テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

袴田さん再審公判「5点の衣類」法廷へ 弁護団、展示の方針

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は30日、確定判決が袴田さんの犯行着衣と認定した半袖シャツやズボン、ステテコなど「5点の衣類」について法廷で展示する意向を明らかにした。

「5点の衣類」の一つ、ステテコ。弁護団は再審公判で衣類を展示する意向を示す(弁護団提供)
「5点の衣類」の一つ、ステテコ。弁護団は再審公判で衣類を展示する意向を示す(弁護団提供)

 同日、静岡地裁で法曹三者による非公開の打ち合わせがあった。終了後に取材に応じた弁護団によると、5点の衣類の状態などを直接確認した上で、裁判官らと展示方法について話し合ったという。12月11日の第4回公判で展示する方針。
 5点の衣類は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、血痕には赤みがあった。袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、衣類が捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が「極めて高い」と指摘した。弁護団も再審公判の冒頭陳述で「事件の証拠として価値がないばかりか、むしろ有害な証拠と言うべきで、証拠から排除されなければならない」と訴えた。
 一方、検察側は5点の衣類が袴田さんの犯行着衣だと改めて主張し、捏造との指摘を「非現実的で実行は不可能」と否定した。展示に関しては、これまでの取材に対し「外見からして発見当時から大きく変わっていて、状態も非常に悪い。証拠保全の意味からも法廷に出すのは適切ではない」との認識を示していた。
 (社会部・佐藤章弘)

袴田さん「再審」 最後の砦の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞