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袴田さん弁護団も証人尋問請求へ 法医学の専門家想定【最後の砦 刑事司法と再審】

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は19日、静岡地裁に証人尋問を請求する方針だと明らかにした。法医学の専門家を想定しているという。

会議終了後、弁護団としても証人尋問を請求する方針だと説明する小川秀世事務局長=19日午後、静岡市内
会議終了後、弁護団としても証人尋問を請求する方針だと説明する小川秀世事務局長=19日午後、静岡市内

 事件では、1年2カ月後に現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣だと認定された。一方、袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、長期間みそに漬かった衣類の血痕に赤みは残らないと結論づけた弁護団の鑑定書などを重視。衣類は捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が極めて高いと言及した。
 静岡地検は再審公判に向け、血痕に「赤みが残る可能性がある」とする法医学者7人の共同鑑定書などを新証拠として用意した。これに対し弁護団は、弁護団鑑定を手がけた法医学者の意見書を新証拠として準備し、地検の主張への反論書も近く提出するという。
 同日の弁護団会議後に取材に応じた小川秀世事務局長は、地裁が地検側証人の尋問を実施する意向を示していることを挙げ、弁護団としても「やむを得ず」証人尋問を請求する方向で検討していると説明した。
 法曹三者の次回協議は27日で、公判日程などを話し合うとみられる。地裁は10月27日にも初公判を開き、本年度内で結審する考えを前回協議で伝えている。

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