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テーマ : 川根本町

大井川鉄道3カ月ぶり再開 沿線喜び「待ってたよ」 観光復活期待

 9月の台風15号の被害により運休していた大井川鉄道(本社・島田市)本線が金谷―家山間で約3カ月ぶりに運転を再開した16日、沿線では多くの人が列車を出迎え、鉄道の再開を喜んだ。蒸気機関車(SL)「かわね路号」も修繕から復帰し、川根路に大きな汽笛を響かせた。沿線住民からは被災以来、ひっそりとしていた地域のにぎわい復活を期待する声が上がった。

「がんばろう大鉄」と書かれた手作りのうちわでSLを出迎える地域住民=16日午後、島田市の大井川鉄道家山駅
「がんばろう大鉄」と書かれた手作りのうちわでSLを出迎える地域住民=16日午後、島田市の大井川鉄道家山駅
大井川鉄道の運転再開を祝って旗を振る園児=16日、島田市の大井川鉄道合格駅付近
大井川鉄道の運転再開を祝って旗を振る園児=16日、島田市の大井川鉄道合格駅付近
大井川鉄道 土砂流入現場 開通区間
大井川鉄道 土砂流入現場 開通区間
「がんばろう大鉄」と書かれた手作りのうちわでSLを出迎える地域住民=16日午後、島田市の大井川鉄道家山駅
大井川鉄道の運転再開を祝って旗を振る園児=16日、島田市の大井川鉄道合格駅付近
大井川鉄道 土砂流入現場 開通区間

 家山駅にかわね路号が近づくと、この日を待ちわびていた地域住民らは「がんばろう大鉄」と書き込んだ特製うちわや黄色いハンカチを掲げ、「おかえり」と声をかけた。出迎えを企画した住民有志「川根おもてなし人クラブ」会長の森下文子さん(75)は「沿線地域にとって大井川鉄道は自慢の存在。関係者への感謝と応援の気持ちを示したかった」と笑顔を見せた。
 川根本町の和田歩さん(16)は代行バスで家山駅に向かい、久々の大鉄乗車で町外の高校に向かった。「電車が好きなので早く乗りたいなと思っていた。本線終点の千頭駅までの運転再開も楽しみに待っている」と期待した。家山駅前の茶販売店「朝日園」の朝比奈美紀さん(46)は「今年の秋は観光客の姿が少なく寂しかったが、久々にぎわいが戻ったように感じた。(運転再開が)地域を活気づけるきっかけになってほしい」と願った。
 SLが通過する合格駅には、地元住民でつくるチームおもしろ五和駅のメンバーが手作りのかかしを飾り、五和保育園の園児と一緒に「まってたよ 運行再開」と書いた看板を手に持って乗客を出迎えた。メンバーの鈴木浦子さん(83)は「ここの住民にとってはSLの汽笛がお昼の合図。戻ってきてくれて本当にうれしい」と声を弾ませた。
(島田支局・池田悠太郎)

 ■全線開通見通せず
 大井川鉄道によると、未開通となっている家山-千頭間では台風15号により土砂流入や倒木など13カ所で被災を確認している。運転再開に向けて大鉄が公的支援を要請したことを受け、県は沿線自治体などが参加する意見交換会を5日に開始したものの、支援の枠組みなど課題は多く、全線開通は見通せない状況だ。
 5日の意見交換会には国土交通省中部運輸局や県、静岡市、島田市、川根本町が参加し、大鉄側が行政の支援について要望を伝えたという。大鉄側は新型コロナの流行で柱となる観光事業の収入が激減したことや設備の老朽化も踏まえ「鉄道の将来的な存続に向けた議論が必要」との認識を示している。
 16日の運転再開を受け、大鉄の担当者は「全線開通が本来の形。生活の足としても観光列車としても一日も早い全線復旧を目指したい」と話した。意見交換会の事務局を担う県中部地域局の担当者は「まずは課題を抽出し、地域公共交通活性化再生法に基づく協議会の設置につなげたい」としている。
(島田支局・中村綾子)

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