あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 川根本町

春の褒章 喜びの静岡県内関係受章者

 2023年春の褒章受章者(29日発令)が発表された。県内関係は9人。業務に精励した人に贈られる黄綬褒章が1人、公共的な職務に貢献した人に授与される藍綬褒章が8人だった。受章者が喜びを語った。
黄綬 業務精励(宅地建物取引業) 渡辺照芳(わたなべ・てるよし)さん 幸福の「すみか」提供

渡辺照芳さん
 1971年に亡父と「住起産業」(三島市)を設立した。時代が望む住宅を約50年間、提供し続けた末の栄誉に「従業員や家族、お客さんの全てがあってこそ」と感謝する。
 建設業から始まり、時代のニーズに合わせ、宅地造成開発やマンション事業にも進出した。一貫してこだわったのは、雨露をしのぐだけではない、家族が幸せに生活できる「すみか」の提供。引き渡した時の客が喜ぶ顔が原動力となり「天職だった」と振り返る。
 県宅建政治連盟会長として、許認可や税制の仕組みを改正するよう要望活動も続けてきた。「業界が良くなれば、お客さんの利益にもつながる」との思いで今日も仕事に励む。
藍綬 更生保護功績 黒川信也(くろかわ・しんや)さん 「少年の心」で接する
黒川信也さん
 保護司として30年にわたり、罪を犯した青少年らの社会復帰に貢献してきた。
 長年ボーイスカウトの指導者も務め、多くの子どもと交流した経験を保護司の活動に生かす。「少年の心を持った大人であれ」という言葉を肝に銘じ、家庭環境などの背景や、思春期の悩みをくみ取ったやりとりを心がける。
 面会で必ず聞く言葉は「車の運転免許は持っているか」。就職するために取得するべき免許や資格をアドバイスするなど、再犯防止への具体策を示す。
 9月に退任する予定。「多くの先輩に恵まれて今がある。残りの期間で自分の経験を後輩に伝えていきたい」と意気込む。
藍綬 消防功績 鈴木義明(すずき・よしあき)さん 団の意義 広く伝える
鈴木義明さん
 1991年に消防団に入り、家業の建設業の傍らで33年間、団活動を続けてきた。祖父も、父母も地域の防災組織で活動し、「自分も当然のように入団した」。現場で火災の惨状を目にするたび、「被害に遭う人がいなくなるように」と使命感を強めた。地元小学校での防災講話や自主防災会との合同訓練など、団の活動の幅を積極的に広げてきた。
 今春からは浜松市中区副支団長を務める。ゲリラ豪雨など課題が多様化する一方、団員は年々減少し、運営の厳しさは増している。「大きな災害の時こそ地域を知る消防団の強みが生きる。やりがいや仲間との絆を得られる団の意義を広く伝えたい」と声に力を込める。
藍綬 更生保護功績 田之上正子(たのうえ・まさこ)さん 寄り添い 対話重ねる
田之上正子さん
 1994年5月から保護司として、罪を犯した子どもたちの社会復帰を支えている。「悩んでいる時『頑張ってね』と、保護司の先輩たちが優しい言葉で背中を押してくれた。素晴らしい仲間に恵まれた」と感謝する。
 最初は試行錯誤の連続だった。「相手の気持ちに寄り添いながら耳を傾け、問いかける」を大切に対話を重ねた。子どもたちは徐々に自分らしさを取り戻し、地域に貢献するまでに成長した。
 保護司の活動を始めて30年目を迎える。「子どもたちの活躍を聞くたびにパワーをもらう。これからは指導してくれた先輩や応援してくれる方々、子どもたちに恩返ししていく」と語る。
藍綬 更生保護功績 原田全修(はらだ・まさのぶ)さん 長所伝え復帰後押し
原田全修さん
 地域貢献の思いで1999年に保護司を引き受け、今年6月で活動から退く。心がけたのは相手の長所を言葉で伝えること。強みを理解し、自信につなげてもらうことで社会復帰を後押ししてきた。
 時には自然豊かな環境に足を運び、一緒に蛍を観察したり、水切りを楽しんだりして、徐々に心を開いてもらうよう努力を重ねた。「原田さんは信頼できる人」。担当したある少年の一言が今でも忘れられない。
 未成年との接し方に悩んだときは、年齢の近かった息子に相談したこともあった。「活動をともにした更生保護女性会のメンバーや、そばで支えてくれた家族に改めて感謝したい」と受章を喜ぶ。
藍綬 調停委員功績 前嶋隆文(まえじま・たかふみ)さん 納得いく解決へ導く
前嶋隆文さん
 1996年に任命され、6年前からは浜松調停協会長も務める。発泡プラスチック製造加工会社を経営する傍ら、離婚や遺産分割といった家事紛争の調停に立ち会ってきた。
 双方が納得できる落としどころを当事者に見つけてもらうことが大切と考え、必要に応じて過去の事例などを助言する。前を向いて次の一歩を踏み出してもらうことを重視し、調停の終了時には「認められなかった意見より、主張が通った部分を見つめてほしい」と伝えている。
 人それぞれの考え方にも触れ、「人生の良い経験になった」と振り返る。定年での退任まで1年弱。「これまでに得た知識を後輩に伝えたい」と語る。

 ◇黄綬褒章◇
渡辺 照芳(73)住起産業取締役会長=三島市中
 ◇藍綬褒章◇
渡辺 光恵(73)稲城市選挙管理委員会委員長=東京都稲城市向陽台(本籍静岡県)
大木 慶子(67)調停委員=焼津市田尻北
釜田 和子(79)元民生・児童委員=焼津市上小杉
黒川 信也(76)保護司=富士市厚原
鈴木 義明(53)浜松市消防団分団長=浜松市中区上浅田
田之上正子(74)保護司=磐田市見付
原田 全修(78)保護司=川根本町下長尾
前嶋 隆文(70)調停委員=浜松市中区常盤町

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

川根本町の記事一覧

他の追っかけを読む