テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

袴田さん差し戻し審 高裁裁判長ら、検察の実験確認

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁の大善文男裁判長らが1日、みそ漬け血痕の変色具合を調べるために検察側が静岡地検で1年2カ月間続けてきた実験の確認作業に立ち会った。

「みそ漬け実験」の確認作業に立ち会い、静岡地検を後にする東京高裁の大善文男裁判長(奥左)ら=1日午後、静岡市葵区
「みそ漬け実験」の確認作業に立ち会い、静岡地検を後にする東京高裁の大善文男裁判長(奥左)ら=1日午後、静岡市葵区

 袴田さんの犯行着衣とされるシャツなど「5点の衣類」は事件から1年2カ月後、現場近くのみそタンクで見つかった。衣類に付着した血痕に赤みが見て取れたが、弁護団は不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと主張。差し戻し審では、みそ漬けの血痕が黒色化するメカニズムを化学的に説明した鑑定書などを新証拠として提出した。
 東京高検は2021年9月、静岡地検の一室を利用して「みそ漬け実験」を開始した。布に付着させた血液量や、みそ漬けになるまでの乾燥の程度が色調変化に影響を及ぼす可能性が高いなどと分析してきた。
 関係者によると、1日は大善裁判長ら裁判官2人と書記官が静岡地検に足を運んだ。変色の評価につながる発言はしなかった。弁護団の弁護士も同席した。
 弁護団と高検は12月2日までに最終意見書を提出する。高裁は年度内にも再審の可否について決定する意向を明らかにしている。

袴田さん「再審」 最後の砦の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞