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沼津市議会 改革進め市民の利益に【記者コラム 湧水】

 昨年の3月、沼津市議会の改革を期待する記事を小欄で書いた。議員の改選を経たこの約1年間、沼津市による現職市議の提訴や、その提訴議案審議中に飛び出した別の市議のいわゆる「タケノコ発言」で、市議会は市内外から注目を集めた。全国に広がった議会のネガティブなイメージを払拭しようと、高橋達也議長を中心に議会がさまざまな改革に乗り出したことは率直に評価したい。
 1年前の記事で指摘した一般質問登壇者の明確化は、昨年11月定例会から実行に移された。同定例会の本会議傍聴者は前年の2・5倍に増加。情報公開が市民の関心を高めることにつながった結果といえる。傍聴席を訪れる人はまだ、市議の支持者とみられる市民が大半だが、少しでも関心を持つ人から議場に足を運んでもらい、さらに輪を広げていきたい。
 2月には市議を対象にしたコンプライアンス(法令順守)研修も開き、ハラスメントなどに関する基礎的な内容を学んだ。しばしば議場や委員会室で議員の怒号が飛び交うこの議会では、基本的な事柄でも改めてハラスメントに関して理解を深めることが必要だったと感じた。
 今後は緒に就いた改革の歩みを止めないことが重要だ。高橋議長は改革私案で、現在も実施している議会のインターネット中継を本会議だけでなく委員会にも広げる方針を示す。先行する富士市議会へ視察も行い、前向きな動きが始まっている。ぜひ実現してほしい。
 SNS(交流サイト)の発達で、地方議会の騒動も瞬時に全国へと拡散する時代になった。まさに「タケノコ発言」はその一例だろう。広島県安芸高田市議会は、市長と市議の論戦を切り取った動画が投稿サイトで拡散。市外からも厳しい目が注がれる。
 だからといって、議員には萎縮してほしくない。鋭い批判や指摘も論理的な主張さえできれば、違う立場の人も意見として受け止め、建設的な議論へと進めることができる。多様な市民の目を入れるさまざまな改革が議員を刺激し、能力の向上につなげられれば、議会だけでなく市民にも大きな利益として返ってくるはずだ。
 (東部総局・尾藤旭)

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