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子育て支援拡充 家事と家計の負担軽く【検証 富士市予算案㊦】

 富士市の認定こども園「市立松野こども園」では、給食が始まると園児たちが列を作って炊きたての白米を受け取る。渡辺範子園長は「温かいお米が出てくることで子どもはもちろん、朝忙しい親も喜んでくれています」と話す。同市では2024年度から、市立の認定こども園で行われていた主食の提供が、市内全ての公立保育園でも実施される。

白米を受け取る園児ら。来年度からは市内全ての公立保育園で主食の提供が行われる=富士市立松野こども園
白米を受け取る園児ら。来年度からは市内全ての公立保育園で主食の提供が行われる=富士市立松野こども園

 公立保育園での実施に加え、私立を含む全ての幼稚園・保育園・認定こども園で主食費を支援する。市は24年度一般会計当初予算案に、関連費計3700万円を計上した。市の担当者は「家事と家計の負担を軽減し、子育て世代の不安を取り除きたい」(子ども未来課)と強調する。
 公立保育園では慣習的に、保育料に主食費が含まれる2歳児までしか主食を出してこなかった。一方、保護者からは家事の負担や持参したご飯を保管する衛生面の懸念を理由に提供への根強い要望があった。公立保育園に娘を預けている伴野亜紀さん(31)は「炊飯や片付け、子どもが食べられる量の計算など、主食だけでも手間はかかる。任せられるのはありがたい」と話す。
 市は少子化対策としてこのほか、親が働いていなくても子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」の試行、子育て世帯のUターンへの補助など32施策を展開する。一連の事業に計32億円を投じ「はぐくむFUJIこども未来パッケージ」と銘打った。
 こうした支援策を少子化対策につなげるためには、今後子育てを担う若者への周知も課題になる。出産や子育ての専門家でつくるNPO法人「妊娠・子育てネットふじ」の堀田久美副代表は、情報発信の強化や中学・高校年代への子育てに関する教育の必要性を指摘する。その上で「保護者個人だけでなく、子育て世代の就業場所である中小企業にも投資し、社会全体で子どもを産みやすい環境を整備してほしい」と期待する。
 (富士支局・沢口翔斗)

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