テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

検察も取り調べ録音再生 弁護団は「的外れ」と批判 袴田さん再審第8回公判【最後の砦 刑事司法と再審】

 14日に静岡地裁で開かれた袴田巌さん(87)の再審第8回公判で、検察側が取り調べ録音テープの一部を法廷で再生した。袴田さんの「自白」を有罪立証に用いないと改めて明言する一方、自白が無実を示していると分析した弁護団の心理学鑑定を「明らかに誤っている」と指摘。その立証に使用した。ただ、弁護団は「的外れ」と切り捨てた。
 検察側は、犯行動機や侵入・逃走経路の自白部分を取り上げ、「取調官の想定に迎合しながら供述していたものではない」などと主張した。「凶器」の購入先に関する自白についても「実際に経験しなければ困難な内容」であり、「取調官から誘導されることなく供述できていたことがテープから認められる」とした。だが、弁護団の心理学鑑定は明確に評価しておらず、検討対象が「恣意(しい)的」と否定した。
 公判終了後の記者会見で静岡地検の奥田洋平次席検事は「警察官が疑問に思って聞いても、『いやこうですよ』と自分の考えを供述している場面だって数多くある」と述べ、「そういう部分を恣意的に検証材料から外した鑑定書は信用性がなく、ましてや供述自体が無罪を証明するという弁護団の主張は失当」とした。
 一方、弁護団の小川秀世事務局長は会見で「鑑定の取り上げ方が恣意的と言うが、そもそもテープの開示自体が恣意的」と反発。合計で430時間を超えたとされる取り調べのうち、開示されている録音テープは47時間分に過ぎず、袴田さんが自白に転じた瞬間の場面も入っていない。この日の公判について「検察官の意見を述べたという程度にとどまり、有罪立証まで到底至らなかった印象だ」と語った。

袴田さん「再審」 最後の砦の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞