テーマ : 伊豆市

こぎ出そう!パックラフト 水面からの景色楽しむ 伊豆で体験イベント【しずおかアウトドアファン】

 空気で膨らませるカヌーに似た形状のボート「パックラフト」は軽量で小回りが利き、川下りや釣りを気軽に楽しむ道具として人気がある。伊豆市を流れる狩野川の上流部に当たる猫越川で、昨年12月中旬に行われたパックラフトの体験イベント(市観光協会天城支部主催)を訪ねた。パドルを手にパックラフトを操る参加者=12月中旬、伊豆市湯ケ島
 会場となったのは、伊豆市湯ケ島地区にある世古峡。文豪井上靖ゆかりの湯ケ島温泉街の一角にあり、新緑や紅葉のシーズンには渓谷沿いの木々と両岸の荒々しい岩肌が観光客の目を楽しませる穴場的なスポットだ。イベント当日の天気は曇りだったが、晴れていれば、猫越川の水がエメラルドグリーンに輝いて見えるという。
 講師は伊豆市や伊豆の国市でアウトドア関連のツアーを実施しているアドベンチャーサポート(伊豆市)代表の根岸尚宗さん(42)が務めた。参加者はライフジャケットを身に着けると、根岸さんの指導でパドルの持ち方や艇を操る方法を学んだ。一通りの予習が終わったら、早速パックラフトに乗り込み川の中へ。世古峡にはプールのように流れの穏やかな一角があり、参加者はゆったりと艇をこぎ進めたり、パドルを置いて仲間同士で写真を撮り合ったりと思い思いに水上でのひとときを過ごした。根岸尚宗さん(左端)からパドルの扱い方を学ぶ参加者
 少し流れのある場所では、上流に向かって力強くこぎ進むなど心地よい汗を流す人も。約1時間の体験を終えた佐藤いづみさん(49)=伊東市=は「パックラフトには初めて乗ったが、プカプカと浮き上がるようで楽しかった。また機会があればやってみたい」と笑顔を見せた。小出勝彦さん(66)=伊豆市=は仕事などで付近を訪れたことはあるが、世古峡の景色を間近でしっかりと見たのは初めてという。「川にこぎ出し、水面の高さから眺めると普段とはまた違った景色が見られた」と語った。世古峡の木々に残った紅葉が参加者の目を楽しませた
 天城支部は観光資源として世古峡を活用しようと年に数回、パックラフトの体験会を実施している。
 折りたためて軽量  パックラフトは米国・アラスカが発祥とされる。艇体にポンプなどを使って空気を入れて膨らませるため、重量は3キロ程度からと通常のカヤックに比べて軽く、持ち運びをしやすいのが特徴だ。カヤックの保管スペースの確保が難しい日本の住宅事情に合っていて、人気を集める要因となっている。空気で膨らみ、軽量さが特徴のパックラフト
 アドベンチャーサポートの根岸さんによると、パックラフトは「流れが急な所でも安定性は比較的高い」。使わない時はコンパクトに折りたためるので、バッグに入れて電車などでお気に入りの場所へ移動し、そこからこぎ始めるといった柔軟な旅程も組める。一方で風に弱く、遮る物がない湖上などでこぐ時は注意が必要という。
 近年は国内外の複数のメーカーが製品を市販している。水面が穏やかな場所で使うタイプと、白波が立つような急流(ホワイトウオーター)でもこげる耐久性の高い艇がある。後者は「セルフベイラー」という水抜き穴が付いている。
 パックラフトを始める際は艇本体のほか、ライフジャケットとパドル、防水バッグ、空気入れなどが必要になる。
(生活報道部・草茅出)

いい茶0

伊豆市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞