テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

「5点の衣類」法廷で一部展示 弁護団「捏造以外あり得ない」 再審第4回公判

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の再審第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、弁護団が袴田さんの犯行着衣ではなく捜査機関による「捏造(ねつぞう)以外あり得ない」と主張。衣類の一部を証拠物として法廷で展示した。
▶緊張走る法廷の様子
静岡地裁に入る袴田巌さんの姉ひで子さんや弁護団=11日午前10時25分ごろ、静岡市葵区 5点の衣類はシャツやステテコなど。発見直後に撮影されたカラー写真では生地は白く、衣類に付着した血痕は赤みが残っていた。弁護団は再審請求審で、長期間みそに漬かっていたにしては不自然と強調。袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、捜査機関によって衣類が捏造された可能性が「極めて高い」との判断を示した。
 弁護団はこの日の冒頭陳述で、事件当時にタンクには底からの高さが1・5センチほどにしかならない80キロのみそしか入っておらず、衣類を隠せなかったと説明。みそ漬け実験を踏まえ、1年2カ月もみそに漬かれば生地はみそ色に染まると指摘した。発見直後の鮮明なカラー写真が開示されたのは2010年の第2次再審請求審だったとして「検察官は私たちにも裁判所にも写真を隠蔽(いんぺい)し、判断を誤らせてきた」と批判した。
 みそタンクから見つかった「5点の衣類」のコラージュ 5点の衣類のうちのズボンについて、袴田さんは確定控訴審での装着実験ではくことができなかった。検察側は再審公判で、袴田さんが太ったためで事件当時ははけたはずだとしているが、弁護団はこれを否定。そもそもズボンの太もものサイズが普段はいていたものよりも小さすぎ、太ももでつっかえ、はくことができなかったと訴えた。
 弁護団に先立ち、検察側が前回公判に引き続き、5点の衣類は袴田さんの犯行着衣だとの立証活動を展開した。事件直後にみそタンクを捜索したものの衣類はなかったと証言している元捜査員について、タンクの担当ではなかったとして信用性を疑問視。みそ工場の元従業員らの「(捏造は)信じられない」などとする供述調書も取り上げた。

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