テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

参院予算委 減税 賃上げ時期に併せて 可処分所得を首相「下支え」 

 岸田文雄首相は1日の参院予算委員会で、所得税と住民税の減税を来年実施する理由として、賃上げの時期に併せたと説明した。「来年は賃上げにとって大事な時期だ。賃上げにしっかりとつなげるため、そのタイミングで減税を考えていく」と述べた。1回限りとするのは「一時的に可処分所得を直接下支えする手法が効果的だ」と強調。将来的な消費税減税の可能性を否定しなかった。

経済対策を巡る野党の主張
経済対策を巡る野党の主張


 日本維新の会の東徹氏は「物価高に消費税減税以外では対応できない場合は検討するのか」と質問。首相は「絶えず経済や社会保障の議論は続けなければならない。大きな議論が行われた結果として、消費税について対応を考えることを全く今から否定するものではない」と応じた。その上で、減税と給付が最も現実的だと強調。鈴木俊一財務相は「全世代型社会保障制度を支える重要な財源だ。税率の引き下げは適当でない」と語った。
 首相は減税や給付を巡り「地方の財政運営への支障や過度の事務負担につながらないよう、留意することが重要なポイントだ」と表明。所得制限の是非について「子育て世帯の分断を招いてはならない。与党の税制調査会でこうした考え方も念頭に検討を進めてもらいたい」と述べた。新藤義孝経済再生担当相は自治体による給付を後押しする重点支援地方交付金の追加に関し、年末までに決定する考えを示した。
 首相は、法務副大臣を辞任した柿沢未途氏の議員辞職の必要性を問われ「私が判断したのは法務副大臣の辞任だ。それ以上の判断はしていない」と述べるにとどめた。生殖能力をなくす手術を性別変更の要件とした性同一性障害特例法の規定を憲法違反とした最高裁の決定について「厳粛に受け止める。立法府と十分相談しながら適切に対応したい」と語った。
 特別職の給与法改正案で首相の給与が年間46万円の増額になると説明。行財政改革で給与の3割を国庫に返納しているとして「国民の不信を招かないよう努力したい」と述べた。
 衆参両院の予算委は計4日間の日程を終えた。
衆参予算委終えた首相「安全運転」終始 野党、独自提案で対決 前面に  衆参両院の予算委員会は計4日の日程を終えた。物価高に対応した経済対策の閣議決定を控え、野党は、岸田文雄首相が表明した所得税減税策を非難。それぞれ策定した対策の有効性を主張するとともに、相次ぐ政権不祥事を巡っても対決姿勢を前面に掲げた。内閣支持率の低迷にあえぐ首相は「安全運転」の答弁に終始した。
 「所得税の時限的な減税は多くの国民の理解を得られていない」。1日、参院第1委員会室。日本維新の会の音喜多駿政調会長は、政府の減税策よりも維新が訴える社会保険料減免の方が即効性があると指摘した。
 10月27日の衆院予算委を皮切りに、4日間の論戦では、各野党が独自にまとめた経済対策を首相にぶつけた。
 立憲民主党は、中間層を含む全世帯の6割を対象とする3万円の「インフレ手当」給付を迫った。維新は社会保険料を3割減免し、低所得者については半減するよう提案。共産党は消費税減税が必要だと強調し、国民民主党はガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を求めた。
 だが「野党の質問に時々、むきになり反論した安倍晋三元首相」(立民関係者)とは異なり、岸田首相が感情的になる場面はほとんどなかった。実際、音喜多氏に対しても「国民生活を支えるという方向性は一致している」としつつ、政府の経済対策の方が「適切だ」といなした。
 自民筋は首相の真意について「政権浮揚のきっかけが見いだせない中、マイナスイメージにつながりかねない国会の対立を避けたかったのだろう」とみる。
 政権への攻撃材料としては「棚ぼた」(国民民主幹部)で、不祥事が発覚した。公選法違反事件に関与したとして法務副大臣を辞職した柿沢未途氏、女性問題で文部科学政務官を辞めた山田太郎氏を巡る問題だ。
 加藤鮎子こども政策担当相による母親への事務所賃料支払いや、武見敬三厚生労働相が閣僚就任後に開いた政治資金パーティーも国会論戦で取り上げられ、与党内でも危惧する声がある。
 9月の内閣改造に当たり、首相は「適材適所」の人事と繰り返しただけに、野党は攻めどころと捉える。
 ただ今国会は、政権と徹底的に対峙(たいじ)する野党間の共闘はない。昨年の臨時国会では、立民と維新が手を組み、特に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関しては、独自の救済法案を共同提出し政府の新法に反映させた。
 立民幹部は「首相主導の減税策に批判的なスタンスは野党で一致する。今後の国会審議でも追及し、政権の体力を奪いたい」と語る。
再審請求「迅速手続き 重要」 袴田さん公判 開始を受けて 首相  岸田文雄首相は1日の参院予算委員会で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さんの再審が静岡地裁で開始されたのを踏まえ「一般論として、再審請求の手続きが迅速に進められることは、事案の真相を早期に明らかにする観点から重要だ」と述べた。「再審請求から、認められるまで時間がかかるとの指摘は承知している」とも語った。=関連記事26面へ
 小泉龍司法相は再審制度の見直しに関し「現時点で法律の枠組みで考えると、直ちに手当てを必要とする不備があるとは認識していない」と説明。再審手続きに長い時間がかかるとの指摘には「事件ごとに異なるため、時間の長短に対する評価を一概に答えるのは困難だ」とした。国民民主党の舟山康江氏への答弁。

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