テーマ : 袴田さん「再審」 最後の砦

着衣血痕「検察実験も赤み消失」 袴田さん弁護団、再審開始に期待

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の弁護団が2日、県庁で記者会見した。みそに漬かった血痕の色の変化を調べるために検察側が1年2カ月続けてきた「みそ漬け実験」について、前日に色合いを確認した小川秀世事務局長は「(血痕の)赤みは全く消えている」と明かした。

検察側「みそ漬け実験」の写真(左)を示しながら血痕の色合いを報告する弁護団。「犯行着衣」の写真(右)は赤みが見て取れるが、検察実験は黒っぽい=2日午後、県庁
検察側「みそ漬け実験」の写真(左)を示しながら血痕の色合いを報告する弁護団。「犯行着衣」の写真(右)は赤みが見て取れるが、検察実験は黒っぽい=2日午後、県庁

 袴田さんの犯行着衣とされる「5点の衣類」は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見された。ステテコの生地は白っぽさが残り、血痕に赤みが見て取れた。会見で小川事務局長は生地がみそ色に染まり、血痕が黒く見える検察側実験の写真を示しながら「(5点の衣類は)犯行着衣とは全く言えない。少なくとも合理的な疑いが生じている」と指摘。「再審開始は間違いないと確信している」と強調した。
 弁護団は東京高裁で続く差し戻し審で、みそ漬けの血痕が黒色化するメカニズムを化学的に示した鑑定書などを新証拠として提出。鑑定人らの尋問も実施された。同席した西沢美和子弁護士は「専門家の化学的知見が検察側の実験からも裏付けられた」と述べた。
 東京高検は昨年9月、静岡地検の一室で「みそ漬け実験」を開始。約1年2カ月となった1日、高裁の大善文男裁判長らが地検に足を運んで色合いの確認作業に立ち会い、弁護団も参加した。写真での確認では照明の当たり具合などによって実際の色合いとは異なる懸念があり、西沢弁護士は「裁判官に実物を肉眼で確認してもらったことに意味がある」と振り返った。

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