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高校登山部、人気上向き 部員300→500人台 アウトドアブーム追い風 

 静岡県内の高校登山部の部員総数が増えている。17年前は300人ほどだったのが、ここ数年は500人台に。アウトドアブームで関心のある生徒が増えたことや、部活動と勉強を両立させやすい点が追い風になっているようだ。
県内高校の登山部員数の推移
 10月下旬、浜松市北区で開かれた県新人大会には、16校約300人が出場した。早朝、学校ごとに出発地点の気賀小をスタート。尉ケ峰、風越峠、富幕山(標高563メートル)を経由し、同日昼ごろまでにゴールの同山登山口付近まで約12キロの山道を踏破した。地図に描かれた地形などから現在地を把握する「読図」の正確さなど、日頃の練習の成果を試した。大会前夜は気賀小グラウンドにテントを張って泊まった。
 県高体連登山専門部によると、2023年度の県内の登録部員数は男女合わせて547人。06年度にはここ20年間で最も少ない310人だったが徐々に増え、18年度からは継続して500人を上回っている。専門部の鈴木重幸委員長(静清高教諭)はアウトドア人気の高まりに加え、「実際に山へ登るのは週末や夏休みなど。学校のある平日は筋トレや気象知識の習得、読図の練習などに充てるため、下校が遅くならない点も大きいのでは」とみる。
新人大会で登山道を歩く生徒たち=10月下旬、浜松市北区の風越峠付近  生徒はそれぞれに魅力を見いだしているようだ。富士高(富士市)山岳部は平日は校内で練習し、週末と長期休みに大会出場や市内の山に登るトレーニング、県外での合宿などをこなす。登山は未経験者が大半。知人が登山道具を持っていた縁で門をたたいたという小林夏河主将(2年)は「登山中は皆でごはんを作ったり、美しい景色を眺めたりできる」と非日常体験の素晴らしさを語る。山田純怜さん(同)はキャンプに憧れて入部を決めた。「他の部活と違い登山は楽しめる部分が多い。体力的なきつさはあるが、得るものは大きい」と強調する。
 課題もある。部員数こそ増加しているものの、少子化に伴い各校で部活動の見直しが進む影響で、登山専門部の登録学校数は減少が続く。専門的な登山知識を持ち、顧問として生徒を安全に指導、引率できる教諭の確保も必要だ。
 鈴木委員長は、今後も高校登山部を活性化していくためには生徒に魅力を伝えられる教諭の存在が不可欠と指摘。「県全体で協力しつつ、若い世代の教諭の育成に取り組んでいきたい」と話している。
 (生活報道部・草茅出)

 <メモ>高校の登山競技は体力や歩行技術だけでなく、気象や救急に関する知識、炊事やテント設営の技術、天気図の作成、読図の正確さなどを総合的に審査して得点が決まる。静岡は強豪県として知られる。全国高校総体での過去20年間の優勝回数は、男子は藤枝東と富士が各1回、女子は富士宮西が4回、富士が3回。本年度は女子の富士が頂点に立ち、男子の沼津東が3位に入った。

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