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狩野川台風被害を後世に 伊豆の青木さん 松崎で自作冊子の挿絵展

 伊豆市土肥の青木直美さん(71)が狩野川台風の被災者の体験談を基に創作した物語「狩野川のシロ」の挿絵の原画を紹介する展示会が9月25日まで、松崎町の喫茶ギャラリー「海の駅丸平」で開かれている。1958年9月に伊豆半島で甚大な被害をもたらした台風の惨状を描いた作品で、主人公の男性が少年時代の被災体験を振り返る場面を表した14点を飾る。

「狩野川のシロ」の挿絵の原画を紹介する青木さん=松崎町の喫茶ギャラリー「海の駅丸平」
「狩野川のシロ」の挿絵の原画を紹介する青木さん=松崎町の喫茶ギャラリー「海の駅丸平」

 物語では、飼い犬のシロや家族と暮らしていた主人公が台風の影響で濁流にのみ込まれてしまう。主人公は一人生き残り、助けてくれた漁師から1匹の犬のおかげで救助できたと聞かされる。主人公が流されながらシロと寄り添うシーンなどを色鉛筆の優しいタッチで表現しつつ、台風の悲惨な状況を伝えている。
 当時の新聞記事などを基に創作し、2010年にネットや冊子にまとめた。挿絵はネットで公開していたが、冊子に掲載できないまま配布したことが心に引っかかっていたという青木さん。語り部が減少する中、伝承につなげるため「形に残しておきたい」と挿絵を加えた冊子の製本作業に取りかかり、23年7月に完成。13年前に冊子を申し込んでくれた人に贈った。
 青木さんは「狩野川台風の惨状を伝える手段の一つとして残していけたらうれしい」と語った。
 青木さんによる新聞紙を切り貼りして描いた絵なども展示している。ギャラリーは火~木曜定休。

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