テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

「冤罪検証、心理学活用を」 袴田事件題材、静岡大でワークショップ

 法と心理学会(理事長・指宿信成城大教授)の第24回大会が21、22の両日、静岡市駿河区の静岡大で開かれた。法学者や心理学者、弁護士ら約100人が参加。一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判が27日から静岡地裁で始まるのを前に、袴田事件を題材にしたワークショップなどを通じて意見を交わした。

袴田事件を題材にしたワークショップで意見を交わす登壇者=22日午前、静岡市駿河区の静岡大
袴田事件を題材にしたワークショップで意見を交わす登壇者=22日午前、静岡市駿河区の静岡大

 袴田事件が題材のワークショップは誤判研究に取り組む笹倉香奈甲南大教授の企画。袴田さんの弁護団員で静岡大卒業生の戸舘圭之弁護士、著書「冤罪(えんざい)学」を出版した元裁判官の西愛礼弁護士、バイアスの実例に詳しい藤田政博関西大教授が登壇し、冤罪事件の予防や無実を訴える人の救済に、法や心理学の知見をどのように役立てられるかを議論した。
 戸舘弁護士は袴田事件の概要や再審公判に至った流れを解説。「裁判官や検察官、警察官が間違っていたのはもちろんだが、弁護人もいろいろなバイアスにとらわれて活動していた。今後しっかり検証しなければいけない」と指摘した。西弁護士は国内では冤罪の原因を検証した事例が少なく、手法も確立されていない現状の課題を挙げ、「冤罪事件の検証に心理学を活用するべきだ。分析によって知識化し、誰でも学べるようにすることが大事」と主張した。
 藤田教授は事例検証を重ねて実証的に冤罪のメカニズムを明らかにする実験研究を提案。笹倉教授は米国での冤罪研究の現状を紹介した。指宿理事長は「今後の冤罪の防止に向けて意義深い企画だった」と評価した。

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