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検察に反論へ鑑定書、弁護団準備 みそ漬け実験結果 袴田さん再審

 強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審開始を認めた東京高裁決定を受け、弁護団が16日、都内で記者会見し、検察側のみそ漬け実験の結果を分析した専門家の鑑定書を準備していると明らかにした。事務局長の小川秀世弁護士は「今後予想される検察側の主張への反論になり得る」として、特別抗告を検討中とみられる検察側をけん制した。

記者会見で東京高検に提出した書面の内容を説明する小川秀世弁護士(右)=16日午後、都内
記者会見で東京高検に提出した書面の内容を説明する小川秀世弁護士(右)=16日午後、都内

 弁護団は同日、鑑定書の概要を盛り込んだ書面を東京高検に提出し、特別抗告の断念を改めて求めた。
 東京高裁での差し戻し審では、事件発生の1年2カ月後にみそタンクから見つかった犯行着衣とされる衣類の血痕に、赤みが残るかどうかが争点だった。
 弁護団が準備中の鑑定書は、血の付いた衣類を長期間みそに漬けても「血痕周辺部に赤みを観察できた」とする検察側の実験結果を批判する内容。色彩の専門家が写真を基に、検察実験の血痕の色目や濃淡を数値化して分析した。その結果、血痕の赤みは失われ、検察が観察した赤みは「血痕の色ではなく、みその色だ」と結論付けたという。
 小川氏は会見で、検察が特別抗告した場合に「赤みが残った、残らないの議論を蒸し返してくるだろう」と指摘。その上で「赤みが残っているという検察の主張は科学的に間違いだと明らかにできた」と強調した。
 弁護団は、東京高裁決定の中で指摘された証拠捏造(ねつぞう)の調査などを求める上申書も東京高検に提出した。

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