テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

袴田さん弁護団「心外」 3者協議開始 検察の態度を批判

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決を受け、今年3月に裁判のやり直し(再審)が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた法曹三者の協議が10日、静岡地裁でスタートした。有罪の主張・立証をするかどうかの方針を3カ月後まで示すことができないとした検察側に対し、早期の再審無罪と謝罪を求めている弁護団は「誠に心外だ」(西嶋勝彦団長)と反発した。

3者協議を終え、記者会見する(右から)小川秀世弁護士、袴田巌さんの姉ひで子さん、西嶋勝彦弁護団長=10日夜、静岡市葵区の県産業経済会館(写真部・二神亨)
3者協議を終え、記者会見する(右から)小川秀世弁護士、袴田巌さんの姉ひで子さん、西嶋勝彦弁護団長=10日夜、静岡市葵区の県産業経済会館(写真部・二神亨)

 「全くの予想外。憤りを感じている」。1時間を超える3者協議の終了直後、弁護団の小川秀世事務局長は地裁前で報道陣の取材に応じ、検察側が態度を留保したことを批判した。
 やりとりの中で、確定記録が静岡地検ではなく上級庁にあることも判明したという。小川弁護士は記者会見で「(地検の)検察官は上級庁の判断待ちだと私は理解している」と説明。有罪立証断念を確信しているとして、方針表明の先送りを「腹立たしい」とした。
 一方、地裁について笹森学弁護士は「積極的な姿勢だった」と受け止めた。再審公判に関する条文は刑事訴訟法に二つしかなく、審理の具体的な進め方は3者協議で詰めるのが実情。争点や証拠を絞り込んでいく裁判員裁判の公判前整理手続きのようなイメージに近い。地裁は犯人性を主な争点と捉え、証拠を厳選した上で審理する考えという。
 弁護団の一員で元裁判官でもある水野智幸弁護士は取材に個人的な考えと断りつつ、再審公判に入れば審理は速やかに終わると見通す。「年内に判決が出るのではないか」と推測した。

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