝坂神楽保存会メンバーの高齢化や減少で、今年も再開のめどが立っていなかった。 同NPOはこれまで8年間、舞いやおはやしの稽古を
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夜空に輝く閃光 伝統紡ぐ 浜松市天竜区「鹿島の花火」
浜松市天竜区の地域伝統の花火大会「鹿島の花火」(区観光協会天竜支部主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が5日夜、同区二俣町鹿島の天竜川河川敷で開かれた。北遠最大規模の花火大会で4年ぶり。会場は約3千発の花火を目当てに訪れた、見物客の歓声と拍手に包まれた。 スターマインを中心とする色とりどりの花火が放つ閃光(せんこう)が夜空に輝いた。鹿島の花火は1875年に始まり、長年地域の夏の風物詩として親しまれてきた。浜松市の「浜松地域遺産」で無形民俗文化財に選ばれている。 会場周辺では露店が並び、夏休みを楽しむ家族連れでにぎわった。 (天竜支局・平野慧)
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静岡の建設業「創造舎」 丸子泉ケ谷の開発に活力 匠宿隣接地に駄菓子店、工房
建設業の創造舎(静岡市葵区)は、静岡市駿河区丸子泉ケ谷地区の不動産開発を本格化させている。市から委託を受けて運営する伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」の隣接地に今夏までに、一棟貸しタイプの宿泊施設や駄菓子店、模型メーカー監修の工房などをそろえる。工芸を観光資源とするまちづくりを通じ、地域活力の創出を図る。 同社は病院や住宅などの設計・施工を手がけるほか、葵区人宿町などでまちづくり事業に注力している。 2021年から管理する匠宿では職人がほぼ常駐する仕組みをつくり、本格的に工芸を学べる空間を整えた。地元産ハチミツのスイーツを提供するカフェやビール醸造所、木育施設も整えて幅広い客層を呼び込
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緑茶輸出額12・6%増 抹茶堅調、円安追い風 23年上半期の静岡県内
財務省が28日発表した貿易統計によると、2023年上半期(1~6月)の全国緑茶輸出量は前年同期比0・9%減の3172トン、輸出額は12・6%増の116億2377万円だった。世界的な景気減速で消費が低迷する中でも抹茶など高付加価値商材の引き合いが堅調で、円安効果も追い風に輸出額が伸びた。 国別輸出額は米国が61億4389万円(前年同期比18・9%増)と首位で過半を占め、台湾が10億3033万円(8・6%増)と続いた。カフェのラテ原料や健康食品などに使われる抹茶など「粉末状のもの」が輸出額全体の73・2%となった。 リーフ茶の輸出量が伸び悩んだ一方、高価格帯の国産抹茶の生産量は需要に追いつか
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静岡・茶問屋 経営革新の波 個性重視、生産基盤を強化 茶工場運営も
国内屈指の茶の集積地、静岡市で事業を営む製茶問屋の経営革新の動きが盛んだ。急須で飲むリーフ茶の市場が縮小する中、商品ブランド力を磨いたり、茶工場運営に乗り出したりして需要開拓・生産基盤強化の取り組みを重ねている。 小柳津清一商店(静岡市駿河区)は近年、抹茶生産に力を注ぐ。静岡県内各地の中山間地の農家と研究を重ね、商品化した高級抹茶を2019年に「天空の抹茶」の名称で商標登録した。 適度な苦みや明るい色合いが評価され、食品メーカーや外食産業などに販路を拡大。引き合いは強く、同社は粉末加工設備を増設して需要に応える生産体制を整えている。今後も国内外に販路を広げる構えだ。 市内の安倍川・藁科
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10代の感性光る 静岡茶 魅力発信 新作は五感で楽しむ一品 静岡商高ビジネス探究部
静岡商業高(静岡市葵区)ビジネス探究部の生徒が、静岡茶の魅力発信に向けた活動を展開している。独自性が光る商品の考案や各地の催事出店などを通じ、若い感性を生かしたアピールを重ねる。 探究部は昨年4月に発足し、生徒6人が商品づくりや販売プランを企画、実践している。包装デザインにこだわった煎茶と和菓子をセットで売り出したり、茶の効能成分をテーマにしたかぶり物を作って催事に出店したりして、お茶になじみが薄い買い物客に興味を持ってもらう工夫を講じている。 今年開発した商品は「新茶&五感で楽しむサウンドリンク」。複数品種の茶を飲み比べて配合を考え、3種類を製品化した。スマートフォンで付属のQRコードを読
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茶況(7月19日)奥山さんら1等1席 荒茶荷口品評会/全国茶審査技術競技大会出場の11人決定
牧之原市の勝間田茶業委員会はこのほど、荒茶荷口品評会を同市の勝間田会館で開いた。深蒸し煎茶の部では奥山浩彰さんが1等1席に輝いた。 品評会には勝間田地区の生産者から深蒸し煎茶の部に24点、普通煎茶の部に2点の出品があった。JA静岡経済連や榛原茶商組合などの審査員が、外観、香気、水色、滋味の4項目を採点した。審査員は「気象条件により摘採時期の見極めが難しい中、香りと滋味のバランスのとれた良品がそろった」と講評した。 このほかの主な入賞者は次の通り。 【深蒸し煎茶】1等2席 勝間田丸朝▽2等1席 飯塚芳武▽同2席 中島安彦▽同3席 横沢秀訓 【普通煎茶】1等1席 村松修治 全国茶審査技
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地元酒米で改良、販路開拓 静岡県内酒造、コロナ後へ踏ん張り
静岡県内酒造会社による商品開発・販路開拓の動きが盛んだ。新型コロナウイルス禍からの復調を期して海外輸出を拡大したり、本県のブランド酒米を用いた清酒作りを推進したりしている。個性あふれる日本酒文化の伝統を継承しながら、新たな発想で成長戦略を前に進める。 地元の酒米を生かし、香り立つ日本酒作りを探求したい-。静岡平喜酒造(静岡市駿河区)は、県内産の酒米や酵母、安倍川の伏流水を用いるなど、地産地消にこだわった純米酒の製造を手がける。 本県産酒米「誉富士」は23年産から新開発の「令和誉富士」に切り替わる。同社は9月以降に、令和誉富士のもろみを仕込み始める予定。戸塚堅二郎社長(36)は味わいや香り
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静岡県産二茶、生産伸びず 営農コスト高騰で収益悪化 飲料は安定
今年の静岡県内産二番茶の収穫が終わった。芽の生育が進まず、荒茶(製品加工前の茶)生産量は前年並みの低水準で終わる見込み。飲料関連以外の茶葉の需要が伸びないため販売単価は上向かず、営農コスト高騰に直面する農家にとって厳しいシーズンとなった。 「生産量が少ないだけに少しでもいい値段をつけてほしい」。6月中旬の静岡茶市場(静岡市葵区)で、茶農家の佐藤真実さん(77)は買い手の製茶問屋と価格交渉を続けた。佐藤さんは、市内中山間地の茶工場グリーンティー大川(同区)の販売担当を務める。茶樹の芽伸びは緩慢で、病害虫の影響もあり、同工場の二番茶生産量は前年比で約4割減った。厳しい販売環境を嘆きつつ、「お
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静岡県ChaOIファクトリー、新設備稼働 茶の新商品開発後押し
茶の実油、フレーバーティーなど加工 再整備が進む県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)で今月、新商品開発研究施設「ChaOI(チャオイ)ファクトリー」の食品加工設備が稼働した。事業者に茶の実油やフレーバーティーなどの試作用機械を貸し出し、茶の魅力を多面的に引き出す企画の実現を後押しする。 同センターは戦前から続く茶業試験場の流れを引き継ぎ、静岡茶の普及や改良、新品種の研究を手がける。施設老朽化への対応や研究機能強化に向けて2022年度、工事に着手した。改修したファクトリーは紅茶・ウーロン茶の製造技術を学んだり、ブレンド茶や茶の実油を試作できたりする設備を備える。 新設備で11日、茶生
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西サハラの実態学ぶ 日本縦断の活動家 静岡県立大で講演
静岡県立大でこのほど、領土問題が続くアフリカ大陸北西部、西サハラの現状を考えるトークイベントが開かれた。自転車で日本を縦断しながら啓発活動を続けるスウェーデン人の人権活動家ベンジャミン・ラドラさん(30)とサナ・ゴトビさん(30)の2人が講演し、学生らに「難民問題や政治的抑圧について、認識を深めてほしい」と呼びかけた。 西サハラは、1975年にモロッコの侵攻を受けて占領下に置かれた地域と、独立派が支配する解放区に分断されて難民が多数生まれ、近年も軍事衝突が起きている。イベントでは、西サハラ問題を描いたドキュメンタリー映画「銃か、落書きか」の上映後、2人が世界16カ国を旅して西サハラの実態を
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有機茶園 病害虫を駆除 静岡県茶業研究センター、寺田製作所が設備開発 作業負担軽減で生産促進
静岡県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)が今年、有機栽培茶生産の専用設備「茶園用病害虫クリーナー」を発表した。製茶機械メーカーの寺田製作所(島田市)との共同開発で、化学農薬に頼らずに病害虫の防除や除草作業を効率化する。農作業負担を軽減することで、中山間地で海外からの需要が高い有機茶の生産促進を図る。 県は有機茶の輸出拡大を目指し、2025年度までに有機栽培面積を20年度比約2倍の400ヘクタールまで広げる目標を掲げる。国際認証「有機JAS」は厳しい規制を課しており、使用できる農薬が限られる。葉を傷める炭疽(たんそ)病や害虫多発による収量減退への懸念は、茶農家が有機農業を敬遠する一因
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一茶生産量 過去最低へ JA経済連まとめ 茶園面積減など影響
今年の静岡県内産一番茶(荒茶)生産量が前年比13・1%減の9120トンと過去最低の水準をさらに下回る見通しとなったことが、3日までのJA静岡経済連への取材で分かった。茶園面積の減少や4月以降の気象条件が響いた。品質は新芽の摘採徹底などで安定し、1キロ当たりの平均単価(荒茶ベース)は1・8%高の1955円だった。 生産量は2年ぶりに1万トンを割り込んだ。今年の一番茶の生育は、2月下旬以降の温暖な気候に支えられ早いペースで進んだ。ただ4月以降は、朝晩の冷え込みで生育が鈍化し、収穫量が伸び悩んだ。 数年来の販売不調や農家の高齢化などで離農が進んでいる点も減産要因となった。新型コロナウイルス禍で
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“おまち”平日歩行者天国、始動 静岡紺屋町名店街 活性化へ人が「まんなか」
JR静岡駅北口側に広がる静岡紺屋町名店街(静岡市葵区)の一部街区で30日、歩行者天国(車両通行止め)の平日実施が始まった。静岡パルコや葵タワーに面する2街区約170メートルで土日祝日と同様、午前11時~午後6時に実施する。“おまち”活性化を図り、歩行者が立ち寄りやすい道路空間づくりを進める。 初日は路面にいすやパラソルが並び、街を訪れた買い物客が腰かける姿が見られた。今後も有志による「紺屋町ストリート実行委員会」が歩行者が楽しめる企画を検討していく。 同名店街は「人が、まんなか。」をまちづくりプランに掲げ、社会実験や話し合いを重ねてきた。同名店街の服部功理事長(6
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水産業デジタル化加速 県本年度予算 「伝道師」育成
静岡県は本年度、生産・流通の両面で水産業のデジタル化を加速させる。関連技術に詳しい漁業者を養成し、各地で活用ノウハウの浸透を図る。仲買人が漁獲情報をリアルタイムで把握する仕組みもつくり、漁業者の所得向上を図る。本年度当初予算で「水産業デジタル技術実装促進事業費」に1千万円を計上した。 本県はこれまで、定置網に備えたカメラでの魚種判別や、養殖場の遠隔監視といった先端技術導入を進めてきた。ただ県によると、水産業界はデジタル化への関心が高い一方、導入効果への理解が不足しているという。 漁業者の業務効率化が課題となる中、現場レベルで技術の浸透を急ぐ。地域水産業の中核を担う漁業士の中から10人を募り、
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小中学生に「茶育」 問屋、農家ら注力 茶の魅力を若年層に発信
静岡県内で小中学生に日本茶の魅力を伝える食育活動「茶育(ちゃいく)」の取り組みが広がっている。急須でいれるリーフ茶に親しむ世帯が減る中、茶業者は国や県の施策を活用しつつ企画の検討を重ね、若年層への浸透を図る。 出版業のマイルスタッフ(静岡市葵区)は5月、「おちゃのえほん」(B5変型判)を発行した。「おちゃって、のんだことある?」の一文から始まる、子どもが水出し茶を入れて家族に喜んでもらう物語。県の茶需要創出事業「ChaOI(チャオイ)プロジェクト」で茶育の商品開発を進める製茶問屋の丸福製茶(同区)と連携し、制作に取り組んだ。 書店での販売やイベントなどを通して絵本を普及させる考え。マイル
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静岡県外産地との連携強化 県茶商工業協同組合/長瀬隆理事長【キーパーソン】
4月に県内301社の製茶問屋を束ねる組合のトップに就任した。茶生産者や行政、さらには他府県産地との連携強化を目指す。 -茶業界の現状をどう見るか。 「新型コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化に向かう中、催事での試飲が可能になり、販売面で明るい兆しがある。スーパー向けの卸売りを手がける企業がインターネット通販に注力するなど、売り方を工夫した市場開拓の動きが強まっている。国内外で抹茶の引き合いは強いが、需給バランスの先行きは見通せない。当面はリーフ茶主体で考えるべきだ」 -取り組みたい事業は。 「静岡茶品評会(鶴亀品評会)などを通じて業界の底上げに努めると同時に、外部との関係を強化し
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抹茶の原料「碾茶」栽培拡大 生産量全国3位、個性発揮へ 問屋と連携、有機栽培も
静岡県内で近年、抹茶原料の「碾茶(てんちゃ)」栽培が広がっている。飲料やスイーツ、健康食品など多彩な用途で需要が拡大する中、各地で専用工場の新設も進む。海外需要に応え、生産者と製茶問屋が連携して有機栽培の抹茶生産に取り組む動きも加速している。 県内碾茶工場の先駆けとして1989年に生まれた青羽根茶業(藤枝市岡部町)は、市内茶商に茶葉を供給する。本県主力品種のやぶきたのほか、おくみどりやさみどりといった碾茶栽培に適した品種を栽培し、香り高く色つや優れた茶作りを探求する。羽山光春代表(69)は「茶葉の蒸し方、加熱時間など試行錯誤のくり返しで奥が深い」と話す。 碾茶は収穫前の2~3週間ほど、こ
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かつお節販売 海外に商機 焼津・新丸正が新冷蔵倉庫、商品開発も
かつお節製造の新丸正(焼津市)は、欧州連合(EU)諸国やアジア圏への削り節やだしパックの輸出を強化する。約5億円を投じて建設した冷蔵倉庫を3月に本稼働させた。海外の日本食人気や健康意識向上に商機を見込む。 同社は市内で水揚げされる冷凍カツオを加工し、削り節や液体調味料、粉末といった最終製品を自社で一貫製造する。近年は手軽に本格的なエキスを抽出できるだしパックの引き合いが国内外で伸び、生産ラインを拡張してきた。 2017年にかつお節製造工程で世界最高水準とされるEUの基準を満たした「HACCP(ハサップ)」(危険度分析による衛生管理)認証を取得。温度や衛生面の管理を強化するために新冷蔵倉
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スタートアップ企業 静岡県、支援に本腰 産学官金連携 基本戦略策定へ
静岡県は本年度、スタートアップ企業支援に本腰を入れる。新たに基本戦略を策定して新事業創出やマッチング機能強化に向け、産学官金の関連支援機関同士の連携を深める。企業が取り組む実証試験や試作品製作も下支えして事業化を後押しする。 県は5月下旬に開いた支援戦略策定委員会の初会合で、基本戦略の骨子案を示した。大学教授や金融機関、企業経営者などの委員が8月まで協議を重ね、戦略案をまとめる。 骨子案ではスタートアップの支援に不可欠な要素として「創出」「育成」「連携」の三つを挙げた。大学発ベンチャーの育成や、コーディネーターの相談対応を通じた創業・事業革新支援のほか、学生や社会人への起業家教育も進めて
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静岡県から3点金賞 全国新酒鑑評会
酒類総合研究所(広島県)は12日までに、2022酒造年度(22年7月~23年6月)全国新酒鑑評会で特に優秀な成績を収めた「金賞酒」218点を公表した。本県からは神沢川酒造場の「正雪」、三和酒造の「臥龍梅」、志太泉酒造の「志太泉」の3点が入賞した。 鑑評会には全国から818点が寄せられ、専門家や学識経験者らが香味や味わいを審査した。都道府県別の金賞点数は20点の山形県が最多で、兵庫県(19点)、長野県(16点)と続いた。
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G7首脳会議に静岡茶 国内外での商機拡大に期待
広島市で5月19~21日に開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、各国首脳に静岡茶が振る舞われた。海外需要が期待される有機煎茶やボトリング飲料のアピールの場となり、関係者は知名度の高まりによる国内外での商機拡大に期待する。 老舗製茶問屋の白形伝四郎商店(静岡市葵区)が製造する有機煎茶は、20日の社交夕食会のメニューに採用された。市内産の茶葉を強火で焙煎(ばいせん)して引き出した甘みや香りが特徴で、20年ほど前に商品化した。 同社には茶のサミット提供は事前に知らされず、白形和之社長は「開催後に知人から聞いて驚いた」と振り返る。サミット後は注文や問い合わせが殺到しているという。白形
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家具メッセ開幕 33社がアピール 11日まで、ツインメッセ静岡
新作家具の見本市「シズオカKAGUメッセ2023」(静岡県家具工業組合主催)が7日、静岡市駿河区のツインメッセ静岡で始まった。県内の家具メーカーや関連業者33社が出展し、新作家具の発表を通じて技術力やデザイン性などをアピールする。9日までは業者商談日で、10、11の両日は一般公開する。 キャッチコピーは「〝ときめき〟に、逢いにいこう。」。職人が技術を凝らして開発したテーブルやいす、ソファ、仏壇などを幅広く紹介する。県インテリアコーディネーター協会と協力し、暮らしの中での家具の活用法を提案する特別企画も展開している。 入場無料。一般公開は午前10時から午後5時(最終日は午後4時まで)。
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シズオカKAGUメッセ 自信作勢ぞろい 新たな可能性提案 独自のデザイン、技術PR
静岡市駿河区のツインメッセ静岡で7日開幕した新作家具見本市「シズオカKAGUメッセ2023」は、県内メーカーがバイヤーとの商談を展開し、静岡県地場産業の技術力をアピールしている。洋風インテリアに対応した小型仏壇、細部にこだわった机や棚など、各社が自信作をそろえて家具の可能性を提案している。 仏壇製造の大伸木工(同区)は、自宅で故人をしのぶ製品シリーズ「家具といのり」の新作「祈りの門」を発表した。瓦をイメージした屋根をかぶせた小型仏壇で、遺影や位牌(いはい)を安置できる。マンションの内装との調和を考え、落ち着いた色彩でまとめた。 同社は2017年にブランドを立ち上げ、「最近3年間でシリーズ
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農福連携へハーブ栽培 静岡の障害者就労支援事業所 生産緑地を活用
障害者就労継続支援B型事業所のニュートラル(静岡市駿河区敷地)は、IoT(モノのインターネット)技術を活用した養液栽培によるハーブ生産を手がけている。障害者の就労機会と農作業の担い手確保を両立する「農福連携」の取り組み。同区高松の施設でベトナム料理に用いられるパクチーファランの安定生産を目指す。 同事業所では知的障害などの利用者が軽作業に従事する。工賃向上や安定して作業できる現場の確保を図る中で、2020年から経営に携わる鍬竹教男代表は農福連携に着目した。 浜松市内のベトナム人向け食材店の要望を受けてパクチーファランを生産品目に選び、持続可能な栽培形態を模索。東レ建設(大阪市)が展開する
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二番茶生産本格化 茶業者が準備に熱 「手ごろでおいしい」多様な商品開発
静岡県内産二番茶の収穫が6月上旬、各地で本格化する。近年は4~5月に生産される高価格帯の一番茶需要が伸び悩む一方、用途が幅広い二番茶の重要性が高まっている。県内茶業者は「手ごろな価格のおいしい茶を届けたい」と準備に熱意を込める。 「気温や適度な降水量に恵まれて生育は良好だね。病害も見られない」。静岡市駿河区丸子の茶農家、大高一彦さん(69)は二番茶摘採に向けた肥料散布や防除といった茶園の管理作業を進めている。 適度に日が差す地形を生かして茶を作り、自前で販売する。毎年の新茶作りに力を注ぐが、「二番茶だからこそ提供できる味わいもある」と語る。一番茶生産後に残った茎と二番茶をブレンドして製造
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静岡駅周辺で食べ飲み歩き!「おまちバル」に85店舗、9日から
JR静岡駅周辺の飲食店で6月9~11日、食べ飲み歩きを楽しむイベント「静岡おまちバル」(実行委主催)が行われる。飲食店や商店約85店舗が自慢の逸品や酒類をアピールし、にぎわい創出を目指す。 5枚つづり4800円、3枚つづり3千円の前売りチケットを販売する。利用者は1枚ごとに「フライドチキンとハイボール」や「おでんと緑茶割り」といったドリンク1杯と1品メニューのセットを楽しめる。各商店では、チケットを洋菓子や新茶などと引き換えることもできる。 前売り、当日チケットはコンビニや書店、専用アプリ「ぶらりん@タウン」で販売している。詳細は静岡おまちバル実行委員会のウェブサイトで確認できる。松下和
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ケアプラン作成、AIが支援 西山病院グループ(浜松市西区)【DX最前線】
医療法人社団一穂会の西山病院グループ(浜松市西区)が今年3月、高齢者のケアプラン(介護サービス計画)作成を支援する人工知能(AI)システムを導入した。ケアマネジャー(介護支援専門員)の経験や技術とデータ分析を掛け合わせることで、ケアプランの精度向上や介護現場の負担減につなげる。 介護関連のスタートアップ企業シーディーアイ(東京都)が開発した「SOIN(そわん)」は、約50万件の介護データ学習に基づき、要介護者向けの支援メニューを提案する。画面上で身体機能や疾患履歴など約70項目を入力すると、数値やグラフを用いて1年後の状態予測や改善に向けた支援方法を示す。 西山病院グループでは、ケアマネ
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家康公ならい「茶詰めの儀」 静岡市内産新茶、つぼで秋まで熟成
静岡市やJA静岡市などでつくる駿府本山お茶まつり委員会はこのほど、茶つぼで熟成させた茶を楽しんだ徳川家康ゆかりの「茶詰めの儀」をJR静岡駅北口地下広場で行った。茶業者の佐藤誠洋さんと藤田匠さんが煎茶道静風流家元の海野俊堂さんの指導を受け、市内産新茶をつぼに詰めて封印した。 家康は茶つぼを冷涼な井川大日峠(葵区)のお茶蔵で熟成させ、香りや風味が深まった秋に封を解き、駿府城で茶会を開いたと伝わる。故事にちなみ、新茶はお茶蔵に運び込み、10月の「口切りの儀」を経て、久能山東照宮に奉納する。 会場では2月に同市で開かれた、小学生が茶の入れ方や知識を競う「T-1グランプリ」の上位入賞者が呈茶の点前
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指物家具広め77年 静岡の森下木工所閉業 伝統の技 暮らしにぬくもり
戦後間もなく創業し、77年続いた家具メーカー森下木工所(静岡市駿河区中島)が31日を最後に閉業する。江戸時代から続く「駿河指物」の伝統を受け継ぎ、暮らしに寄り添う品を開発してきた2代目森下雅行さん(75)は「最後の1日まで、細部にこだわった家具を求めるお客さまと語り合いたい」と話す。 藤枝市岡部町に土場を構え、熟成させたケヤキやクワといった広葉樹の丸太から家具を製作する。くぎを使わずに木と木を組み上げる「仕口」の構造を用い、木材の魅力を最大限に生かす設計を特徴とする。落ち着きのある色合いのタモ材や、繊細な木目を生かしたヤマザクラの家具ブランドを立ち上げ、国内外のファンに恵まれた。 陶器や
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静岡紺屋町名店街の平日歩行者天国 準備進む 6月30日から
JR静岡駅北口前の静岡紺屋町名店街の一部街区で6月30日、歩行者天国(車両通行止め)の平日実施が始まる。土日祝日の歩行者天国を平日に拡大する試みは、同駅前中心市街地では初めて。商店主らは“おまち”の活性化に向けた取り組みを展開していく。 平日の歩行者天国は同名店街の3街区のうち、静岡パルコや葵タワーに面する2街区約170メートルで実施する。実施時間は平日・土日祝日ともに午前11時~午後6時。 同名店街は2005年ごろから、にぎわい創出を目指して歩行者優先の道路空間に改修する「モール化」の検討を進めてきた。5月26日には葵タワー前に放置自転車対策の路上駐輪ラックが完
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静岡県産一茶 生産量最低水準 4月以降の生育鈍化、摘採面積減響く
静岡県内の一番茶生産が一部地域を除いて終わった。4月以降の朝晩の冷え込みといった気象条件や摘採面積の減少が響き、生産量は過去最低水準まで落ち込むとみられる。全国で展開される新茶販売が低調に推移する中、日本一の生産地として消費者のニーズに沿った茶づくりの重要性が一段と増している。 今年は2月下旬以降に温暖な気候に恵まれ、各地の茶園で新芽が早いペースで育ち、静岡茶市場(静岡市葵区)は新茶初取引を史上最速の4月13日に行った。ただ4月上旬以降に一転、生育が鈍化し、一番茶の収穫はピークらしいピークを迎えずに終わった。同市場で1日当たり本茶取扱量が4万キロを超えた日数は、前年の7日に対し、今年は4日
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デジタル茶況 多くの産地で一茶終了【1週間のハイライト 5月13~19日】
県産一茶は多くの産地で終末を迎え、本山筋や清水、東部などの一部工場が生産を続けている。 富士は800~700円台の終値が多い。かぶせは引き合いが堅調で、終盤までしっかりした値動きが続いている。富士は来週に生産終了の見通し。 本山筋は大川や梅ケ島などの山間地で摘採が進む。品質への評価は安定している。 15日に初荷の商いがあった県外産の種子島二茶は品種の顔ぶれが広がっている。来週は鹿児島県本土物二茶の取引が始まる。
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家康グッズ続々 静岡県内茶業者ら 故事にちなみ魅力発信へ
大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせ、県内の茶業者らが徳川家康にちなんだ関連商品や企画を次々と打ち出している。家康に好まれ、江戸時代に発展した静岡茶の魅力を県民や観光客にアピールする。 老舗製茶問屋の白形伝四郎商店(静岡市葵区)は、江戸幕府の御用茶だった市内産「本山茶」で作る「徳川将軍家献上深むし茶」の販路開拓を進めている。5種類の茶葉を焙煎(ばいせん)して仕上げ、久能山東照宮に奉納した品で、白形和之専務は「家康公が愛飲した香り高い茶のおいしさを伝えたい」と話す。 静鉄リテイリング(同区)は、徳川家の家紋「三つ葉葵」をあしらったリーフティーカップを開発した。カップに湯を入れるだけで本
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デジタル茶況 中西部の多くが終了へ 静岡の茶問屋街【1週間のハイライト 4月29日~5月5日】
磐田や榛原、坂部など県中西部の多くの産地が一茶生産をほぼ終えた。静岡市中では東部中心の取引に移りつつある。 1000円台主体の相場は下落基調で推移し、一部で1000円を挟んだ攻防がみられた。磐田や榛原、相良では900円台や800円台で終了した品もあった。 八十八夜を過ぎて、仕入れにめどをつける買い手が増えている。あっせん業者によると、持ち込み数量が膨らんだ荷を値下げして売り切る局面も多かったという。 静岡茶市場の上場量も減少傾向に転じた。本山筋の形状物は2000円台に入り、売れ足が早まった。市場での販売を終える工場が出始めている。
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母の日 新茶で憩いの時間 静岡県内業者、工夫凝らし商品開発
5月14日の母の日を控え、新茶のギフト販売が佳境を迎えている。香りや味わいが深まった一番茶を仕上げる時期と母の日は重なるため、県内茶業者はアイデアや工夫を凝らして厳選した商品を売り出す。 老舗の小山園茶舗(静岡市葵区)は、川根や牧之原などの一番茶をブレンドした商品「若葉」と、県内産玉露を使ったカステラのセットを提案する。常連客やSNSで興味を持った購買層による予約注文数が昨年比で約1割増えたという。15年ほど前に始めた母の日ギフトの累計販売数は1万2千個。成岡敬悟専務は「家族でお茶を楽しむ時間の魅力を感じるきっかけになれば」と期待する。 創業約150年の本目浅吉商店(同区)は新茶とカーネ
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新茶香る 八十八夜 静岡県内各地で生産最盛期
2日は立春から数えて88日目の「八十八夜」に当たる。収穫のピークを迎えた静岡県内茶農家は1日、晴天の下で刈り取りに汗を流した。 静岡市葵区西又の斉藤茶園は、山間地で約20種類の品種を育てる。1日は標高400メートルに位置する茶園に可搬摘採機を運び込み、もえぎ色の新芽を収穫した。園主斉藤勝弥さん(70)は「今年もきれいに育ってくれた。収穫作業は5月下旬までの長丁場だが、丁寧に摘み取っていきたい」と話す。 有機栽培を手がけ、近年は紅茶生産にも力を注ぐ。昨年から茶業に携わるようになった娘、祐子さんと力を合わせて生産・販売を進める。祐子さんは「奥が深いお茶づくりの伝統を次代につないでいく」と語る
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デジタル茶況 早場所の生産終盤へ 静岡の茶問屋街【1週間のハイライト 4月22~28日】
八十八夜を控え、静岡県内の新茶生産は各地で盛期を迎え、持ち込み数量が膨らんだ。静岡市中では、28日までに早場所産地の磐田や初倉が終盤を迎える一方、遅場所の富士の出回りが始まった。多くの荷が2000円を割り込み、1000円台主体の取引に移行している。 新茶の売り出しに向け、買い手は値ごろ品の仕入れを進めている。ただ、慎重姿勢は変わらず、商談成立に時間を要して値下げを強いられる場面が多かった。 静岡茶市場の県産一茶上場量は28日に4万5000キロを超え、今期最多を更新した。本山筋などの形状物には一定の引き合いがみられるが、上級茶の需要が限られる中、軟調な相場展開が続いている。
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運転手の働き方改革「2024年問題」 バス・タクシー対応苦慮 業務効率化、人員拡充急ぐ
静岡県内のバス・タクシー事業者が、国の残業規制に伴う「2024年問題」への対応準備に苦慮している。運転手の稼働時間減は新型コロナウイルス禍からの業績復調への足かせとなりかねず、各社はシステム導入による業務効率向上や人員拡充などの対策を進める。 貸し切り観光バスの静鉄ジョイステップバス(焼津市)によると、コロナ禍で激減した修学旅行バスの予約件数が回復しつつある。ただ24年4月以降は運転手の1日当たりの最長拘束時間が1時間減るため、丸1日周遊する修学旅行は運行時間を縮めざるを得ない。 安全対策室の井柳新二課長は「楽しい旅行の時間が減るのは心苦しいが、旅行会社と行程を調整していくしかない」と話
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3茶祖に茶業発展祈る 静岡・臨済寺で献茶式
静岡市や市内の茶業者、JAでつくる市茶業振興協議会は24日、茶業発展の礎を築いた「3茶祖」に市内産新茶を供える献茶式を同市葵区の臨済寺茶祖堂で行った。 同寺にまつられている3茶祖は中国から茶の種を持ち帰って栽培を始め、喫茶養生記を記したことでも知られる栄西禅師、静岡茶の祖とされる聖一国師、喫茶作法を伝えて草庵(そうあん)式茶道を創立したとされる大応国師。読経や焼香が行われる中、集まった茶業関係者ら約45人が茶業界の繁栄を祈った。 献茶式は1948年から実施されている。振興協議会長を務める市経済局の大村博農林水産統括監は「身が引き締まる思い。市内でお茶の生産が最盛期を迎える中で、消費拡大に
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高級一番茶をボトリング カネス製茶(島田)事業本格化、飲食店など販路開拓
製茶問屋のカネス製茶(島田市)は、今年の新茶シーズンにボトリングティー事業を本格化させる。飲食店などへの提案を強化するとともに、クラウドファンディングを通じた個人向け販売も進める。事業を担当する小松元気さん(28)は「新茶の豊かな香りを届けることで、急須で飲むリーフ茶の魅力発信にもつなげたい」と話す。 同社は茶の販路開拓を進める中で、ノンアルコール飲料市場の広がりに注目し、新ブランド「イブキ・ボトルドティー」を立ち上げた。熱処理をせずに、水と茶葉のみで製品化する「フィルタード・コールドブリュー製法」を採用し、茶本来のうまみや香りを引き出した商品を実現させた。 希少品種「金谷いぶき」のボト
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1キロ120万円 清水・両河内の「高嶺の香」が最高値 新茶初取引
静岡茶市場(静岡市葵区)の新茶初取引で、両河内茶業会(同市清水区)の機械もみの茶「高嶺の香」が1キロ当たり120万円で最高値だった。 同会の茶に最高値が付くのは7年ぶり。購入した和田長治商店(同市葵区)の和田夏樹社長(36)は「高い品質のお茶に最高の評価をつけることで、魅力を広く伝えたい」と話した。 手もみの最高値は、JAふじ伊豆が販売した富士宮産の茶で、1キロ当たり111万1111円だった。
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餅まき、手もみ実演4年ぶり 新茶初取引で催し 静岡茶市場
13日の静岡茶市場(静岡市葵区)新茶初取引では、呈茶サービスや青果の物販など一般客向けのイベントが4年ぶりに行われた。 建物2階のバルコニーからのもちまきでは、川勝平太知事や難波喬司静岡市長らが来場者に紅白のもちを投げた。 茶の手もみの実演も行われ、同市内産新茶をほいろの上で丁寧にもんでいた。茶市場の担当者は「久しぶりにお茶の歴史や文化を多くの人に直接伝えることができた」と語った。
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技能実習制度30年の岐路 静岡県内企業戦力として定着 受け入れ継続へ体制整備重要
外国人技能実習制度が4月で創設から30年を迎えた。実習生は人手不足に悩む県内企業の戦力として定着した。ただ、構造的な課題が指摘され、政府の有識者会議が制度の廃止と新ルール創設を提言するなど外国人材受け入れ施策は岐路に立つ。継続的に外国人を受け入れるための環境づくりの重要性が増している。 自動車用シートの裁断縫製を手がける平野ビニール工業(磐田市)は、従業員約150人の半数以上を外国人が占める。中でもフィリピンやベトナムからの技能実習生は60人近くに上る。 国籍の区別がない評価制度導入や実習生らをまとめる外国人のリーダー育成、日本語教育の充実化など外国人が働きやすい体制を整え、作業レベルを
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早めの新茶期 準備万端 静岡県内生産本格化、消費拡大図る
今シーズンの静岡県内産一番茶の生産が本格化する。新芽の生育は順調に進み、静岡茶市場(静岡市葵区)は開設以来最も早い日取りとなる13日に初取引式典を開くなど、新茶商戦のムードが高まっている。新型コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化へ向かう中、茶業者はイベント出店や販促活動を通じて消費拡大を図る。 静岡茶市場で6日、わせ品種「摩利支(まりし)」の生葉を1次加工した荒茶が取引された。前年より7日ほど早く摘採した茶は、色つやともに優れて、好評だった。栽培した同区内牧の森内吉男さんは「十分に雨が降ってくれて、きれいに育った」と話した。 県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)によると、調査用
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デジタル茶況(4月11日)県産一茶 本山、磐田が上場 静岡茶市場
静岡茶市場の本県産一茶は磐田と本山筋の内牧、丸子から荷が届いた。本山筋は来週以降、上場数量が伸びる見通し。 静岡市中では初倉からの入荷があった。あっせん業者は「品質は例年並み。週内に顔ぶれが増える」と話す。 静岡茶市場の鹿児島県本土物の上場数量は1万6800キロで、親値は3000円台から2000円台でまちまち。郡部問屋は「香りがのってくるのはこれから」と語る。
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デジタル茶況(4月10日)磐田の荷を取引 静岡市中と静岡茶市場
静岡市中に磐田の荷が届いた。問屋数社が買い求め、5000円台半ばで取引された。静岡茶市場にも磐田と磐田豊田からおおいわせとさえみどりが届いた。 生産者からは、気温低下に起因する霜害を指摘する声が聞かれた。県中部の生産者は「対策をとっているが、今週の気温動向は気がかり」と不安を隠さない。 静岡茶市場の鹿児島県本土物の上場量は約1万5000キロ。市中問屋は「品質はまずまず。価格の動向を見極めたい」と話す。
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農家の安定経営支える 収入保険導入4年 加入4倍、販売額下落や自然災害対応
農家が対象の収入保険に加入する農業経営体数が伸長している。青果物の販売単価下落や自然災害に伴う経営打撃へのセーフティーネットとして、運営する県農業共済組合(NOSAI静岡)は自治体や各JAと連携しつつ普及に力を注ぐ。 袋井市のメロン農家久野英敏さんは、2019年から収入保険に加入する。ハウスでの養液栽培を手がける中、停電で設備が止まるなどのリスクを考慮して加入を決めた。「保険があることで安心して未来を見据えた栽培や販路開拓に取り組める」と語る。 NOSAI静岡によると、県内の収入保険加入件数(3月9日時点)は2138件と、制度を開始した19年の548件から約4倍に増えた。加入経営体の品
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静岡県内JA、相次ぐ支店統合 サービス維持へスマホ教室 高齢農業者の“デジタル力”支援
静岡県内JAで、組合員向けにスマートフォン教室を開催する動きが広がっている。農家の経営相談に対応する支店が減少する中、高齢農業者のデジタル対応を支援し、金融や共済などの既存顧客の維持拡大を図る。 菊川市の河城地区センターで3月中旬、約10人がスマホの使い方を学んだ。JA遠州夢咲職員が講師で、地図やLINE(ライン)など各種アプリや、音声入力機能の使い方を伝えた。参加者で市内の茶農家岩沢鈴代さん(75)は「最近スマホに替えたので詳しい使い方を知ることができて良かった。LINEで家族や友人とやりとりしたい」と話した。 JAグループはスマホを習熟した高齢者に、アプリを通じてJAの活動を伝えるほ
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新品種「しずゆたか」命名 静岡県茶業研究センター 飲料、輸出需要に対応
静岡県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)は4日、新たに育成した茶のおくて品種を「しずゆたか」と命名したと発表した。大量生産型で病害への耐性が高く、ペットボトル飲料の原料や海外輸出向け製品としての需要が期待される。2023年春に苗木の流通を開始する予定。 しずゆたかは1995年に交配した品種で、育成時の系統名は「95-7-35」。2022年7~8月に流通時の名称を公募し、寄せられた164件から選んだ。今年3月30日、農林水産省が品種登録出願を公表した。 急須で入れて飲むリーフ茶需要が低迷する一方、茶飲料製品の消費動向は堅調を維持する。同センターによると、しずゆたかの1アール当たり収穫
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新茶初取引、4月13日 静岡茶市場 最も早く
静岡茶市場(静岡市葵区北番町)は31日、新茶シーズンの幕開けを告げる新茶初取引を4月13日に行うと発表した。1956年の同市場開設以来最も早い。内野泰秀社長は「茶業者らが一堂に会する機会を早めに設け、新茶商戦の機運を高めたい」と話す。 同市場が静岡県内JAから集めた情報によると、各茶産地での生育は順調という。気温がやや高く推移し、降水量も安定している点から、4月18日に初取引を迎えた昨年よりも前倒しで収穫が進むとみている。 初取引は、午前6時半から県内茶生産者や製茶問屋、行政関係者らが集まり茶業活性化を祈るセレモニーを行う。新型コロナウイルス禍で休止していた、一般客向けの呈茶や手もみ茶づ
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おまち歩行者天国平日も 静岡・紺屋町名店街 “玄関口”活性へ今夏
JR静岡駅北口側に広がる静岡紺屋町名店街の一部街区で今夏にも、土日祝日に実施している歩行者天国(車両通行止め)を平日に拡大する。構想から15年かけて実現する中心市街地の活性化策で、商店主らは店舗改修やイベント企画など“おまちの玄関口”のにぎわい創出に向けて思いを巡らす。 同名店街の3街区のうち、静岡パルコや葵タワーに面した2街区約170メートルについて、午前11時~午後6時の歩行者天国を平日にも拡大する。各種イベントや物販を行ったり、憩いのスペースを設けたりする計画だ。 歩行者天国が拡大される区間にある、わさび漬けの老舗、田丸屋本店は2月に改装オープンしたばかり
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記者コラム「清流」 おまち活性化に熱意
JR静岡駅前に広がる中心市街地で、新型コロナウイルス禍で一時休止していたイベントの数々が再開し始めた。ピンクの花で街路を彩ったり、歩行者天国でクラフト市を展開したりして、商店主らが活性化策を講じている。SNSを用いた情報発信も盛んだ。 街の魅力向上が移住者呼び込みにつながると期待する旧知の老舗食料品店主は、商店街の既存イメージにとらわれずに、若い人の着想を生かす考えという。回復基調の訪日旅行者の需要も取り込む構えだ。 市街地では再開発の動きも進む。全国に誇れるおまちの伝統と新たな発想の融合による都市空間の魅力向上は、にぎわい創出に思いを巡らせる人々の熱量が支えている。 (経済部・平野慧
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おまちの未来、若手が設計 地下街→吹き抜け空間/大型建屋→分けて更新 自由な発想で提言 静岡の建築事務所
“おまち”の未来デザインを大胆に描く-。企業組合針谷建築事務所(静岡市駿河区)の若手建築家が、JR静岡駅北側の静岡紺屋町・静岡呉服町の両名店街活性化に向けた提案をまとめた。老朽化した都市機能の改良に向けて地下街を立体的な吹き抜け空間に再生したり、大型建築物を段階的に建て替えたりする斬新な発想を提言している。 同事務所が創立記念の節目に開いている企画展で、市の将来像を自由な発想で提案している。過去には市民文化会館建設や伝馬町地区の再開発などで、提案内容の一部が具体化した実績もある。75周年の今回は「環境と建築」をテーマに、高齢化や都市基盤の変化を踏まえ、2名店街の課題
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茶況(3月27日)種子島一茶が入荷 静岡市中
鹿児島県種子島産一茶が、静岡市中に約20キロ届いた。品種は松寿(しょうじゅ)。28日は種子島茶生産組合(同県西之表市)から300キロ以上入荷し、静岡市中と静岡茶市場で取引される予定。 静岡県各地でも一茶生産に向けた準備が進んでいる。静岡市内の生産者は「生育は前年よりやや早い。適期摘採を心がける」と話す。市中問屋は「上級茶の需要は限定的。仕入れ総量は前年並みを見込む」と話す。
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会計の大切さ知って ゲーム形式で児童に講座 静岡
日本公認会計士協会東海会(名古屋市)は25日、子どもたちに会計の大切さを伝える講座「ハロー!会計」を静岡市駿河区で開いた。小学5・6年生約70人が、ゲーム形式で会計の基礎を学んだ。 講座では公認会計士約15人が講師を務めた。文化祭の模擬店を例にして、売上から費用を差し引いた金額がもうけになる仕組みを解説。児童らはたこ焼きや綿菓子など4種類の模擬店の販売価格や固定費などを基に計算を進め、利益を出すためのポイントを考えた。 同会は会計の考え方を啓発する活動の一環として、各地で講座を展開している。担当した会計基礎教育推進委員会の林直人委員長は「お金に関する正しい知識を学ぶ重要性は増している。楽
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聖一国師石碑に献茶 静岡茶の祖 無病息災、茶業の発展祈る 静岡・葵区
静岡茶の祖とされる聖一国師が生まれた静岡市葵区栃沢で25日、献茶式が開かれた。地元の茶農家らが集まり、茶業発展や無病息災を祈願した。 地元の小中一貫校、大川小中の生徒6人が、手もみで仕上げた茶を聖一国師の生家前に建つ石碑に供えた。 献茶式は4月2日に開かれる奥藁科・大川お茶まつり(実行委主催)の行事の一環。まつり当日は、しだれ桜が咲き乱れる中、大川地区内の農家やカフェが煎茶や菓子、そばなどを来場者にアピールする。
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製茶や茶摘み オーナー募集 静岡、足久保の茶農協
静岡市葵区足久保地区の茶農家でつくる足久保ティーワークス茶農業協同組合は4月5日まで、新年度の「茶畑オーナー」を募集している。茶樹植え付けや製茶体験を楽しめる「マイ茶の木プラン」を用意し、消費者にお茶の魅力を発信する。 茶畑オーナー制度は、茶愛好家らが会費を支払って茶園の維持管理を支援したり、茶摘みなどに参加したりする仕組み。プランの年会費は3万円。4月に茶樹を植え、茶農家とともに生育を見守っていく。年間を通じて茶畑や茶工場で刈り取り、紅茶製造といった農家さながらの体験ができる。年4回、足久保茶を受け取れる特典もある。
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6歳で英検準2級合格「小学校でも勉強頑張る」 静岡・駿河区の葛野真愛さん
静岡市駿河区の葛野真愛[まな]さん(6)が、1~2月に行われた実用英語技能検定(英検)で高校中級レベルの準2級に合格した。主催する日本英語検定協会によると、両親が英語話者でない6歳児の準2級合格は珍しい。 真愛さんは「英語を習得して将来に役立ててほしい」との両親の意向で、2歳時から今年3月までインターナショナルスクール「NBインターナショナルキンダーガーテン」(同区)に通った。先生や友達との会話や授業を楽しむ中で、英語力は飛躍的に向上。同スクールの田形和仁社長は「英語への興味を深め、積極的に学習していた」と振り返る。 家庭でも、タブレット端末を用いた教材や書籍を読んで英語に親しんだ。英検
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サブスク滞在サービス拡大 ホテル施設や物件、静岡県内事業参画増加 背景に「多拠点生活」の需要
静岡県内でサブスクリプション(定額課金制、サブスク)型の滞在・宿泊サービスに事業参画する宿泊施設や物件所有者が増えている。リモートワークの普及を背景に、全国各地を移動して暮らす「多拠点生活」を選ぶ動きがにわかに広がっており、事業者は空き家を改装したりホテルの客室を有効活用したりして、県外客の呼び込みを進めている。 海風に当たりながら、パソコンで海外と通信して仕事する-。静岡市駿河区のJR用宗駅から徒歩10分の住宅街に、空き家を再生した滞在拠点がある。不動産業アドレス(東京都)が展開する、月額料金制(9800円から)で自由に国内各拠点に滞在できるサービスの登録物件の一つで、全国から会社員や旅
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茶況(3月16日)台湾茶の種類や入れ方を解説 静岡で研修会
日本茶インストラクター協会県支部はこのほど、台湾茶を学ぶ研修会を静岡市葵区で開いた。台湾で茶販売を手がけ、日本茶アドバイザーでもある王韻婷さんが、台湾茶の種類や入れ方を解説した。 参加した日本茶インストラクターらは、さまざまな形状の緑茶や紅茶、ウーロン茶を飲み比べ、香りや後味などの意見を交わした。王さんは「交流を盛んにして、台湾でも日本茶の魅力を伝えていきたい」と語った。 ※婷は女ヘンに亭
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茶況(3月15日)鹿児島の生育 1~2日早く カワサキ機工調査
製茶機械メーカーのカワサキ機工(島田市)はこのほど、新茶の生育状況を鹿児島県で調査した。本土物の南薩や大隅の摘採期は前年より1~2日ほど早くなる見通し。 調査は3月1~4日、種子島や屋久島、頴娃など各地で行われた。同社は南薩・大隅を「総じて園相は良好で緑色を感じる茶園が多い」と評価している。 種子島の極わせ品種松寿(しょうじゅ)は開葉期を迎えていて、生育は前年より7~8日早い。さえみどりやゆたかみどりも、4日前後早い萌芽(ほうが)状況という。
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茶況(3月10日)新団長に太田さん 静岡県茶業青年団
静岡県茶業青年団(県茶青)は9日、総会を静岡市葵区で開き、新団長に太田茶店(森町)の太田貴久さん(41)を選んだ。任期は1年。 副団長にはキムラ加工(島田市)の木村恭輔さん(42)、カネタ八木商店(藤枝市)の八木良浩さん(41)が就いた。太田団長は「魅力ある組織づくりを進め、消費拡大に取り組みたい」と抱負を語った。 総会ではこのほか、団則を改正し、団員資格の年齢をこれまでの45歳以下から47歳以下へと引き上げた。
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アジアのシェフに 静岡県産品PR 輸出拡大へ技術や魅力紹介
静岡県は2月下旬、アジア圏のシェフや食品バイヤーを県内に招き、県産食材のPRに向けた視察会を開いた。魚介類や日本酒といった本県特産品の個性を引き出す料理人や魚屋の熟練技術を紹介することで、外国での食材活用を促し、輸出拡大を図る。 視察会では韓国、タイ、シンガポール、ネパールの4カ国の計9人が、焼津市の日本料理店の茶懐石温石[おんじゃく]やサスエ前田魚店などで本県の食文化を学んだ。 サスエ前田魚店店主の前田尚毅さんは、仕入れの際の目利きのポイントや、魚の鮮度を保って出荷するための冷やし技術などを解説。タイ人の料理人らが魚介類の輸入に強い関心を示した。前田さんは「技術を参考にしてもらい、本国
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小学生「Tー1グランプリ」 千代田東5年・柴戸さん優勝 茶の入れ方や知識競う
静岡市内の小学生が茶の入れ方や知識を競う「T-1グランプリ」(同実行委主催)がこのほど、静岡市葵区の静岡茶市場で開かれ、千代田東小5年の柴戸胡々羽さんが優勝した。 児童75人が参加し、茶の知識を問うクイズや茶種を当てる競技、急須を使った入れ方の所作を競った。総合点で入賞者を決めた後、決勝戦を行った。 他の主な入賞者は次の通り。 ②麻生果歩(安東5)③角田くるみ(竜南5)④石上知由(服織5)⑤青嶋拓人(千代田東6)
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JR草薙駅で足湯体験 草薙学生団体が企画 焼津温泉提供の湯活用
静岡市清水区草薙地区の活性化に取り組む学生らの団体「Con-Takt(コンタクト)」が25日、足湯を楽しむイベントをJR草薙駅南口で開いた。焼津温泉から湯の提供を受け、駅利用客や周辺住民をもてなした。 同団体の学生会員が駅前スペースで温泉につかる企画を発案し、焼津市の協力を得て実施した。来訪者は効能豊かな湯に脚を浸して堪能した。飲食店などもブース出店し、休日の駅前に活気をもたらした。 榛葉伊緒里代表(20)は「他地域と連携してまちを盛り上げる企画を今後も考えていきたい」と語った。
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共生のまち、みんなで創ろう 障害者理解深化へ討議 静岡市駿河区
静岡市は25日、市民の声を行政施策に反映させるための「Voice of(ボイスオブ)しずおか市民討議会」を同市駿河区で開いた。市民約30人が「みんなで創る共生のまちしずおか」をテーマに、障害者への理解深化に向けて意見を交わした。 討議会は6グループに分かれて実施した。参加者はまず、健常者と障害者が支え合う環境づくりに関する希望やプランを付箋に記入。その上で「障害に関する知識や理解を深める機会を増やしたい」「災害時にスマートフォンで助けを呼ぶためのアプリが必要」といった意見を発表した。 討議会は市民らによる実行委員会が企画し、住民基本台帳から1500人を無作為抽出して参加を呼びかける形式で
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消費拡大、和紅茶に活路 18日、静岡茶市場3年ぶりまつり ニーズ対応、県産品の価値訴求
静岡茶市場(静岡市葵区)が18日、3年ぶりとなる消費啓発イベント「茶いちばまつり」を同市場で開く。県内産和紅茶を飲み比べる機会を設けて茶の魅力を多面的に伝え、消費拡大を図る。新茶期を控える生産者は、幅広い世代への静岡茶の価値訴求に向け、厳選した商品を出品する。 豊かな香りや味わいを伝えたい-。マルヒ製茶(磐田市)はまつりで、香りに特徴がある品種「香駿」や「さやまかおり」の和紅茶を出品する。台湾での研修旅行などを重ね、紅茶の製法を研究してきた鈴木英之代表は「輸入品の紅茶にはない長所を感じてもらえれば」と話す。 まつりの開催は2回目。約20種類の和紅茶の飲み比べ体験をプログラムのメインに据え
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緑茶輸出 最高を更新 北米やアジア向け好調 伸びは鈍化、先行き不透明
北米やアジア向けの緑茶輸出額が増加基調を維持している。財務省貿易統計によると、2022年の輸出額は前年比7.1%増の218億8742万円、輸出量は1.3%増の6262トンと過去最高を更新した。粉末タイプの商材需要が堅調で、円安も押し上げ要因となった。ただ、ロシアのウクライナ侵攻などが世界経済に影を落とし、過去2年と比較して伸び率は鈍化しており、先行き不透明感が漂い始めている。 年初こそ好調だったが、ウクライナ侵攻で物価高が進んだ欧州連合(EU)向けの出荷が減退した。輸出量全体でも伸び悩み、9~12月は4カ月連続で前年を割り込んだ。輸出額の伸びは、円安に振れた為替影響に支えられた面が強い。
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静岡・駿河区のスギセキ 子ども食堂に寄付
石油製品販売業のスギセキ(静岡市駿河区)はこのほど、静岡市子ども食堂ネットワーク(同区)に5万円を寄付した。 運営するガソリンスタンド2店舗で手がけた車体コーティング作業の売り上げの一部や、来店客から募った浄財を寄せた。食材の購入費に充てられるという。 飯沼直樹理事長に寄付金を手渡したスギセキの永田浩章執行役員統括部長は「子ども食堂を支える取り組みを続けていきたい」と話した。
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キャベツ加工時のかすから堆肥 JAふじ伊豆、業者と連携し実験
JA静岡経済連とJAふじ伊豆は、キャベツを加工した後の残りかすから作る植物性堆肥の実証実験を富士宮市で始めた。出荷先の企業と連携し、野菜を堆肥として再利用する循環型農業の仕組みを構築し、食品ロス削減や営農コスト抑制を目指す。 植物性堆肥開発のきっかけは、県東部8農協が合併して誕生したJAふじ伊豆が2022年、キャベツの加工部会を同市内に設立したこと。生産者の安定収益確保を目的に、現在は主に業務用のキャベツ出荷に力を注いでいるが、出荷先の田形青果(静岡市駿河区)では、加工時に出る芯や外葉などの廃棄物処理が課題となっていた。 このため、植物性肥料製造を得意とする企業と連携し、牛ふんなどと混
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養生の仙薬 香り、効能 可能性広がる【令和の静岡茶㉚/終章 次代への胎動②】
こはく色の液体は舌触りがなめらかで、ナッツのような芳香を放っていた―。創業100年の白形伝四郎商店(静岡市葵区)は、茶の種子を搾って作る「茶ノ実油 GOLD TEA OIL(ゴールド・ティー・オイル)」を2016年に売り出した。 健康増進効果のコエンザイムQ10やビタミンEを豊富に含み、当初は食用で販売した。肌に優しくべたつかない点が認められ、化粧品の材料にも用いられるようになった。用途は広がり、20年に繊維メーカーと共同でオイルを練り込んだ抗菌マスクを開発した。 茶の実は、生産者の高齢化などで管理できなくなった放棄茶園を活用し、閑散期の秋冬期に摘む。農家の収益確保と茶畑の景観維持につな
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茶況(2月3日)茶と楽しむメニュー 駿河総合高と考案 静鉄リテイリング
静鉄リテイリング(静岡市葵区)は、駿河総合高(同市駿河区)と連携し、緑茶と共に楽しむアフタヌーンティーのメニューを開発した。同社が運営する茶文化発信施設「玉露の里うさぎの隠れ家」で提供する。 静岡県の茶産出額減少や急須離れに着目した同校3年の女子生徒らが、授業の一環で「若者のお茶離れ×ヌン活」と題した企画を立てた。緑茶を楽しむ時間の魅力発信に向け、イチゴのモンブランや玉露どら焼き、サラダなどと品種茶「藤枝かおり」を楽しむメニューを考案した。事前予約制で2200円。
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開かれた業界へ 担い手 性別、国籍問わず 【令和の静岡茶㉙/終章 次代への胎動①】
廃業手前から一転、女性経営者が新機軸を打ち出して茶の魅力の再発信に挑む製茶問屋がある。岩崎恭三商店(静岡市葵区)の岩崎麻須美さん(29)は業界の固定観念にとらわれず、ゼロベース思考で商品開発を手がける。 当初は家業を継ぐ意志はなかった。3年ほど前、父から閉業方針を聞いた時、「子どもの時から身近にある店をなくしたくない」とただ、強く感じた。 知識、経験なしの状態から修練を重ねて事業承継し、22年に新ブランド「お茶と、暮らしと」を立ち上げた。テーマは「女性」と「ギフト」。現代に働く女性がほっとできるひとときの提案を目指し、洒脱(しゃだつ)なデザインの一煎パックやチーズケーキ、カヌレなどの洋菓
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茶況(1月31日)初手もみ茶完成 静岡市長に報告 手揉保存会
静岡市茶手揉保存会は30日、静岡市役所静岡庁舎に田辺信宏市長を訪ね、新年の初手もみ茶の完成を報告した。同保存会の牧野力雄会長と県茶手揉保存会の平柳利博会長が、手もみ茶の伝承・保存に向けた取り組み内容を報告した=写真=。 初手もみ茶は1月中旬、静岡市葵区内牧で作った。茶を贈られた田辺市長は「海外輸出を進める上で手もみ技術は外国の人への訴求力となる。後進の育成をお願いしたい」と話した。
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家康時代から続く鋳物文化発信 栗田産業 静岡市にショールーム
金属鋳造の栗田産業(静岡市駿河区)が26日、鋳物製品ブランド「重太郎」のショールーム兼販売店舗を同区豊原町に開いた。スズ製などの食器展示や製造工程の紹介を通じ、伝統的な鋳物産業の魅力を発信する。 1890年創業で、工作機械や産業用ロボット向けの部品製造を手がける。技術を生かして生活に身近な品を作る企画として2017年、創業者の名前に由来する「重太郎」ブランドを立ち上げた。 水や酒の酸味や苦みをやわらげ、まろやかにするとされるスズを材質にビアグラスやぐい飲みを開発。ミニ四駆をかたどった箸置きや、県の鳥「サンコウチョウ」をモチーフにした鋳鉄製栓抜きなども商品化した。オンラインショップや催事な
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茶況(1月24日)鈴木長十商店の「極の茶箱」大臣賞 全国観光土産品審査会
全国推奨観光土産品審査会(日本商工会議所など主催)がこのほど開かれ、鈴木長十商店(森町)の「至福 極の茶箱」が食品部門で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。 県内生産者が作る希少な茶18種類をきり製のミニ茶箱と風呂敷で包み、優れたギフト商品と評価された。 審査会は魅力的な観光土産品の育成や発掘を目的としていて、今年で63回目。「菓子」「食品」「民工芸」「グローバル」の4部門に計553商品が寄せられた。
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トラック運転手確保待ったなし 迫る「2024年問題」 女性や外国人 新たな担い手、環境整備急ぐ
人手不足が深刻化する静岡県内運輸業界で、女性や外国人を起用する機運が高まっている。トラック運転手の時間外労働への規制強化に伴う「2024年問題」が迫る各社は、新規担い手の受け入れ拡大に向けた環境整備を急ぐ。 富士市の羽衣運輸では16年、同社初の女性運転手として杉山佳世子さん=同市=が入社した。今後の女性雇用促進を見据えて新たに更衣室を整え、育児や親の看病と両立できる体制づくりも進めた。村松由起専務は「男性社員と助け合って仕事する雰囲気が生まれ、社内の風通しも良くなった」と語る。 長らく男性社会とされてきた運輸業界。20年以上の運転手経験を持つ杉山さんは「男女の隔てなく意見が言い合えるよう
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低温保管で鮮度保つ コールドチェーン整備に注力 沼津中央青果 地元生産者の収益安定へ
青果卸売市場運営の沼津中央青果(沼津市)が、低温保管で野菜や果物の鮮度を保つコールドチェーン整備を軸とした事業革新に取り組んでいる。生産者の収益安定に向けた取引形態確立や商品のブランド化などを通じ、県内産青果物の販路拡大に挑む。 同社は2014年、JR沼津駅南口徒歩15分の同市丸子町から、国道1号沼津バイパス沿いの同市原への移転を機に、売り場の気温を10~15度に保つ設備を採用した。導入面積は県内最大の2400平方メートル。高鮮度の青果を出荷する体制を整えたことで、量販店や大型食品工場、「オイシックス」や「アマゾンフレッシュ」といった食品宅配サービス向けのレタスや枝豆、ポンカンなどの取扱量
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経営強化へ人材育成 静岡県農業法人協会 事業計画を決議
静岡県農業法人協会(事務局・JA静岡中央会)は18日、通常総会と新春祝賀会を静岡市葵区で開いた。会員事業者の経営力向上に向けた人材教育、農業高・大学などとの連携強化を盛り込んだ2023年度の事業計画を決議した。23年度は新入社員向けビジネスマナー研修会などを実施するほか、新型コロナウイルス禍で制限されてきた視察研修や交流サイト(SNS)での情報共有も活性化させる。 新春祝賀会では、高糖度トマト生産のサンファーマーズ(静岡市駿河区)の稲吉正博代表が「静岡発 めざせ世界ブランド!」と題して講演した。
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茶況(1月16日)茶業発展を祈願 初手もみ 静岡市の保存会
静岡市茶手揉保存会はこのほど、新年の初手もみを同市葵区内牧で行った。会員約30人が集まり、一年の健康と茶業発展を祈願した。 冷凍保存していた茶葉約15キロを6台の焙炉(ほいろ)の上で数時間もんだりほぐしたりする工程を重ね、乾燥させて仕上げた。 手もみ茶は1月下旬に田辺信宏市長に贈る予定。保存会の牧野力雄会長は「イベントや教育関係の行事など、手もみ技術紹介の機会を増やす一年にしたい」と話した。
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「高価格」緑茶で勝負 静岡県内製茶会社、需要開拓狙い商品続々発売
静岡県内の製茶会社が緑茶飲料を瓶に入れたボトリングティーや高級ティーバッグなどの高価格帯商品を相次いで発売している。急須を持たない世帯が増えて緑茶の消費が伸び悩む中、開発を重ねて需要開拓を進める。新型コロナウイルス禍からの飲食・宿泊業の復調を追い風と捉え、新たな販路を探る動きも生まれている。 カネス製茶(島田市)は2022年、ボトリングティーの新ブランド「イブキ・ボトルドティー」を立ち上げた。製茶工場内に専用ラインを整備。高温加熱殺菌せずに微細なフィルターでろ過することで、茶葉本来の豊かな香りや風味を残す技術を導入した。 希少品種のボトリングティー 自社研究茶園で開発した、希少品種「金
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静岡・ハットパーク用宗 東棟を秋に開業 CSA不動産 観光回復見込む
CSA不動産(静岡市葵区)が今秋、同市駿河区用宗に商業施設「ハットパーク用宗」東棟を開業する。アイワホールディングス(同市葵区)との協業で、訪日観光客数の回復などを見込み、地域の観光資源充実を図る。 両社は2021年、海岸沿いに位置する旧水産加工場跡地にハットパーク西棟を開設。新型コロナウイルス禍でも近隣県などからの来客は堅調で、雑貨店やカフェなどのテナント入居が進んだ。22年に延期していた東棟建設を決め、同年12月に着工した。 東棟は2階建てで延べ床面積が約620平方メートル。アイワホールディングスが土地・建物を所有して建設し、CSA不動産が設計、賃貸を担う。全8区画に料理店やアパレル
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2カ年計画を決議 自然災害対策など重点活動 静岡県JA青年大会
JA静岡青壮年連盟はこのほど、第50回県JA青年大会を静岡市駿河区で開き、2023年度からの2カ年計画を決議した。 新2カ年計画は、農業所得向上▽農業の将来への継承▽組織基盤の強化-の3項目が柱。重点活動には、台風や大雨など自然災害に備えた事業継続計画(BCP)の学習、交流サイト(SNS)を通じた消費者への情報発信、健康意識向上などを盛り込んだ。 同連盟の乗松純一委員長は「長く受け継がれてきた情熱を次世代に伝えるために活動を発展させていく」と話した。
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介護ロボ技術紹介 静岡でフォーラム
介護労働安定センター静岡支部は12日、福祉現場での情報通信技術(ICT)活用を考える「介護ロボット地域フォーラム」を静岡市駿河区で開いた。 行政や福祉事業所などは介護ロボットに関する施策や活用状況を報告。体験展示コーナーに出展した約20事業者は、要介護者を遠隔から見守る機能や介護記録の管理システムなどの技術を紹介した。 車いすとトイレの間などでの立ち上がり動作を支える移乗サポートロボットを披露したベルメディカルケア(同市清水区)の担当者は「現場で活躍する介護福祉士のニーズに応えたい」と話した。 高齢化が進む中、介護業界では先端技術導入への関心が高まっている。同支部の柿本茂支部長は「介護
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もう一度行ってみたい温泉地 熱海8位 リクルート全国ランキング
リクルートはこのほど、「じゃらん人気温泉地ランキング(もう一度行ってみたい温泉地)2023」の全国トップ50を発表した。本県からは熱海温泉が前年と同じ8位に入ったほか、修善寺温泉38位(前年40位)、伊東温泉・宇佐美温泉47位(同49位)となった。 1位は箱根温泉(神奈川県)で、草津温泉(群馬県)、登別温泉(北海道)と続いた。熱海温泉は関東・甲信越在住者からの評価が高かった。年代別では20代で2位、30代4位と若年層からの人気を保っている。 「最近1年間に訪問した経験がある温泉」では、熱海温泉は箱根温泉に次いで2位。伊東温泉・宇佐美温泉は9位、伊豆長岡温泉24位だった。訪問経験はないが一
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茶園減少 静岡県茶商理事長が方針提案 需要対応の一手、不可欠【解説・主張しずおか】
静岡県内茶園減少に歯止めがかからない。農林水産省の2022年作物統計調査によると、静岡県の茶栽培面積は21年比4・8%減の1万3800ヘクタールと、担い手が減る中で規模縮小は当面続くとみられる。ドリンク原料生産や有機栽培など、需要に適した茶づくりを通じ、静岡県基幹産業の維持発展につなげる努力が一層求められている。 全国の面積推計は3万6900ヘクタール(2・8%減)で、静岡県は減少率が最も高かった。生産量で静岡県とほぼ拮抗[きっこう]する鹿児島は8250ヘクタール(0・6%減)で、静岡・鹿児島の両県が過半を占める状況が続く。 本県の茶園は、1988年の2万3300ヘクタールをピークに減少
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三保原屋LOFT(静岡)に大賞 地域のお店デザイン表彰
静岡県は22日、外観デザインや地域社会への貢献度などで優れた個店を顕彰する「地域のお店デザイン表彰」の表彰式を静岡市葵区で開いた。大賞(知事賞)に輝いた三保原屋LOFT(静岡市葵区)の代表者らが川勝平太知事から賞状とトロフィーを受け取った。 三保原屋LOFTは、来店客が快適に買い物できる安心感のある店舗づくりや、障害のある子どもたちの手作り雑貨の販売、アート作品展示などの取り組みが評価された。 このほかの受賞者は次の通り。 優秀賞 長坂養蜂場はちみつスイーツアトリエ(浜松市中区)杉山農園直売所・ura(静岡市駿河区)▽特別賞 おやつのお店秘密のぬけあな(河津町)dolip(沼津市)キウ
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農業技術、業種越え成長 静岡県研究拠点「アオイパーク」設立5年
静岡県の先端農業技術研究拠点「AOI-PARC(アオイパーク)」=沼津市=の設立から5年が経過した。農業関連企業の技術革新と商業ベースでの実用化を進め、高品質な青果物生産や農作業の省力化を後押ししてきた。拠点を活用する企業は業種の垣根を越えて連携し、商機を模索する。東南アジアでの事業展開を見据えた動きも生まれている。 アオイパークは2017年8月、同市西野の旧東海大沼津校舎跡地に開設された。慶応大や理化学研究所が参画し、温度や湿度、光量などの環境を制御して生育状況を比べる実験装置を整備。温室や栽培実証用の農地も整え、機能性を備えた種苗の選抜や気象変動に対応した栽培法の研究などを重ねてきた
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養鶏業 苦境の冬 飼料高騰、鳥インフル…卵価格上昇 転嫁に限界
ロシアのウクライナ侵攻による飼料の供給不安や円安に起因する価格の高止まりで、県内養鶏業者の経営が厳しさを増している。高病原性鳥インフルエンザの全国的な感染拡大による流通量減少がさらに鶏卵価格を押し上げる要因となっていて、飼料コスト上昇分の全てを価格転嫁できない状況に陥っている。 採卵鶏を約7万羽飼育する東富士養鶏場(御殿場市)の10月のえさ代は、前年同月比で4割以上増えた。県の「飼料価格高騰緊急対策事業」による補助金を活用しながら、飼料会社との価格交渉を続けている。 富士山の麓で作る鶏卵「御殿たまご」が同市のふるさと納税返礼品になるなど、ブランド化の途上にある。石田史社長(58)は「光熱
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呉服町名店街「ごふクリ」 出店やステージ、買い物客楽しむ 静岡
静岡市葵区の静岡呉服町名店街は17、18の両日、個性豊かな出店やステージパフォーマンスを通じて、クリスマスムードを楽しむ催し「ごふクリ」を開いた。 サンタクロースやトナカイに扮(ふん)した大学生や高校生らがそりをひいて通りを歩き、子どもたちに菓子の詰め合わせを手渡した。フローリストが作った花束をその場で大切な人に贈る「クリスマス花おくり」も行われた。 ステージでは、南米音楽のグループ「イジャイ」などが公演し、買い物客の注目を集めた。静岡呉服町名店街事務局の綱島由恵さんは「寒い中でも多くの人に楽しんでもらえた。皆で協力して来年も開催したい」と話した。
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個性発揮へ産地の挑戦続く 品種多様化、新時代拓く【令和の静岡茶㉘/第7章 再生への希望④完】
旧池新田村(現在の御前崎市)出身の実業家、丸尾文六が荒れ野原の牧之原台地の開墾に着手したのは1871年だった。一帯は刀をすきに持ち替えた士族や農民の奮闘で、日本屈指の茶産地に姿を変えた。御前崎では今も、丸尾たちの開拓魂を受け継いだ後進の挑戦が続いている。 官民連携の御前崎市茶業振興協議会は、エメラルドグリーンの水色と豊かな香りが特徴の品種「つゆひかり」の消費拡大に2000年代から取り組む。料理店や菓子店と連携し、茶とスイーツをセットで売り出す「つゆひかりカフェ」、手摘み体験付きの散策イベント「茶園ピクニック」の開催といった地道な活動を重ねてきた。 「御前崎茶の生き残りをかけ、地域一丸とな
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高田さん(JAふじ伊豆)金賞1席 静岡で県いちご品評会
静岡県野菜振興協会(事務局・JA静岡経済連)は15日、県いちご果実品評会を静岡市駿河区で開き、JAふじ伊豆の高田祐樹さんが最高位の金賞1席、農林水産大臣賞に輝いた。 県内から紅ほっぺ108点、きらぴ香33点の計141点が出品され、県職員や野菜ソムリエらが外観や食味を審査した。 このほかの主な入賞者は次の通り(かっこ内は所属JA)。 【金賞】永倉千春(ふじ伊豆)神田豊通(同)栗本めぐみ(遠州夢咲)渡辺裕介(同) 【銀賞】遠藤誠(ふじ伊豆)山本芳明(静岡市)小田貴生(遠州夢咲)丹羽進(遠州中央)青島一欽(静岡市)杉山雅彦(ふじ伊豆)中村達之(遠州夢咲)渡辺裕介(同)岡田拓也(同)永倉玄太
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和紅茶への期待感 商品続々、個性発揮が鍵【令和の静岡茶㉕/第7章 再生への希望①】
静岡茶市場の拝見台に11月下旬、多様な形状や色合いの和紅茶が並んだ。製茶問屋や観光業者、料理人らが試飲して香りや味わいを比べ、入札した。JA静岡経済連などが初開催した求評会は富士や丸子など県内各地から和紅茶やウーロン茶の逸品が寄せられ、栽培技術向上に向けて活発な議論が展開された。 参加した問屋役員は「首都圏の茶専門店などからのニーズは高い。特徴豊かな紅茶を見ることができた」と満足げ。経済連の真田泰伸茶業部長は「継続的に開催し、和紅茶に関心を持つカフェや菓子店にも参加してもらうことで盛り上げていきたい」と話す。 国産紅茶とも称される和紅茶の歴史は古い。世界的な紅茶需要に合わせ、明治期に英米
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辛口吟醸酒「吟醸からっ風」発売 静岡県中部の酒販店団体
静岡県中部の酒販小売店でつくる「からっ風会」(栗田哲也会長)は7日、恒例のオリジナル吟醸酒「吟醸からっ風」を発売した。年末需要を見込み、静岡、焼津、藤枝各市の同会会員13店舗で売り出す。 原料は磐田産山田錦を使う。花の舞酒造(浜松市浜北区)が、9カ月間の長期低温熟成工程を経て仕上げた。辛口で豊かな香りが特徴だという。1・8リットル換算で4千本を限定販売する。 同会は細部にこだわった酒造りを目指す酒販小売店が集まり、34年にわたってからっ風を販売する。栗田会長は「繊細かつふくよかな味わい。年末年始に和食と合わせて楽しんでほしい」と話す。 価格は2750円(1・8リットル入り)など。問い合
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静岡にイノベーション拠点「SHIP」 県、2023年3月開設
静岡県は2023年3月、情報通信技術(ICT)に精通する人材育成に向けたイノベーション拠点「SHIP(シップ)」を静岡市葵区に開く。施設を使う事業者間の交流を促し、課題解決や新規事業創出を図る。 JR静岡駅北側の市街地のビル2階に入居予定で、床面積は約200平方メートル。施設を活用する企業の社員、学生などがオンラインの勉強会や打ち合わせができる環境を整えた。県から委託を受けたCSA不動産が運営する。 大学やコンサルティング企業と連携し、人工知能(AI)やブロックチェーン(BC)といった最先端技術習得につなげる講座を展開するほか、プログラミングなどを学ぶワークショップを実施する。ICTに詳
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全国優良経営体 農家が受賞報告、県庁訪ね川勝知事に
地域農業の振興に取り組む担い手を顕彰する全国優良経営体表彰(農林水産省など主催)を受けたカネ十農園(牧之原市)の渡辺知泰代表と、グリーンフィールド浜松(浜松市浜北区)の鈴木雅清代表がこのほど、県庁に川勝平太知事を訪ね、受賞の喜びを伝えた。 茶業を手がけるカネ十農園は販売革新部門で最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。茶園面積を10年間で約4倍に拡大。都内に店舗を構え、販路開拓を進めた点なども評価された。 経営改善部門で農林水産省経営局長賞を贈られたグリーンフィールド浜松は、遊休農地の活用や障害者の農業参画を促す「農福連携」に取り組んだ。 渡辺代表は「今後は海外にも販路を広げたい」、鈴木代表は
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台風浸水も迅速対応 静岡農業高栽培8品目 静岡県版GAP取得
静岡農業高(静岡市葵区)環境科学科の1年生がこのほど、校内で栽培する8品目全てで農産物の安全性を示す静岡県独自の認証「静岡県版GAP(ギャップ)」を取得した。9月の台風による浸水被害に対応しつつ、認証付きの秋冬野菜の収穫を進めている。 県版GAPは生産履歴の記録や保管、廃棄物の衛生管理といった、各種農作業の工程に関する約80の基準項目を満たすことで取得できる。 同科は2021年、「農業と環境」の授業で小玉スイカ、枝豆、スイートコーンの3品目で県版GAPを取得した。22年はキャベツ、ブロッコリー、白菜、大根、レタスの5品目で挑戦。朝のほ場観察や授業中での記録を通して、施肥や清掃などの各工程
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販売高1100億円へ基盤強化 JAグループ2カ年計画
JA静岡中央会は2日までに、2023~24年度の県内JAグループの基本目標を示す2カ年計画大綱をまとめた。27年度末までに販売高を17年度比2割増の1100億円に引き上げる目標達成に向け、販路開拓や担い手確保を進める。 基本目標には、持続可能な経営基盤の確立や産地の維持・拡大に向けた農業振興などを掲げた。長引く新型コロナウイルス禍や農業資材高騰による経営圧迫を念頭に、肥料や農薬などの予約購買を促進したり、県内各JAの垣根を越えた効率的な販売体制を検討したりする。 求人サイト「しずおかの農業ではたらこう」を用い、多様な働き手確保に取り組む。農業経営の下支えに寄与する政策の実施要請など、国や
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京都で全国お茶まつり開幕 全国茶品評会 最高評価の相藤園(川根本町)、山東茶業組合(掛川市)に賞状
第76回全国お茶まつり京都大会(日本茶業中央会など主催)が19日、京都府宇治市で開幕した。静岡県など全国の茶業者が集い、業界の垣根を越えた連携や、販売形態の工夫などにより、日本茶の需要創出に努めるとする大会宣言を決議した。 式典は日本茶業中央会の上川陽子会長(県茶業会議所会頭)が「肥料や燃料の高騰など茶業を取り巻く状況が厳しさを増す一方で、新しい商品作りが進み、輸出額は増加している。ニーズに的確に応え、日本茶文化の発展を図っていく」とあいさつした。 褒賞授与式では、今年の全国茶品評会(全品)で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した相藤園(川根本町)と山東茶業組合(掛川市)、産地賞の掛川市が賞状
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静岡市内食べ歩き 学生の菓子企画も 11日から「オール静岡秋バルWeek」
静岡市内約140の飲食店などで11日から、食べ歩きを楽しむ催し「オール静岡秋バルWeek(ウイーク)」(事務局・静岡おまちバル実行委員会)が行われる。大学生が企画した「スイーツ小町」も同時開催する。20日まで。 JR静岡、草薙、清水の各駅周辺や由比・蒲原地域の飲食店や小売店などが参加する。5枚つづり5800円などの前売りチケット、当日券をコンビニや書店、専用アプリ「ぶらりん@タウン」で販売。券1枚ごとにドリンク1杯と1品メニューのセットや、限定商品などを提供する。 スイーツ小町は静岡大地域創造学環の学生らが考案し、20店舗が参加する。飲食店やカフェが洋菓子やジェラート、ドリンクなどのメニ
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レタス販売目標 30%増、30億円 静岡県協議会が販売対策会議
静岡県レタス協議会(事務局・JA静岡経済連)はこのほど、静岡市駿河区で本県のブランドレタス「うまレタ。」の販売対策会議を開き、本年度の販売目標額を前年度比30・6%増の30億円、出荷数量を5・2%増の1万2500トンに設定した。業務需要回復などによる平均単価の上昇を見込む。 県内各JAや首都圏の青果市場担当者らが意見交換した。消費拡大に向け、調味料メーカーのキユーピーと連携し、小売店でドレッシングとレタスを一緒に売ったり、宣伝イベントを実施したりする「静岡ペイザンヌサラダ企画」を行う。 ガソリンや資材の高騰で収益が圧迫される状況を踏まえ、配送先の集約・整理による輸送効率化や、包装用ラップ
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「晩茶」の魅力広がれ 産地の垣根越え消費開拓 静岡県内「研究会」活動本格化
耕作放棄地を活用して、薄茶色の水色と豊かな風味が特徴の茶づくりに挑む「晩茶研究会」の活動が本格化している。発酵茶の需要を見込み、産地の垣根を越えて生産技術を磨き、魅力発信を進める。 晩茶は十分に生育した硬い茶葉で作る。日々の煎茶栽培を行う中で「うまみの少ないお茶でもおいしく飲めるんじゃないか」と考えた袋井市の茶農家や焼津市の茶商らが、茶文化に詳しい元愛知大教授の松下智さんを会長に迎え、乳酸菌発酵の晩茶づくりに挑戦。刈り取った茶葉を熟成させ、天日干しで乾燥させて作り、「菩提[ぼだい]酸茶」と名付けて商品化した。 菩提酸茶は県内の個性ある茶を顕彰する「ふじのくに山のお茶100選」に選ばれる
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「内牧大茶会」豪雨復興願う 静岡市葵区 地域盛り上げへ熱意
静岡市葵区の内牧町内会は3日、市特産の本山茶を味わう「内牧大茶会」を同区の結成寺で開いた。台風15号の豪雨被害で開催が危ぶまれたが、「地域を盛り上げたい」との住民の熱意で実現。市内外から千人以上が訪れ、茶の香りや味わいを堪能した。 大茶会は地域産業の茶を振る舞う恒例行事で、新型コロナウイルス禍の影響で開催は3年ぶり。地域の愛好会がしつらえた茶席に来場者が列を作り、煎茶や抹茶を楽しんだ。境内では伝統的な手もみ茶の実演が披露され、地元農産物やスイーツなどの販売コーナーもにぎわった。 地域を流れる内牧川は9月の豪雨で決壊し、多くの世帯で家屋が浸水被害にあったり、茶畑が崩落したりした。参加が難し
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大川キャンプ場周辺を草刈り 静岡アクタガワ
介護事業を手がけるアクタガワ(静岡市葵区)は3日、同区の中山間地域の大川地区で景観整備活動を行った。地域貢献事業の一環。 大川オートキャンプ場に社員約15人が集まり、生い茂った草を刈る作業に汗を流した。同社は国連の持続可能な開発目標(SDGs)につながる活動を県内各地で実施している。芥川崇仁社長は「地域密着の企業として、コミュニティーの活性化に貢献したい」と話した。
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学校教育に予算 普及へ正念場 愛飲の習慣化、食育が光【令和の静岡茶⑱/第5章 茶文化新考②】
「すっきりして飲みやすい」「色がきれい」。静岡市葵区の安西小で7月中旬、児童たちが長方形のテーブルを並べ、7種類の水出し茶を飲み比べた。人気が高かった煎茶とほうじ茶、和紅茶のティーバッグを家庭に配布し、和食給食の日に水筒に入れて持参してもらう取り組みを進めている。 市が本年度始めた「静岡茶と食べる和食給食事業」。小中学校4校で行われ、来年度以降に実施校を広げていく計画で、市学校給食課の担当者は「『お茶っていいな』と感じる子どもが増えてくれれば」と期待する。 本県では長年、茶文化を伝える教育に予算が投じられてきた。 県は2014年、次世代への茶文化継承に向けて5カ条の「茶の都しずおか憲章
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インストラクター協会過渡期 多様な入れ方探究、提案【令和の静岡茶⑰/第5章 茶文化新考①】
おいしい茶の入れ方の参考指針を半世紀ぶり改定へ-。8月、静岡茶市場(静岡市葵区)に集まった日本茶鑑定士らは、湯温や浸出時間などの組み合わせを数十通り試し、煎茶や玉露の香りや滋味などを評価した。 お茶の指導者資格「日本茶インストラクター」の育成や認定を担う日本茶インストラクター協会(東京)は、緑茶の標準的な入れ方の探究に向け、データ分析を進めている。 現在の入れ方の基礎である1973年発行の学会誌「茶業研究報告」によると、「煎茶(上)は70度で120秒浸出」。品種や仕上げ茶が多様化する現代に合わせ、これら当時の感覚を見直す。 静岡大の協力を得てカテキンやアミノ酸含有量といった化学面も分析
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「静岡の茶草場農法」知事顕彰 三浦さん、荒畑さんに賞状
静岡県はこのほど、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」知事顕彰の贈彰式を静岡市駿河区のグランシップで開いた。川勝平太知事がカネトウ三浦園の三浦克暢さん(島田市)と、荒畑農園(牧之原市)の荒畑賀範さんに賞状を手渡して努力をたたえた。2人は生物多様性保全への貢献や、小中学校と連携した環境教育の実践などが評価された。三浦さんは「顕彰を励みに農法の魅力を発信していく」、荒畑さんは「従業員と力を合わせて継承につなげていく」とそれぞれ抱負を語った。 茶草場農法は茶畑周辺で刈り取ったササやススキなどを有機肥料として用いる農業技術で、2013年に世界農業遺産に認定された。知事顕彰は農法の維持継承に向け、202
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茶況(10月27日)赤堀商店(御前崎)が農水大臣賞 鶴亀品評会
静岡県茶商工業協同組合(県茶商)は26日、第56回静岡茶品評会(通称・鶴亀品評会)の擬賞会議を開き、1キロ当たり4千円に仕上げた「鶴印」は、赤堀商店(御前崎市)が1等1席の農林水産大臣賞に輝いた。2千円「亀印」の1等1席となる農林水産省農産局長賞には鈴木長十商店(森町)が決まった。 出品点数は計101点で、内容や入札販売会の結果を総合して評価を決めた。表彰式は11月16日に県茶業会館で開く。 このほかの入賞者は次の通り。 【鶴印】1等 ②丸山製茶(掛川市)③牧之原製茶(御前崎市)▽2等 ①おさだ製茶(森町)②八幡屋茶舗(同) 【亀印】1等 ②おさだ製茶(同)③鈴木長十商店(同)▽2等
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野生鳥獣肉加工施設 ジビエ工房ジミート(浜松市天竜区) 地域活性化を期し再開【しずおかMIRUI企業】
新型コロナウイルス禍や豚熱(CSF)の影響で廃業した、野生鳥獣肉(ジビエ)加工施設「ジビエ工房ジミート」(浜松市天竜区春野町)が11月再開する。新たに代表に就いた高林麻里さん(42)は「地域の雇用創出や町おこしにつなげたい」と話す。 春野町は茶やシイタケ栽培などに加え、ジビエ産業も盛ん。地元猟友会が野生のイノシシやシカを捕獲する。ジミートは、食肉やペットフード用商材の加工拠点として機能してきた。 2019年以降、家畜伝染病の豚熱が広がり、イノシシが減少した。そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルス禍。出荷先の料理店や旅館が営業自粛や時短営業を強いられ、需要が減退。ジミートは担い手の高
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茶況(10月26日)抹茶墨汁に 書道体験 お茶まつり関連行事
静岡県茶業会議所はこのほど、心を落ち着かせて茶を楽しむスタイルを紹介する活動の一環で企画した催し「抹茶で書道」を静岡市駿河区で開いた=写真=。世界お茶まつり2022秋の祭典の関連行事。 同市在住の書道家松蘭(しょうらん)さんが講師を務め、天然抹茶の製造過程で生じる、商品化できない粉末を墨汁の代わりに使い、毛筆で字を書くポイントを伝えた。 参加者はそれぞれ「茶」の字を書きながら、抹茶の色や香りを楽しんだ。
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静岡でチャワンGP 茶種当てなど競う 掛川の中3生が優勝
静岡県は22日、小中学生がお茶に関するクイズや飲み当てを通じて知識や技能を競う「Cha-1(チャワン)グランプリ」の決勝を、静岡市駿河区のグランシップで開いた。予選を勝ち抜いた8人が出場し、掛川市立城東中3年の陸田紗希さんが優勝した。 世界お茶まつり2022秋の祭典の関連行事。子どもたちは茶葉の外観を観察したり、飲んで滋味や香りなどを比べて茶種を当てたりして点数を競った。 準優勝は青木彩実さん(掛川東中3)、3位は山下諒大さん(掛川中央小3)だった。 陸田さんは「お茶を楽しみながら勉強した成果を発揮できた」と語った。
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林業の魅力と役割は 子どもら「木登り」や「まき割り」体験 静岡
静岡市内の林業者らでつくる静岡市林業研究会はこのほど、森林の魅力や役割を伝える「みんなで体験! 森林のやくわりEXPO」を静岡市葵区の駿府城公園で開いた。 林業者らがのこぎりで丸太を切断する速度を競う「丸太早切りカップ」や、まき割り体験コーナーなどを通じて林業に関する技術を紹介した。子どもたちが参加したツリークライミングでは、専用の器具を装着した参加者が高さ10メートル以上の木につるしたロープを手繰り、木登りを楽しんだ。 同研究会の白鳥弘樹会長は「森の整備につながる林業者の仕事を紹介する取り組みを続けていく」と話した。
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薫る静岡茶で一服いかが 39種500円均一 世界お茶まつり
静岡市駿河区のグランシップで20日開幕した世界お茶まつり2022秋の祭典で、静岡茶商工業協同組合(市茶商)が大型ブースを出展して市内産の茶を販売している。同まつりで組合初の試み。香り高い茶をアピールして消費開拓につなげ、台風15号豪雨被害に苦しむ市内の茶生産現場を後押しする。 両河内や梅ケ島など市内20産地39種類の茶を500円均一で売り出している。組合に所属する製茶問屋の若手社員らでつくる静岡茶業青年団(市茶青)が、茶席で呈茶して、お茶の特徴や入れ方などを伝える。茶席で使ったオリジナルの湯のみは、持ち帰りできる。 組合は同会場の屋外芝生広場でも煎茶のテークアウトメニューを販売する。岩崎
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世界緑茶会議 日本茶市場の将来探る 国内外業者が討論
世界緑茶協会は20日、世界お茶まつり2022秋の祭典が開幕した静岡市駿河区のグランシップで、茶を取り巻く世界情勢を考える世界緑茶会議を開いた。日本や欧米の茶業者らが日本茶市場の可能性について講演した。 伊藤園北米法人(米国)のロナ・ティソン副社長は録画映像で、26~41歳の「ミレニアル世代」による緑茶消費量が増えている米国の状況を紹介。免疫力を高める食品需要が上向く中で「『スーパーフード』として人気を集めている」と解説した。 国内外で日本茶販売を手がける事業者のパネル討論も行われた。米国で日本茶の輸入販売を手がける門脇サラさんは、北米に加えて中南米や中東の市場開拓を進めている状況を解説。
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世界お茶まつり開会式 彬子さま出席 静岡・グランシップ
世界最大級の茶の祭典「世界お茶まつり2022秋の祭典」(静岡県など実行委員会主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が20日、静岡市駿河区のグランシップで開幕した。開会式には、まつり名誉総裁を務められる故寛仁親王の長女彬子さまが出席され、静岡県内茶業関係者や外国政府関係者ら約200人と祭典の盛り上がりや茶業の発展を祈った。 まつりのテーマは「O-CHA(オチャ)で元気な笑顔!」。23日まで、総合見本市や文化・学術関係のシンポジウム、世界の喫茶様式紹介などのプログラムが連日展開され、茶の持つ多面的な魅力をアピールして需要喚起を図る。 彬子さまは「初回のお茶まつりから20年以上がたち、国内外に茶の魅
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世界お茶まつり開幕 茶の魅力多面的に 23日まで静岡・グランシップ
画像タップで拡大 3年に1度開かれる世界最大級のお茶の祭典「世界お茶まつり2022秋の祭典」(県など実行委主催)が20~23日、静岡市駿河区のグランシップで開かれる。新型コロナウイルス禍やリーフ茶の消費低迷など茶業にとっての逆境が続く中、参加事業者は消費者目線で新たな楽しみ方を伝える。各国の喫茶風景紹介など学術・文化面でも連日行事が展開され、多面的に茶の魅力に触れる機会となりそうだ。 外国人旅行者へ発信 コロナ対策講じ準備 「ティーツーリズム」回復期待 さまざまな茶を試飲して違いを楽しむ外国人観光客=10月上旬、島田市道悦のカネイ一言製茶(写真部
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発展支えた静岡県との関係 二大産地 学び合い未来へ【令和の静岡茶⑯/第4章 鹿児島茶業最前線④完】
茶摘採機の無人稼働や、ドローンで撮影した茶畑画像の解析-。国内最大規模300ヘクタールの茶園を経営する鹿児島堀口製茶(鹿児島県志布志市)は、先端技術を活用したスマート農業に力を注ぐ。 近年は、帳簿や伝票で管理してきた茶摘採予定日や収穫数量を一元管理するシステムを導入し、生産効率化につなげた。堀口大輔副社長(40)は「人手不足が深刻化する未来を見据え、ITや飲食などの他業界と連携して良質な鹿児島茶づくりを追い求めていく」と話す。 鹿児島の荒茶生産量は30年間で倍近くに増えた。生産効率の観点から「近い将来静岡を追い越す」との意見もあるが、鹿児島茶業関係者の一人は「生産量日本一になる利点は少な
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安定収益を成長投資に 大手と連携、原料供給【令和の静岡茶⑬/第4章 鹿児島茶業最前線①】
鹿児島市内から車で東に1時間半、畝のそろった茶畑が陽光に輝く。大隅半島東部の鹿児島県志布志市有明町は、水はけに優れた火山灰土壌や大型摘採機が使える平坦(へいたん)な地形などの利点を生かし、わせからおくてまで多様な品種の茶を手がける。「降灰、病害虫対策でスプリンクラーが設けられている」。地元の製茶問屋「堀口園」の堀口将吾専務(43)が教えてくれた。 同社は地元の茶を契約栽培で買い付ける。栽培面積約650ヘクタールから茶を安定して仕入れることができる要因は、約45年にわたる伊藤園との強い結びつきにある。父の常弘社長は伊藤園に14年間勤務した後、家業を承継。将吾専務も伊藤園静岡支店の茶仕入れ担当
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手元供養向け小型仏壇 藤原木工(静岡市駿河区) 暮らしになじむ仏具【ものづくり最前線】
木製の土台に位牌(いはい)を安置し、LED電球で照らす。草花などの刺しゅう模様のレース生地を、塩化ビニール素材で挟み込むことで外側の強度を高めた。 戦後創業の家具メーカー。当初はドレッサー製造を主な生業としていたが、ベッドやソファ、ガラステーブルなど生活様式の変化に対応した家具づくりに取り組んできた。近年はOEM(相手先ブランドによる生産)での家具調仏壇も手掛ける。 マンション世帯の増加や核家族化の進行に伴い、広いスペースが必要となる大型の仏壇需要は減退していて、購入しない世帯も多い。一方で、遺骨の一部を身近な場所に置く「手元供養」の習慣は広まりつつあり、現代インテリアになじむ仏具の姿を
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静岡人インタビュー「この人」 静岡茶の魅力を発信する 辻せりかさん(静岡市葵区)
茶の需要開拓に取り組む会社「AOBEAT(アオビート)」を2021年に立ち上げた。茶を観光資源と捉え、幅広い世代への魅力発信や、地域活性化に力を注ぐ。31歳。 -事業を立ち上げるまでの経緯は。 「県中部5市2町の観光まちづくり組織(DMO)で働く中で、茶づくりに情熱を注ぐ農家と出会う機会がたくさんあった。一方、リーフ茶の需要低迷や担い手不足などを痛感し、適正な価値で販売できていない現状を残念に感じることも多かった。仲間と一緒に静岡茶の価値を発信していきたいとの思いを強くした」 -主な活動内容は。 「茶畑に作ったテラス席から眺める景色と、おいしいお茶を楽しむ『茶の間』を県内各地で運営し
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紅茶づくり 梅ケ島で体験 農家団体が「工房」開設 静岡市葵区
静岡市葵区梅ケ島で無農薬の紅茶栽培に取り組む農家らがつくる「梅ケ島くらぶ」がこのほど、「紅茶体験工房UMEGASHIMA(ウメガシマ)」をオープンさせた。温泉などの地元観光資源とすっきりとした味わいの和紅茶を掛け合わせ、地域活性化につなげていく。 同団体は2016年頃から紅茶づくりを軸にした耕作放棄地の再生や観光客向けの商品開発に力を注ぐ。標高が高い茶園で作る紅茶は渋みが少ない。辻美陽子代表(61)らは、シナモンやショウガなどを配合して作る「チャイ」としての楽しみ方に可能性を見いだし、ティーバッグや濃縮シロップといった商品を考案。ブランド化に向けて電子商取引(EC)サイトなどで販売を進めて
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オリーブ収穫本格化 静岡の駿府研究会、商品化へ作業
静岡市内でオリーブ栽培に取り組む「駿府オリーブ研究会」による今シーズンの収穫が本格化している。商品化に向け、収穫した実から搾油する作業を進める。 同研究会は1日、同市駿河区池田で収穫作業を行い、直径2センチほどに育った緑色の果実を手作業で摘み取った。搾油を経てエキストラバージンオイル「駿」として、今月上旬にJA静岡市ファーマーズマーケット「南部じまん市」で売り出す。漆畑光則代表は「豊かな香りや、まろやかな味わいを楽しんでほしい」と話す。 同研究会は2017年発足。地域の茶園などの耕作放棄地を活用してオリーブの木を植え、現在約3ヘクタールで栽培している。
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静岡新聞広告賞 受賞10作品決定 オンライン審査
静岡新聞広告賞2022(静岡新聞社主催、県広告業協会後援)のオンライン審査がこのほど行われ、広告主部門5点、クリエーティブ部門5点が受賞した。 広告主部門は昨年9月から今年8月末までに、本紙や広告特集に掲載された広告が対象。1次選考を通過した37作品からグランプリ、県広告業協会賞など5点が選ばれた。 クリエーティブ部門では、フジ物産(静岡市清水区)、環境のミカタ(焼津市上新田)、湖成会(富士宮市大鹿窪)、静岡ダイハツ販売(浜松市東区)、遠鉄ストア(浜松市中区)の5社をアピールする新聞広告を募集。県内在住または出身者のクリエーターが寄せた全190点から受賞作品を選出した。 審査はコピーラ
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生活用水や飲料水提供 助け合いの輪 草薙駅利用者ら水持ち寄る
静岡市清水区草薙地区のまちづくりに取り組む一般社団法人「草薙カルテッド」が、JR草薙駅南口・北口で水の無料配布を行っている。台風15号の影響で続く断水への対策で、駅利用者や近隣住民などが持ち寄る水を、生活用水などとして提供する。 区内一帯に断水でトイレや入浴、食事などに支障が出ている状況を受けて企画した。SNSなどで呼び掛け、ペットボトルに詰めた水道水や井戸水、飲料水などを集め、住民に無償配布している。 25日に始めた活動は周知が進み、26日は駅利用者約千人がサービスを活用したという。同法人事務局の小林祐介さんは「できることから支援したいという人は多い。断水の終了まで続けていきたい」と話
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茶況(9月26日)360~350円中心で取引 静岡県産秋冬番茶
静岡県産秋冬番茶の生産が各地で始まり、静岡市中に初倉や相良、磐田などから荷が届いた。取引の中心価格帯は360~350円。 週内に生産工場が増える見通し。ブロークン状の品物では、380円ほどで取引される荷もあった。あっせん業者は「ドリンク関連の需要は伸びていない。300円台半ばの取引が当面続く」と話す。 台風15号による大雨の影響で、生産を見合わせる工場がみられる。牧之原市内の生産者は「摘採計画にも影響が出そう」と懸念する。
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手揉み茶品評会 森内さん最高賞 静岡市保存会
静岡市茶手揉保存会はこのほど、手揉(も)み茶品評会を同市葵区のJA静岡市美和支店で開いた。同区内牧の森内真澄さんが最高賞の優等に輝いた。 市内生産者などから27点が寄せられ、JA静岡経済連関係者ら審査員が滋味や香り、色沢などを点数化して順位を決めた。 このほかの入賞者は次の通り。 1等 小沢晃(横山)森内吉男(内牧)▽2等 西島和子(有東木)平野泰亮(与一)▽3等 牧野力雄B(日向)白鳥洋子(有東木)今永理佳B(日向)望月瑞歩(平野)
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茶農家、自前で販路開拓 県も需要創出を支援 県外へ積極的に出店
静岡県内茶農家による県外への販路開拓の取り組みが広がっている。急須で飲む茶の低迷で既存の販売先への出荷が減る中、自前での販売に注力。新商品の開発や他業種との連携を進めながら、新規需要の掘り起こしにつなげている。 詰め放題の茶が売り切れに-。山梨県富士川町の「道の駅富士川」で17~18日に開かれた「バイ・ふじのくに静岡物産市」(同県主催)に出店した岩倉製茶(島田市)は、煎茶の売れ行きに手応えを感じた。 有機栽培の茶づくりに長年取り組む。約5年前から県外開催のフェアなどに参加して、消費者との接点づくりに努めてきた。販売担当の金刺八寿子さん(49)は「お茶の魅力をアピールし、継続的な販売につな
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茶草場農法 静岡県内担い手減少 エシカル消費に商機
世界農業遺産の「静岡の茶草場農法」を担う静岡県内茶農家が減少している。同農法は地域資源を有効に使い、生物多様性の保全につながる農業の在り方として注目されつつあるため、事業者や行政は維持に向け、商品開発やブランド力向上に力を注いでいる。 ササやススキの力で茶樹をたくましく育てる-。島田市切山の茶農家、三浦克暢さん(47)は20年以上前から茶草場農法による茶づくりを続ける。茶園管理技術を評価する「県茶園共進会」で農林水産大臣賞を3回受賞するなど、畑の土壌環境保持や茶葉の品質向上につなげてきた。 ただ三浦さんは「茶草場農法で作るお茶が高値で売れるわけではない」と指摘する。知名度向上や需要創出に
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国際情勢のリスク今も 戦前からの貿易史に学ぶ【令和の静岡茶⑫/第3章 広がる海外市場④完】
クラシック音楽が響く木造平屋の館内に茶器やアート作品、輸出用茶箱に貼ったラベル「蘭(らん)字」が所狭しと並ぶ。カネイ一言製茶(島田市)の一言進さん(71)が2015年、東海道沿いに立地する同社隣に開設した「お茶の資料館」は、戦前の茶業の息吹を伝える拠点として歴史研究者も訪れる。 茶の仕上げ加工職人として約半世紀、茶業に携わる。20年ほど前から戦前の茶取引記録や文献をフリーマーケットで収集する中、歴史を伝えて残したい思いが強くなり、茶の加工場だった建屋の改装に踏み切った。 幕末以降、生糸と茶は輸出の柱だった。急増する北米の需要に向けて、牧之原台地などで茶畑開墾が進んだ。 明治期には清水港
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有機栽培面積、目標遠く 潮流読み「減農薬」本腰【令和の静岡茶⑪/第3章 広がる海外市場③】
「除草剤を使わないので雑草が多いね」。じりじりと日差しが照り付ける残暑の中、静岡市葵区大川地区の茶農家、牧野力雄さん(68)は有機栽培の茶づくりに挑戦中だ。国の補助事業を活用し、市内の製茶問屋と連携。欧州などへの輸出原料として需要を見込む。 蒸した茶を焙炉(ほいろ)の上でほぐし、もんで製品に仕上げる「手もみ」の熟練技術者でもあり、茶業をこよなく愛する。近年の茶価低迷や高齢化で地域の茶農家は減少の一途をたどり、危機感は強い。時代の流れを読み、自前の畑の一部を有機栽培に転換すると決めた。 地元の茶業を未来に残すための挑戦-。農薬や化学肥料に頼らずに茶樹を育てる。「あと何十年とお茶づくりを続け
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アジア、中東に熱視線 拠点置き 売り込み加速【令和の静岡茶⑩/第3章 広がる海外市場②】
創業150年超の本目浅吉商店(静岡市葵区)には、世界各国からの出品茶が競う世界緑茶コンテストや国際銘茶品評会で獲得した最高金賞の賞状や盾が並んでいる。本目哲也専務(37)は「製茶技術を海外顧客にアピールする良いきっかけとなる」と話す。 2000年代に中国向けに高級煎茶や玉露の輸出を本格化させ、現地協力会社を置いた。近年は欧米や東南アジアなどへの販売にも注力。イスラム教の戒律「ハラール」や有機JASの認証、食品安全マネジメントの国際規格「ISO22000」の取得など、品質管理体制も拡充してきた。 家業に就く以前、海外で勤務した経験がある本目専務の輸出事業への熱意は強い。「多様な茶の魅力を丁
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静岡保徳 ビル賃貸強化、新たに2棟取得 入居テナント充実図る
不動産業の静岡保徳(静岡市葵区)は、JR静岡駅北側の中心市街地でビル賃貸事業を強化する。新たに取得したビル2棟の改修を年内に終え、新型コロナウイルス禍からの飲食・宿泊業の復調を見据え、入居テナントの充実を図る。 物件名は、ガーデンスクエア第6・第7ビル。同社は2021年12月、同区呉服町の地上6階建て、延べ床面積626平方メートルの第6ビルを1億5千万円で取得した。改装工事がほぼ完了し、新たに5階を美容業者、6階を観光開発のCSAトラベル(同区)に賃貸する。同社は中心市街地で空きテナントを活用したホテル事業「ビル泊」を手掛けていて、6軒目となる。 紺屋町に立地する第7ビルは地上5階建てで
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森林・林業の先端技術紹介 「FAOIプロジェクト」展示会
静岡県はこのほど、森林・林業に関する先端技術を紹介する展示会を静岡市葵区で開いた。県が本年度始めた、先端技術を持つ企業がアイデアを持ち寄り林業の技術革新を図る「FAOI(ファオイ)プロジェクト」の一環で、県内外のIT企業、機械メーカーなど14社が出展した。 森林所有者や各市町の行政関係者ら約100人が来場した。ドローンによる森林計測や資材運搬の活用事例、切り倒した丸太の本数や直径を瞬時に把握できるシステムなどを確認し、企業担当者と意見交換した。 県の担当者は「林業現場が人手不足などの課題を抱える中、先端技術を業務効率化に活用する契機になれば」(森林計画課)と話す。
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静岡県産材需要拡大へ 県が森林共生白書公開
静岡県はこのほど、本年度の「県森林共生白書」を県ホームページ上で公表した。長期化する輸入木材価格高騰「ウッドショック」の影響を踏まえ、県産材製品の需要拡大や、森林での作業に情報通信技術(ICT)を取り入れる「林業イノベーション」などを主要施策とした。 2021年7月に熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害を受けて、県内で実施した盛り土の点検結果も盛り込んだ。異常が確認された盛り土については早期復旧に努めると明記した。
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鳥獣対策など静岡市に要望 市内2JA
JA静岡市(大原正和組合長)とJAしみず(柴田篤郎組合長)は31日、有害鳥獣対策や茶加工施設整備の後押しなどの政策を静岡市に要望した。 同市役所静岡庁舎を訪れた両組合長が田辺信宏市長に要請書を手渡し、意見交換した。新規就農者支援や燃油・資材高騰対策の充実も求めた。 大原組合長は「行政と連携し、農業経営の持続につながる取り組みを展開していきたい」と話した。
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杉村太蔵さん代表企業と協業 コアキナイ研究所、下田で起業支援事業
遊休不動産活用や観光促進を手掛けるコアキナイ研究所(下田市)が9月、同市で起業支援プログラムを始める。元衆議院議員でタレントの杉村太蔵さんが代表を務めるCocoHarete(ここはれて、北海道)と協業し、電子商取引(EC)やカフェなどの起業を目指す人に伴走型で経営ノウハウを伝えたり、収益基盤づくりを支援したりする。 9月中旬まで参加者を募り、2023年2月までに事業計画を完成させて創業に結びつける。ここはれてが北海道旭川市で展開する空き店舗再生や商業施設運営、人材育成の手法を活用。参加者は座学や合宿を通して事業許認可や会計基礎などを学び、期間限定店舗の運営や起業事例の見学などで実践を重ねる
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土壌動物の役割解説 環境史ミュージアム・岸本教授が講演 静岡
静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアムは28日、講演会「落ち葉の下の小さな世界」を開き、同ミュージアムの岸本年郎教授が地中や落葉の下で生きる「土壌動物」の種類を解説した。 岸本教授は写真やイラストを示しながら、節足動物のダンゴムシやワラジムシ、ハネカクシ科昆虫などの特徴を説明。地中では土壌動物が他の生物の死骸や排せつ物、落ち葉を食す「腐食連鎖」が進んでいるとして「生態系を支える重要な役割を果たしている」と述べた。 土壌動物研究の意義について「身近な土の中にいる生物たちがどのように暮らし、進化を遂げているのかといったストーリーを学ぶことで、自然界を深く知ることができる」と強調した。
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全国茶品評会 静岡県勢、2部門で農林水産大臣賞 京都・宇治開催
京都府宇治市で開かれた第76回全国茶品評会(全国茶生産団体連合会など主催)最終日の26日、審査結果が発表され、静岡県勢は普通煎茶4キロの部で相藤園(川根本町)、深蒸し煎茶の部で山東茶業組合(掛川市)がそれぞれ最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。 県勢が普通煎茶4キロの部で農水大臣賞を受賞するのは2年ぶり。入賞者が多い高成績の自治体に贈られる産地賞は、深蒸し煎茶の部で掛川市が3年連続で受賞した。 23日開幕した品評会には17都府県から7茶種8部門に計865点が出品され、26日まで審査が行われた。本県は139点を寄せ、深蒸し煎茶の部で1等から3等までの入賞を独占した。
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事業内容を学生に紹介 静岡で就活準備セミナー
2024年3月に大学などを卒業する予定の学生に、就職活動に関する情報や県内企業の魅力を伝える「新卒のかんづめ就活準備セミナー」(静岡新聞社主催)が17日、静岡市駿河区のグランシップで開かれた。 出展した製造や金融、行政など14の企業・団体が事業内容やインターンシップ(就業体験)のスケジュールなどを紹介した後、質疑応答が行われた。就職コンサルタントらが学生に就活本番に向けた準備の大切さを説くセミナーも行われた。 新型コロナウイルス対策として完全予約制で受け付け、約100人が参加した。10月10日にも同所で開催する。 (経済部・平野慧)
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JAしみず 滝さんに金賞 静岡県なし品評会
静岡県なし果実品評会(県落葉果樹振興協会主催)がこのほど、静岡市駿河区で開かれ、JAしみずの滝智さんが出品したナシが金賞・県知事賞に輝いた。品評会にはふじ伊豆、しみず、大井川の3JAから計14点の出品があり、県職員ら審査員が外観や食味、糖度などを鑑定した。 このほかの入賞者は次の通り(かっこ内は所属JA)。 銀賞 大畑里志(大井川)▽銅賞 鈴木史浩(ふじ伊豆)成瀬逸郎(大井川)
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JA静岡市 水出しティーバッグ販売 マイボトル向け開発
JA静岡市はこのほど、マイボトルに入れて水出しする使途に適したティーバッグ茶を商品化した。同JA支店や直営のじまん市などで販売している。 さわやかな香りが特徴の「Asa(あさ)」や、コクのある渋味にこだわった「Kokozo(ここぞ)」など3種類。手土産や贈答用としての需要も想定している。 同JAは水出し緑茶を携帯して外出する生活習慣を広める「静岡外茶計画」を推進していて、商品づくりにつなげた。7~10パック入りで、税込み500円。 問い合わせは同JA直販課<電054(288)8442>へ。
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茶の新2品種育成 販路開拓を支援 静岡県茶業研究センター
静岡県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)は5日までに、茶の2品種を新たに育成した。茶飲料向けに大量生産できたり、香りに特徴があったりする品種を生産現場に投入することで、農家の販路開拓を後押しする。育成したのは、おくて品種「95-7-35」と、さわやかな香りが特徴の「90-2-213」。農林水産省への出願を経て、2023年ごろの種苗流通開始を目指す。 近年は急須で入れるリーフ茶の需要が低迷する一方で、ペットボトルの茶飲料の消費は増加傾向にある。飲料原料の供給基盤確立に向け、大量生産型の95-7-35を育成した。10アール当たり収穫量は、本県の主力品種「やぶきた」の約2倍を見込めるという
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清水港に次世代エネ施設 エネオス、23年度初頭着工
石油元売り大手のENEOS(エネオス)は4日、静岡市清水区袖師地区の清水製油所跡地に大型太陽光パネルや蓄電池、水素ステーションなどを設置する計画について、2023年度初頭に着工すると明らかにした。地産地消のエネルギーを周辺公共施設などに届け、災害時の電力供給も手掛ける。 清水港近くにある遊休地内の用地4・2ヘクタールに3千キロワット級の太陽光発電設備を整え、24年4月に稼働させる。発電した電力をJR清水駅東口に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が建設予定の「清水さくら病院(仮称)」や静岡市清水文化会館マリナートなどの公共施設に供給するほか、併設する水素ステーションの水電解装置で用
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最低賃金議論を開始 地方審議会
静岡県内の最低賃金を話し合う静岡地方最低賃金審議会の会合が3日、静岡市葵区で開かれ、2022年の最低賃金額をめぐる議論が本格化した。国の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した本県の引き上げ額目安「31円」が伝達された。労使の代表や有識者ら委員が議論し、9日に静岡労働局長に答申する。現行の県内最低賃金額は913円。引き上げ幅の目安31円は、過去最大となる。 労働者側は急激な物価高騰などを背景に賃金上昇の必要性を主張。一方、新型コロナウイルス禍や原材料価格の押し上げで収益を圧迫される中小企業は多く、賃上げが経営の打撃になるとの懸念も強い。
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緑茶の海外販路、開拓進む 22年上半期「輸出」過去最高
緑茶の海外販路開拓が進んでいる。財務省貿易統計によると、2022年上半期(1~6月)の全国緑茶輸出量は前年同期比6.0%増の3202トン、輸出額は7.1%増の103億1906万円と過去最高を更新した。北米向けが金額の半分以上を占める一方、中間層の拡大や健康志向を背景に、東南アジアなど新興国への販売が伸長している。 輸出先は米国が51億6398万円(前年同期比4・8%増)と最多。台湾9億4850万円(2・5%増)、カナダ8億1190万円(97・5%増)が続いた。健康食品やカフェ店などで使われる「粉末状のもの」が輸出全体の約7割を占めた。 前年と比べて東南アジアからの引き合いが目立った。タイ
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丸池製茶(御前崎)大臣賞 関東ブロック茶の共進会
国内三大茶品評会の一つとされる「第49回関東ブロック茶の共進会」が27~29日、埼玉県で開かれ、御前崎市の丸池製茶(戸塚訓由社長)が「荒茶・深蒸し煎茶」の部で最優秀賞・農林水産大臣賞を受賞した。戸塚社長は「茶産地として御前崎を盛り上げるきっかけにしたい。環境に配慮しながら、良質な茶を作っていく」と今後の抱負を語った。 品評会には静岡、埼玉、茨城、新潟の4県から荒茶・深蒸し煎茶の部に34点(うち本県24点)、荒茶・普通煎茶の部14点(同4点)、仕上茶・普通煎茶の部16点(同なし)が出品された。県勢は荒茶・深蒸し煎茶の部で金、銀、銅の上位を独占。他部門は埼玉県勢が上位に入賞した。 このほかの
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養鶏業者ら卵の魅力PR 7月30日、静岡で催し
鶏卵の消費拡大を推進する活動「たまニコアゲイン2022in静岡」を企画する実行委員会のメンバーが26日、県庁に川勝平太知事を訪ね、県内産鶏卵の魅力を紹介した。 県内養鶏業者でつくる同実行委は、1日当たりで卵を2個食べると健康増進につながるとしてPR活動を展開している。30日には静岡市葵区の青葉イベント広場で鶏卵や鶏肉加工品の販売も行う。 石田史実行委員長は「生産者自らが卵の品質を伝える活動を展開することで、消費拡大、ブランド力向上につなげていく」と話した。
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静岡県産二茶、生産減 コスト高で採算悪化 大幅増産の21年から一転
静岡県内産二番茶の生産が終わった。景気の先行き不透明感が強まる中、県内の製茶問屋は慎重な仕入れの姿勢を崩さず、生産側も扱い量を抑えたため、多くの茶工場が前年と比べて減産だったとみられる。ロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の影響によるエネルギー価格上昇や、肥料高騰による固定費がかさみ、茶農家の採算の厳しさは増している。 大幅な増産だった2021年から一転して生産量が落ち込んだ。JA静岡経済連は「県内全体で生産量は前年比15~20%減。平均単価も2割ほど安くなる」(茶業課)とみる。静岡茶市場の6月末までの二番茶取扱数量は前年同期比35・9%減の544トン、平均単価20・6%安の579円と下ぶれ
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いちご生産技術学ぶ 静岡県野菜振興協が研究大会
静岡県野菜振興協会いちご部会などはこのほど、「県いちご生産者研究大会」を静岡市駿河区で開いた。スマートフォンから農地の状態を把握するシステムの活用など、情報通信技術(ICT)による栽培ノウハウを学んだ。 大会では、天敵を活用した害虫駆除手法の解説や、第32回県いちご果実品評会で金賞一席に輝いたJAしみずの斎藤祐貴さんらの表彰式も行われた。 JA静岡経済連の担当者から、2021年度の消費宣伝事業の成果も報告された。紅ほっぺときらぴ香の定植本数は前年を上回り、販売数量は前年比2・0%増の4947トン、1キロ当たりの平均単価は6・3%高の1397円だった。
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茶況(7月15日)セミナー講演者募集 世界お茶まつり実行委
世界お茶まつり実行委員会は9月1日まで、静岡市駿河区のグランシップで10月20~23日に開く「秋の祭典 産業・文化・学術セミナー」で講演する茶業者、学識者らを募集している。 多様な茶や茶器の魅力、最新の茶の流通動向、世界の茶文化などを解説し、来場者と意見交換する。希望者は同まつりウェブサイトなどから申し込む。 問い合わせは県お茶振興課内の委員会事務局<電054(202)1488>へ。 静岡茶市場には鹿児島県本土物三茶約5000キロと種子島産三茶約1500キロが上場した。ドリンク関連業者による仕入れが続いている。
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茶の魅力伝える人材育成 静岡市民向け「学校」開校 清水区
静岡市はこのほど、茶の魅力を伝える人材を育成する市民講座「お茶の学校」の開校式を同市清水区で開いた。12月までの全7回に市民約20人が参加し、研究者や農家、製茶問屋などから茶の入れ方や効能、生産、販売の流れなどを学ぶ。 初回は静岡産業大総合研究所の中村羊一郎客員研究員が、茶の起源や明治期以降の茶輸出の歴史などを解説した。市農業政策課の担当者は「受講生同士で意見交換しながら、静岡茶についての学びを深めてほしい」と話す。 (経済部・平野慧)
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タクシー業務効率化 乗り放題や共同配車 静岡TaaS計画始動
静岡市内のタクシー会社が連携して業務効率化を目指す「静岡TaaSプロジェクト」が始動する。ITを活用したサブスクリプション(定額制)型の乗り放題プランを提案したり、複数社で共同配車したりする仕組みを通じ、利便性向上や収益改善を図る。 事業第1弾として7月1日、定額料金で市内2社のタクシーを何度でも利用できるサービス「タク放題」を始める。平日午前10時~午後5時に、JR静岡駅北側の市街地一帯での利用が対象。利用者はスマートフォンのアプリから行き先を入力すれば、迎車手配ができる。月額料金は65歳以上が8千円、65歳未満1万円。 市内で運転免許証の返納率が高まる中、徒歩での買い物や通院を強いら
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すっきり緑茶、マイボトルで 「静岡外茶計画」夏場スタイル提案
静岡県内が梅雨入りする中、茶販売店らが水出し緑茶向け商材の販売を本格化させつつある。茶業者は苦みが少ないすっきりとした味わいを動画やSNSなどでアピール。環境意識の向上を踏まえ、お茶をマイボトルに入れて持ち歩くスタイルを提案する。 お茶の消費拡大を目指すJA静岡市は本年度、水出し緑茶を携帯して外出する生活習慣を広める「静岡外茶計画」を始動させた。まろやかな水出し緑茶の作り方を動画で紹介。魅力発信に向けたワークショップの開催や専用ティーバッグ茶の開発など、夏場に向けて普及策を打ち出す。 計画の狙いについて大原正和組合長は「繰り返し使えるマイボトルはペットボトルや紙パックよりも、環境に優しい
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製茶問屋手軽、手頃に目線 「売れる商品」工夫次第【令和の静岡茶⑥/第2章 岐路からの挑戦②】
マグカップに入れて電子レンジで2分、緑茶が香り立つ。創業100年超の茶問屋川村翠香園(牧之原市)は今年、ティーバッグ茶の新ブランド「お茶日和」を立ち上げた。現代の茶の間で日本茶を楽しむ様式を、独自の発想で提案する。 卸販売が伸び悩む中、川村直也社長(39)は「お茶になじみが薄い人に、いきなり湯を沸かして急須で飲んでもらうのは求めすぎなのでは」との考えに行き着いた。 そこで緑茶・ほうじ茶の商品開発に着手。レンジでじっくりと温度を上げることで渋味を抑え、うま味成分のアミノ酸を抽出できる点にも気づいた。 手軽さを重視した商品に込めたのは「リーフ茶の販路開拓のきっかけにしたい」という思いだ。川
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二番茶取引が盛期 「信用される品質」追求【令和の静岡茶⑤/第2章 岐路からの挑戦①】
「品質に見合う値段を付けて」-。真っ黒な拝見台に並んだ荒茶の外観や香りを製茶問屋が吟味していく。静岡市葵区の茶問屋街で、二番茶取引が盛期を迎えている。生産者は良質な茶づくりに、問屋は茶葉の厳選と販路開拓に、それぞれ持続可能な茶業像の模索に力を傾ける。 ただ、今期の一番茶取引は順調には進まなかった。「前日比で価格が一気に3割ダウンした」。4月18日の静岡茶市場新茶初取引で幕を開けた新茶期。ピークとされる八十八夜の5月2日を待たずに荒茶価格は急激に下がった。製茶問屋が抱える繰り越し在庫は多く、景気の先行き不透明感も相まって仕入れは少量になりがち。生産者は「予想以上に引き合いが弱い。採算の確保に
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県産木材の民間活用促進 静岡県、脱炭素化へ補助拡充
静岡県は脱炭素化への対応に向け、民間部門での県産木材の活用促進に乗り出す。補助制度を拡充し、民間企業との連携を進めて利用を奨励する。公共部門での県産材利用目標も約1割上積みし、県内の森林資源を有効に使い、木材を安定供給する体制構築を図る。 2022~25年度の「公共建築物等木使い推進プラン」で、公共部門で培った県産材利用の知見を、住宅や社屋など民間建築にも広げる方針を盛り込んだ。県は建設会社や住宅メーカーといった民間企業と木材利用促進に関する協定を締結するほか、県産材を使った民間建築物の評価制度を立ち上げる。 住宅新築やリフォーム費用などの補助制度「しずおか木の家推進事業」を通じ、コスト
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家康ゆかり茶詰めの儀 新茶をつぼへ、秋まで熟成 JR静岡駅北口
静岡市や市内の茶業者らでつくる駿府本山お茶まつり委員会は28日、徳川家康の故事にちなんだ行事「茶詰めの儀」を静岡市葵区のJR静岡駅北口地下広場で行った。秋に久能山東照宮に奉納するための新茶をつぼに詰めて封印した。 家康は春に収穫された新茶を茶つぼに詰めて井川大日峠(葵区)のお茶蔵に保管して熟成させ、秋になると駿府城に運び茶会を開いたとされる。故事にならい、茶業者の佐藤誠洋さんと望月徳雄さんが、煎茶道静風流家元の海野俊堂さんの指導を受けて和紙に包んだ新茶をつぼに入れ、隙間なく茶葉を詰めて封をした。 新茶はお茶蔵に運び込み、香りや味が深まった10月に開封する「口切りの儀」を行い、久能山東照宮
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静岡県産一茶 生産量増加、取引単価は下落 贈答需要鈍く
静岡県内産一番茶の生産がほぼ終わった。大きな気象災害もなく新茶期を迎え、5月下旬まで収穫を続けて生産量は前年より増える見込み。ただ4月下旬の天候不順が響き、贈答用など新茶需要も鈍かったため取引単価は下落した。茶価低迷が続く中、生産量日本一の静岡茶を取り巻く状況は厳しさを増していて、需要創出が急務となっている。 静岡市葵区の静岡茶市場は大型連休中に新茶取引のピークを迎えた。「雨の影響で思うようなお茶ができなかった。価格は前年比で大きく下がった」。静岡市内の生産者はため息をついた。荒茶の見本を示しつつ買い手の製茶問屋と価格交渉を続けるが、売れ行きは鈍かった。 新茶商戦は盛り上がりを欠いた。県
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「世界お茶まつり」 体験企画など魅力多彩 静岡県内外で分散開催
世界最大級のお茶の祭典「第8回世界お茶まつり」(実行委主催)が1日、開幕する。民間アイデアを募り、お茶の魅力を発信する「新茶フェア」を初めて実施。15日までの期間中、新茶を使った料理やスイーツの提供、茶工場見学といった体験型プランを県内外の茶専門店や飲食店などで展開する。 静岡市清水区蒲原のすし店「やましち」は、駿河湾産サクラエビや茶葉でつくるかき揚げの食事と茶摘み体験を組み合わせた「ミニ観光プラン」を企画。富士市の茶園と連携して期間中、事前予約した来店者が摘んだ茶葉を調理し、新茶と一緒に提供する。 同店を切り盛りする山崎伴子さん(69)は「茶畑は重要な観光資源。おいしいサクラエビと掛け
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茶業繁栄を茶祖に願う 静岡市振興協 臨済寺で新茶奉納
静岡市や市内の茶業者らでつくる市茶業振興協議会は28日、茶業の礎を築いた「3茶祖」に市内産新茶を奉納する献茶式を同市葵区の臨済寺で行った。 同寺にまつられている3茶祖は、中国から茶の種を持ち帰って日本茶の普及に貢献したとされる栄西禅師、静岡茶の祖とされる聖一国師、喫茶儀礼を伝えたとされる大応国師。茶業関係者らが焼香して茶業の繁栄を願った。 田辺信宏市長は「静岡茶を取り巻く状況は厳しいが、世界に向けて魅力を発信していきたい」と話した。
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有機茶栽培面積拡大 県が茶業振興計画案 生産力向上へ戦略急務【解説・主張しずおか】
静岡県は茶業振興計画案(2022~25年度)で、県内の有機茶栽培面積を20年の約2倍の400ヘクタールとする方針を示した。目標到達に向け、農家の生産意欲向上につながるような生産・販売戦略づくりが求められる。 県が目標設定の参考としたのは、国が21年に策定した「みどりの食料システム戦略」だ。有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使わず、生物多様性の維持や環境負荷軽減につながる期待がある。国は現状1%未満の有機農業の国内耕作面積を、50年までに全体の25%まで広げる構想を掲げる。 県が有機栽培の重点品目に茶を選ぶ背景には、海外輸出の好調さがある。国内リーフ茶需要の減少傾向に歯止めがかから
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記者コラム「清流」 古民家民泊への期待
静岡市葵区の中山間地、玉川地区で築100年の古民家を改築した民泊の完成が間近だ。Uターンで移住した30代の女性が、地域を盛り上げようと企画した。 地域を訪れる人の宿泊や散策の拠点とする。きっかけは「都会で生活し、川のせせらぎや鳥の声を聴いて過ごせる地元の魅力を再認識したこと」。ぬくもりのある木造家屋の存在も大きい。 県内の山間部では、高齢化や人口減少と並行して空き家が目立つ。にぎわいがあった頃に建てられた物件が風雨にさらされ、荒廃していくことに物寂しさを感じる。 民泊は空き家活用や地域再生の一つの鍵となる。自然を好む観光客との触れ合いから、住民自身が地域の力を再発見する機会もあるだろう