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東京五輪レガシー 自転車と観光の戦略は 14日告示 21日投開票【迫る 伊豆市長選㊤】

 「東京五輪の会場となった場所を訪れる貴重な体験ができた。今はどんな活用がされているのか」。3月下旬、伊豆市の伊豆ベロドローム。姉妹都市カナダ・ネルソン市からの市民訪問団の一員として伊豆市を訪れていたバーニー・ジマーさんは、2021年の東京五輪・パラリンピック自転車競技で使用された最大斜度45度の木製バンクを興味深げに見て回りながら、五輪のレガシー(遺産)への率直な疑問を口にした。

東京五輪競技会場となった伊豆ベロドロームを見学するカナダ・ネルソン市民訪問団。五輪後、自転車を生かした市への誘客は道半ば=伊豆市内
東京五輪競技会場となった伊豆ベロドロームを見学するカナダ・ネルソン市民訪問団。五輪後、自転車を生かした市への誘客は道半ば=伊豆市内

 市は五輪以降、県とも連携し、競技が行われた市内施設の活用法を模索してきた。ベロドロームでは自転車試乗体験会、ドーム近くの伊豆マウンテンバイク(MTB)コースで見学会を開催。日本サイクルスポーツセンター(CSC)の協力を受け、自転車トレーニング機器を使った健康づくりのプログラムも策定するなど、市民が自転車に親しむ機会を創出してきた。
 昨年には同市など伊豆半島を舞台にサイクリングイベント「エロイカジャパン」が開催され、国内外の自転車愛好家が訪れた。CSC事業部で日本スポーツ協会公認自転車競技コーチの野田尚宏さんは「子どもたちを含め、市民が自転車に触れる機会は着実に増えている」としつつ、「レガシーを残すには事業の持続が不可欠」と指摘する。
 一方、観光業界からは「市内の誘客、宿泊増につながっていない」との声も。同市の土肥ふじやホテルの三浦庄司課長は「自転車と観光を連携させれば、もっと人を呼び込める」と今後の観光振興に期待する。
 「五輪の舞台になったまち」としての貴重な経験を、市の発展にどう生かすか。サイクリングイベントのプロデュースなどを行う市内在住のマルコ・ファヴァロさん(イタリア出身)は「伊豆半島の真ん中に位置する伊豆市から各自治体に働きかけ、世界に発信すれば、伊豆全体の活性化につながるはず」と市の戦略に注目する。
      ◇
 任期満了に伴う伊豆市長選は14日、告示される。選挙戦を前に、伊豆市の現状と課題を探る。

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