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伊豆の「夜泣き松」後世に 弘法大師ゆかり、3代目で絶える 住民有志らレプリカ設置

 弘法大師にゆかりがあると伝わる伊豆市の「夜泣き松」が、100年余の時を経て復活した。「赤子の夜泣きを止めた」とも伝わる松で、大正時代に3代目が台風で倒れた後はそのままになり、次第に存在を忘れられていた。地域の弘法大師伝説を後世に引き継ごうと2月中旬、同市横瀬地区の住民有志らがかつて植えられていた場所に近い横瀬八幡神社境内に植栽。「多くの人に関心を寄せてもらう契機に」と意気込む。

横瀬八幡神社の境内に「夜泣き松」を植える「修善寺横瀬史談会」の会員=伊豆市内
横瀬八幡神社の境内に「夜泣き松」を植える「修善寺横瀬史談会」の会員=伊豆市内

 地域での言い伝えによると、弘法大師は同神社付近の横瀬坂の松の木の下で乳飲み子を抱えて泣く母親に出会った。「夜泣きがひどく困っている」と話す母親に弘法大師は松の小枝を渡し、煎じて飲ませるように言った。飲んだ赤子の夜泣きは止まり、以来松は「夜泣き松」と呼ばれ、長年にわたって人々に親しまれてきたという。
 詳細な記録は残されていないが、資料によると3代目とされる松は街道沿いに立ち、見上げるほどの立派な樹勢を誇った。
 再植栽に動いたのは、住民有志らで構成する「修善寺横瀬史談会」。会員の塩崎利浩さんを中心に、2月に入ってから境内の一角に石を積んで、植える場所を造り始めた。塩崎さんは自宅にあった高さ約50センチの盆栽の松を提供。会員ら約20人が協力して松を植え、土をかぶせて「夜泣き松」の4代目となるレプリカを完成させた。紹介する看板も立てた。
 塩崎さんは「伝説を知る人も少なくなっていた。子どもたちにまで継承できれば」と期待を寄せる。

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