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請求証拠「即座に開示を」 袴田さん再審巡り弁護団【最後の砦 刑事司法と再審】

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は11日、静岡地検に対し、有罪立証に用いる証拠を直ちに開示するよう申し入れた。静岡地裁には地検に証拠開示を促すよう訴えた。
 審理計画の早期策定と迅速な公判実現に必要だと判断した。弁護団によると、地検は有罪立証を維持する方針を示した10日の意見書で、犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色評価に関して、鑑識担当者の供述調書や写真専門家の供述調書、法医学者7人による共同鑑定書、法医学者の供述調書、醸造専門家の聴取報告書などを新たに取り調べ請求予定の証拠として挙げていたという。
 申し入れ書で、再審公判に向けた法曹三者の協議を空転させないためにも、これらの証拠を事前に検討することが不可欠だと主張。次席検事が臨時の記者会見で「迅速な公判遂行に協力する」と発言したことを踏まえ、「その言葉にうそがないのであれば、直ちに証拠開示に応じてほしい」と呼びかけている。次回の協議が19日に迫っていることから、証拠の写しを速やかに交付することも求めた。
 地検が有罪立証する方針を表明したことで、公判前の証拠・争点整理に時間を要することや再審公判の長期化が懸念されている。袴田さんの支援団体は方針の撤回を求め、近く地検に対して抗議活動を実施する。
 (社会部・佐藤章弘)

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