「遠い存在」「もっと対話を」 県議選告示 有権者の声、人口減対策に期待も
統一地方選の静岡県議選が31日告示され、無投票を除く19選挙区で9日間の舌戦が火ぶたを切った。県議は、国政や立法を担う国会議員や、地域や生活に密着した問題を扱うことが多い市町議と比べて「役割がよく分からない」「存在感が薄い」とも言われる。県内の有権者は県議にどんな働きや政策を期待しているのか聞いた。
県議の印象を有権者に尋ねると、「接する機会が少ない」「遠い存在」といった声が多い。沼津市の教員菊池昌太郎さん(24)は「選挙中は各候補者の活動の発信があるが、選挙がない期間は何をしているのか分からない」と物足りなさを示す。
特に静岡、浜松の両政令指定都市は県からの権限移譲が進み、両市選出の県議は役割が分かりにくいとの指摘もある。浜松市北区の無職青嶋伸介さん(78)は、2007年に同市が政令市に移行してから「県議が身近な存在ではなくなった。県議でなければできない取り組みがはっきりしない」との見方を示す。
県民の声をもっと聞いてほしいとの要望も。静岡市駿河区の大学生高橋奈那さん(21)は「県議会は県民と対話する機会を設け、意見を政策につなげて」と訴えた。市町を超えた政策推進への期待は大きい。川根本町の市民団体代表植田直美さん(63)は「市町の課題、例えば産業振興や子育て支援、教育環境の充実などの施策を総合的に進めれば、人口減少に歯止めをかけられるはず」と強調する。伊豆の国市の会社員藤岡裕也さん(30)も「少子高齢化や過疎化の進む伊豆半島全体に影響力のある施策を」と求めた。
県政の大きな課題である人口減少対策では、県議への注文が多く聞かれた。静岡市葵区の会社員浜田理帆さん(24)は「若い世代が県外に流出しないよう、若者の意見をないがしろにしないでほしい。住み続けたいと思えるような県に」と要望。磐田市福田の会社員野中佳奈さん(46)も「若い世代が結婚や子育ての希望を持てるような環境づくりを進めてほしい」と期待した。