テーマ : お酒・ビール

大自在(10月12日)サステナブル

 新しい服はめったに買わない。Tシャツは首元がヨレヨレになるまで捨てない。靴下は穴が開くまではく。30年ほど前に古着屋で買ったコートをいまだに着ている。英国のデザイナー、エイミー・パウニーを追ったドキュメンタリー映画「ファッション・リイマジン」を見て、筆者のそんな無頓着ぶりが正当化されたように思った。
 作中では、ファッション業界が環境に及ぼす衝撃的な事実が列挙される。1980年代に比べ、人々は3倍以上の服を購入している。毎年、千億単位の服が作られ、その5分の3は購入した年に捨てられる。ファッション業界を国に見立てると、二酸化炭素排出量は中国、米国に次ぐ世界第3位に相当する、などである。
 エイミーはこうした現状に一石を投じる決意をする。限られた時間の中、さまざまな困難を乗り越えながら、原材料から製造工程まで全てにおいて環境に負荷をかけないサステナブル(持続可能)なコレクションの発表を目指す。
 フード、コーヒー、ツーリズム、住宅。ファッションに限らず、近年はサステナブルを冠する言葉をよく目にする。歓迎すべきことだ。持続可能な社会のために、個々ができることを考えたい。
 政界では、岸田文雄首相が低迷する内閣支持率を反転させて、サステナブルな政権にしようと躍起だ。来年秋の自民党総裁選での再選を見据え、衆院解散の時期を慎重に探っている。
 首相には国民生活の持続可能性こそ最優先に考えてもらいたい。こちらは物価高で首元ヨレヨレのTシャツも捨てがたくなっている。

いい茶0

お酒・ビールの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞