テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

再審開始「ゴングを」 ボクサーの絆、袴田さんの闘いを支援 缶バッジ配布し周知に力

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の差し戻し審は、東京高裁による再審開始の可否判断を待つ段階に入った。「ただ待つだけではダメ。むしろ、これからが頑張りどころ」―。日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会が、缶バッジを配るなどして袴田さんの“闘い”を広く知ってもらおうと力を入れている。

東京高裁に向かう弁護団や姉ひで子さんを激励した寺地拳四朗選手(左端)と中谷潤人選手(右端)=5日、東京都内
東京高裁に向かう弁護団や姉ひで子さんを激励した寺地拳四朗選手(左端)と中谷潤人選手(右端)=5日、東京都内
日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会が製作した缶バッジ
日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会が製作した缶バッジ
東京高裁に向かう弁護団や姉ひで子さんを激励した寺地拳四朗選手(左端)と中谷潤人選手(右端)=5日、東京都内
日本プロボクシング協会の袴田巌支援委員会が製作した缶バッジ

 WBA・WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗選手(30)や前WBO世界フライ級王者の中谷潤人選手(24)らが5日、最終意見陳述のため高裁に向かう弁護団と袴田さんの姉ひで子さん(89)の元に駆け付け、支援委員会が手がけた缶バッジをプレゼントした。寺地選手は「少しでも力になれれば」とエールを送り、中谷選手も「競技で結果を残すことも大事だが、こうした活動を通じて(袴田さんのことを)知ってもらえたら」と話す。
 缶バッジは1500個製作。このうち1千個は袴田さんを支援する各地の団体に提供した。残りの500個は試合会場での募金活動に協力してくれたファンらに渡す。デザインは10種類あり、同委員会委員長の新田渉世さん(55)は「缶バッジなら服やかばんなど、いろいろなところにつけられる」と説明する。
 支援委員会は2007年に発足した。毎月、会合を開き、袴田さんの再審請求を世の中に知らしめるにはどうしたらよいか知恵を絞ってきた。当初は「訴訟に関わりたくない」という声もあったが、地道な活動に比例するように賛同者が増えたという。今では多くのボクサーらが、快く支援活動に協力する。
 高裁は23年3月末までに再審開始の可否を決める考え。新田さんは「裁判官にしっかりと判断を尽くしてもらうためにも、世間の関心が高まっていることを示すことが重要」と語った。
 袴田さんは1959年にプロボクサーとしてデビューした。その後、日本フェザー級6位まで上がった。

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