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大井川流域首長が意見交換会、住民の懸念訴え リニア問題、JR社長に「丁寧な説明を」

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海の丹羽俊介社長と大井川流域10市町の首長との意見交換会が9日、静岡市葵区で開かれた。首長側は、水資源への影響に関する懸念は「住民にまだ残っている」とし、JRにより丁寧な説明を求めた。その上で首長側が、流域10市町とJRの事務方で「連絡調整会議」の設置を提案し、トンネル湧水の県外流出対策などについて情報共有していくことでJRと申し合わせたという。

大井川流域市町との意見交換会であいさつするJR東海の丹羽俊介社長(左)=9日午後、静岡市葵区
大井川流域市町との意見交換会であいさつするJR東海の丹羽俊介社長(左)=9日午後、静岡市葵区

 「連絡調整会議」設置提案
 会議は非公開で行われ、終了後に丹羽社長、首長側の双方が取材に応じた。
 湧水の県外流出対策を巡っては、JRが大井川上流部にある田代ダムの取水を抑制する方策についてダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と協議を進めている。意見交換会では首長側が、スピード感を持った協議の進捗(しんちょく)を求めたほか、確実な実施に「国の担保」を求める意見も出たという。関係者によると、「水利権上の問題がないと本当に言えるのか」との声も挙がった。
 丹羽社長は取材で、流域住民の懸念に対しては、2021年12月に出された国土交通省専門家会議の中間報告の内容や、同報告で指摘されたリスクを丁寧に説明する姿勢を強調した。田代ダム案の協議に関しては「そう遠くない時期に取水抑制の方法について説明する機会を設ける」と述べたとし、東電RPとの協議が順調に進んでいることを示唆した。
 大井川流域の首長とJR社長の意見交換会の開催は21年9月以来2回目。前回、金子慎社長(現会長)が臨んだ時は首長側から水資源への懸念に関して厳しい意見が相次いだが、今回はリニア開通後の東海道新幹線増便や、静岡空港(牧之原市)に東海道新幹線駅を新設する意見など多岐にわたったという。染谷絹代島田市長は「JRが2年間、地域の不安を払拭しようと努力したことが(首長に)評価され、きょうの雰囲気になった」と総括した。
 (政治部・尾原崇也、池谷遥子)

 

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