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社説(1月14日)熱海富士と翠富士 三役昇進に期待膨らむ 

 静岡県出身力士が大相撲の年6場所のうち3場所で幕内優勝争いを繰り広げると1年前、誰が想像しただろうか。昨年3月の春場所で翠富士(焼津市出身)が終盤まで先頭を走り、9月の秋場所と11月の九州場所では熱海富士(熱海市出身)が千秋楽まで賜杯獲得を競った。14日に初日を迎える初場所は2人とも前頭上位に名を連ねる。さらなる躍進を期待したい。
 2人の師匠である元横綱旭富士の伊勢ケ浜親方は厳しい指導で知られる。熱海富士の2場所連続の快進撃は勢いだけでなく、角界屈指の稽古量のたまものである。幕内最年少の21歳は人気も急上昇で今や看板力士の一人。186センチ、181キロの逸材は将来の横綱候補と評されるようになった。角界やファンの期待は大きく膨らんでいる。
 翠富士は174センチ、116キロと幕内最軽量。大型力士相手にも切れ味鋭い技と強靱[きょうじん]な足腰で奮闘し、相撲通をうならせる。肩透かしは代名詞となった。まだ27歳で、地力を増す余地は十分ある。熱海富士と共に県勢では戦後初となる三役力士の誕生も現実味を帯びてきた。
 だが、心・技・体がそろわないと上位で白星を重ねるのは難しい。共に一層精進を重ねて技を磨き、体を鍛えてほしい。心については最高のお手本が同じ部屋にいる。けがと持病の悪化で大関から序二段まで陥落した後、横綱まで上り詰めた照ノ富士のような精神力を備えれば、試練も乗り越えられるはずだ。
 本県の郷土力士は総勢18人。十両、幕内も狙える有望株もいる。伊勢ケ浜部屋所属で、飛龍高(沼津市)でも翠富士と熱海富士の後輩でもある聖富士[さとるふじ](焼津市出身)は九州場所で幕下優勝した。付け人として世話をする2学年上の熱海富士に刺激を受けたのは間違いない。
 幕下の吉井(焼津市出身)は元中学生横綱の20歳。中学卒で入門し、10場所連続の勝ち越しの後は足踏みが続いていたが、ここに来て3場所連続の勝ち越し。スピード出世で追い抜いていった熱海富士の背中を必死に追いかけてもらいたい。
 本場所中は本紙に郷土力士の星取表も掲載される。現役最年長の47歳で1995年の初土俵以来連続出場を続ける序二段の翔傑(伊豆市出身)にも注目してほしい。
 この20年間、土俵を席巻しているモンゴル勢のように、郷土力士が活躍すれば先輩にあこがれる有能な人材が次々に入門するという好循環が期待できる。この1年、熱海富士、翠富士の一層の飛躍に加えて、本県から新たな十両、幕内力士が誕生することを願っている。県内ファンの応援がその後押しになる。

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