テーマ : お酒・ビール

浜松のカルチャー発信地 若者集まる“渋ビル” 中区・ゆりの木通り周辺【わたしの街から】

 JR浜松駅から北へ約600メートル、繁華街の浜松市中区田町から神明町にかけて東西に延びる「ゆりの木通り商店街」。飲食店や古着店、老舗の布団店が軒を連ねる。交差点の角に立つ築約60年の「カギヤビル」は、高度成長期に建てられたいわゆる〝渋ビル〟。地元出身の写真家が営む書店や雑貨店など多様な店舗が集まり、文化の発信拠点として若者らに親しまれている。

ゆりの木通りに立つ築60年ほどのカギヤビル=浜松市中区田町
ゆりの木通りに立つ築60年ほどのカギヤビル=浜松市中区田町
浜松市中区 ゆりの木通り周辺
浜松市中区 ゆりの木通り周辺
3階「Rohan(ロハン)」
3階「Rohan(ロハン)」
2階「ブックス アンドプリンツ」
2階「ブックス アンドプリンツ」
ゆりの木通りに立つ築60年ほどのカギヤビル=浜松市中区田町
浜松市中区 ゆりの木通り周辺
3階「Rohan(ロハン)」
2階「ブックス アンドプリンツ」


 丸八不動産(同区)が2012年から所有し、街中の活性化を目指してリノベーションした。百貨店や飲食店が並ぶ駅前から少し離れており、立地の良さから同ビルを選んだ。さまざまなテナントが時代とともに、入れ替わりながら商店街を盛り上げている。
  2階の書店「ブックスアンドプリンツ」は、同年10月に入居した。元々は同市東区出身の写真家若木信吾さん(52)が、ゆりの木通りの路面で運営していた写真集専門店の2号店としてオープン。現在、1号店は閉まっているが、若木さんが立ち上げたレーベル「若芽舎」から刊行した絵本が並ぶほか、若木さんが選書した小説や、雑貨などを販売している。
 13年には作家西加奈子さんを招いたトークショーを開催。現在も定期的にイベントを行い、30~40代を中心に、県外から来店する人も多いという。
 若木さんは「ゆりの木通りには、アメリカの旧市街のような雰囲気がある。若い人たちが集まり、一緒に何かを発信できる土壌をつくりたい」と話した。
 近隣大学の歴代の学生たちがアルバイトとして働いている。新村亮店長(45)は「大人たちとの距離が近く、学生にとっても進路や将来を想像しやすいと思う。昔のスタッフや関わりがあった子が卒業後に再び一緒に仕事をすることもある。長く続けていることのご褒美」と目を細めた。
 3階の「Rohan(ロハン)」は、県内外の作家の器やオブジェを紹介する。2017年にオープンした。店主の鈴木林太郎さん(38)は、浜松に来る以前は東京で働いていた。東京にいたころからカギヤビルの存在を知っており、「浜松は住みやすそう」と感じていたという。
 手仕事で作られた温かみのある作品が好きで、人の生活に直結する器の販売店を開いた。現在は展示会開催中のみの営業で、幅広いジャンルのアート作品を展示している。
 鈴木さんは「個人経営の書店などが商店街周辺にいくつかあるのは、街が豊かな証拠。世界から人が集まるような文化施設になればうれしい」と期待を込める。  出来たてビール楽しんで 工場で本場の味再現 photo01 ビール工場「オクタゴンブリューイング」
 商店街中心部に、小規模設備のビール工場「オクタゴンブリューイング」と、そこで醸造したビールを提供するブリューパブ「スマッシュボーイズ」がある。今年2月にオープンし、店内はハンバーガーやフライドポテトなどと一緒にビールを味わう老若男女の姿であふれている。ビールの本場ドイツの大学で手法を学んだ醸造歴約15年の千葉恭広さん(48)が手がける新鮮なクラフトビールを店頭で飲むことができる。
 店では醸造所で生産した「ホームビール」と、アメリカを中心とした輸入ビール計6~8種類をそろえ、約2週間ごとにビールの種類を変えている。ホームビールは、スッキリとした飲み心地が特徴の三ケ日みかんを使用したビールや女性人気の高いジャスミンの香り漂うビールなどが定番の人気メニューという。
 低温で長時間じっくりと燻製(くんせい)したテキサスバーベキュー料理を扱ったフードメニューも充実。看板メニューの「クラシックチーズバーガー」はパティの部分を鉄板でつぶした日本では珍しいバーガーだ。
 藤井大賀店長(25)は「米国本場の味を再現したビールと料理を味わえる。食事から米国文化を楽しんで」と呼びかけた。 photo01 ブリューパブ「スマッシュボーイズ」  (日比野都麦、小林千菜美)

いい茶0

お酒・ビールの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞