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富士中央病院 現地建て替え 市長方針 開院31年度に前倒し

 富士市立中央病院の老朽化に伴う新病院の建設について、小長井義正市長は15日、同市高島町の現在地に施設を建て替える考えを市議会新病院建設特別委員会で示した。開院時期はこれまで予定していた2035年度から31年度に前倒しする。同委員会は方針を了承した。

現在地での建て替えの方針が示された富士市立中央病院=同市高島町
現在地での建て替えの方針が示された富士市立中央病院=同市高島町


 地域の基幹病院となる立地や規模の観点から、現在地の3キロ以内で3万平方メートル以上の用地を条件に検討した。市が候補地に挙げたのは現在地と中央公園(永田町)、広見公園(伝法)、ふじさんめっせ(柳島)の公共用地4カ所と、香西新田地区の民有地。
 選定では、用地確保を踏まえた早期開院の実現性と合わせて、交通アクセスや防災性などの運営面から比較した。各候補地は評価項目ごとに優劣がある中で、スケジュールや法規制対応などの面から事業を確実に進められる点で現在地が最適と判断した。
 建設にかかる財政シミュレーションでは、開院の前倒しによる事業費増加が課題だったが、新型コロナウイルス重点医療機関としての補助金で資金を確保した。総合体育館建設や富士駅北口再整備など市の大規模事業が重なる中でも、4年の前倒しが可能になるという。
 敷地内の建設場所は現在の駐車場周辺を想定し、立体駐車場を設けるなどして進める見通し。委員の市議からは、工期中の診療体制や、現在の建物の跡地に関する質問が上がった。

 記者の目=利用者に一層の配慮必要
 富士市立中央病院の移転を可能性に入れた新病院建設は、市議会などから求められてきた「1年でも早い開院」の確実性を決め手として現在地建て替えに決まった。候補地になった公園や施設の移転先を含めた合意形成も考えると、実現のハードルを越える所要時間には大きな差が出た。
 現在地での建設工事は入院や通院の利用者がいる中で行われ、騒音や振動、建設地になる駐車場の不足などへの対策が検討課題に挙げられる。今後、各地の事例を参考にした工程作成や、代替駐車場の確保などの準備が進む。医療体制に不満を生まないよう、利用者に一層の配慮が必要だ。
 市の方針の土台になる「新病院あり方検討報告書」では、市内全体からの救急搬送の受け入れや大規模災害時への備えなど、さまざまな視点から目指す姿が示された。それは来年度に始まる基本構想策定と合わせて議論を深化させ、地域医療の課題解決に生かしてこその成果になる。
 (富士支局・宮城徹)

 富士市立中央病院 1949年、町立富士中央病院として開設。市制施行に伴う名称変更を経て、84年に同市本市場から現在地へ移転した。地域の高度急性期医療や災害拠点病院としての機能を担う。現在の病床数は520。診療科数は27。敷地面積は約3万5000平方メートル。

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