テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

「検察は抗告断念を」国内弁護士会が声明 袴田さん再審決定

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁が13日に袴田さんの再審開始を認める決定をしたことを受け、静岡県弁護士会(伊豆田悦義会長)など全国各地の少なくとも13の弁護士会や弁護士連合会が、検察側に特別抗告しないよう求める声明を公表した。併せて、政府や国会に不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を訴え、死刑制度の廃止も促している。

東京高裁決定を受け、検察官に特別抗告しないよう求める日弁連の小林元治会長(右端)=13日、都内
東京高裁決定を受け、検察官に特別抗告しないよう求める日弁連の小林元治会長(右端)=13日、都内

 特別抗告の期限は20日。県弁護士会は伊豆田会長名の声明で、高裁決定について、再審開始を認めて袴田さんを釈放した2014年の静岡地裁決定に続き「袴田さんの無実を再び明らかにした」と評価した。長期間の身柄拘束や死刑執行の恐怖で傷ついた袴田さんの心身の状態はいまだに回復しておらず、再審請求人の姉ひで子さん(90)も高齢と指摘。検察側に「決定を謙虚に受け止め、速やかに再審公判に移行することを強く要請する」とした。
 東京や大阪、熊本、福岡などの弁護士会も同様の主張を展開した。滋賀弁護士会は、滋賀県日野町で発生した強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に病死した元受刑者の再審開始を認めた2月の大阪高裁決定に検察側が特別抗告したことに言及。袴田さんの請求審と同じように検察官の手元に残されていた証拠の開示が再審開始の判断に影響を与えたことも踏まえ、再審開始決定に対する検察官の不服申し立ての禁止や請求審での証拠開示を法制化するよう要求している。
 日本弁護士連合会の小林元治会長は13日の記者会見で「再審法の改正と、冤罪(えんざい)防止のための制度改革に向けた活動を継続していく」と述べた。

いい茶0

袴田さん「再審」 最後の砦の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞