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牧之原市 外国籍児教室の体制強化 日本語学習、編入前に【2024注目予算】

 「ひらがなを順に並べ替えてみましょう」。牧之原市片浜にある廃校を活用した日本語初期支援教室「いっぽ」では6歳以上の外国籍の子どもたちが日本語習得に励む。修学に必要な語学力や基礎学力を身に付けた後で小中学校に編入することで、効果的な学習につなげる狙いがある。

日本語の習得に励む外国籍の子どもたち=牧之原市片浜
日本語の習得に励む外国籍の子どもたち=牧之原市片浜

 2023年4月に始まった教室では最長半年、小中学生に相当する年齢の子どもを受け入れる。会話や基礎的な読み書き、算数などを利用者の習熟度に応じて学ぶ。宿泊や教育の事業を手がけるマキノハラボ(同市)が市の委託を受けて運営する。
 教室では日本文化を知る課外学習や給食体験のほか、地域に親しみを感じてもらおうと住民との交流会も行う。同社の浅野拳史社長は「子どもとふれ合う機会が生まれて地域が活性化する。子どもたちにも孤立した存在ではないと感じてもらえる」と話す。
 市によると、23年12月末時点の外国籍住民登録数は2585人で全人口の6%を超えた。定住するブラジル人などの間で子どもの日本語教育が課題となる中、学ぶ場づくりのニーズは高まっている。
 市は24年度予算案に支援教室の委託事業費として1700万円を計上する。教室の定員を10人から15人に拡大し、現場の体制強化も図る。浅野社長は「安心して生活できる環境形成に貢献したい。言語の壁を低くすることは子どもや保護者の不安を取り除くだけでなく、教育現場の負担減にもつながる」と強調する。

記者の目=教育支援の拡充必須
 人口減少や少子高齢化が喫緊の課題の牧之原市。社会基盤を支える存在として外国人材の必要性は高まっている。今後さらに移住者の増加が考えられる中、教育支援の拡充は不可欠だ。
 呼び込み促進や雇用支援にばかり目がいきがちな外国人対策だが、子を持つ親にとって子どもの教育環境の充実は大きな関心事だ。市では近年、専用の相談対応や情報発信窓口を設けてきたがいずれも成人以上が対象となるケースが多い。教育支援はより長期的な視野での支援になるだけでなく、家族全体の暮らし方に好影響をもたらす。
 外国人労働者の受け入れを巡り、国は新たに「育成就労制度」の導入や、家族の帯同を認める「特定技能2号」の対象拡大に動いている。他市町にはない支援体制の構築や強化を図り、定住人口の拡大につなげてほしい。
 (榛原支局・足立健太郎)

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