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志太榛原で総合防災訓練 地域と命守る、意識新た

 防災週間(8月30日~9月5日)に合わせ、志太榛原地域の各市町や自主防災会などは3日、地震などの大規模災害を想定した総合防災訓練を各地で実施した。災害発生時の応急対策を確認し、地域防災力の向上を図った。

川根本町、ドローンで物資迅速に
ドローンで輸送された物資を受け取る森下区長(手前右)=川根本町壱町河内地区  川根本町では南海トラフ地震の発生を想定し、孤立した集落に小型無人機で物資を届ける実証実験を行った。町によると、防災訓練でドローンによる物資輸送を実施したのは県内初。
 同町役場と旧南部小(同町下長尾)から、災害時に集落の孤立が想定される同町山間地の尾呂久保地区と壱町河内地区に、それぞれ非常食1・7キロを届けた。到着場所には周辺住民が集まり、物流専用ドローンの性能や災害時の対応について関係者と確認した。
 壱町河内地区は昨年9月の台風15号で道路が崩落し約2週間孤立した。当時は歩いて約4キロの崩落箇所で物資を受け取っていたという。同地区の森下一淑区長(65)は「高齢者が多い地区。荷物を持って長い坂を往復するのは大変だった」と振り返った。周辺の山が崩れる恐れがあるため、同地区の4世帯12人が避難していて、現在も自宅に戻れていない。
 同町の秋元伸哉副町長は「災害時だけでなく、買い物が難しい高齢者らに日常的に物資をドローンで届けられるようにしたい」と話した。ドローンは最大で5キロまで物資を運べる。事前にルートを設定すれば、自動で輸送が可能という。

藤枝、夜間避難の課題確認 中学生は居住場所を設営
夜間の停電時を想定し、居住スペースの設営に取り組む生徒ら=藤枝市立広幡中  藤枝市は2日夜、夜間の大規模災害に備えた総合防災訓練を市立広幡中で初めて実施した。地域住民約110人が参加し、夜間避難の危険箇所や、防災資機材の取り扱いなどを確認した。
夜間に藤枝市の指定避難所の広幡中に避難する地域住民=藤枝市上当間
 午後7時、南海トラフを震源域とする大規模地震が発生し、市内全域で震度6弱以上を観測したとの想定で行った。参加者は各町内会で指定されている一時避難所から市の指定避難所の同校に集まった。
 各班に分かれ、発電機の起動方法や投光器の設置訓練を実施。校内の施設が避難所として活用できるかどうかも確認した。同校の生徒約50人は体育館で夜間の停電時を想定し、暗い中で懐中電灯の明かりを頼りにパーティションや簡易ベッドなどを用いた居住スペースの設営に取り組んだ。
 志太消防本部も協力し、校舎内に要救助者が取り残されたとの想定で、はしご車を使った救助訓練を行った。
 市災害対策本部長の北村正平市長は「災害はいつ起こるか分からない。地域と行政、消防の関係機関と一体となって防災に備えていきたい」と述べた。

牧之原、避難所機能向上に力
防災資機材の設営に取り組む訓練参加者=牧之原市の相良コミュニティ防災センター  牧之原市の相良コミュニティ防災センターでは、有事に指定緊急避難場所としての機能を適切に果たすために、防災資機材の設営訓練が行われた。
 市内で震度7の揺れを観測した想定で行われ、参加者は最寄りの津波避難タワーに集まった後に、防災センターでの設営に取り組んだ。簡易ベッドやパーティションなどの組み立て訓練を行い、設営にどれだけの時間を要するかを確認したほか、完成したベッドに乗るなどして資機材の性能についても学んだ。
 相良区の伊藤剛好区長は「一時的な避難所として住民がストレスなく過ごすためにも訓練を継続していく必要がある」と話した。

吉田、デジタル技術で災害対応に備え
デジタル技術を活用した防災への備えに理解を深める訓練参加者=吉田町の住吉小  吉田町の住吉小では、地域住民がデジタル技術を活用した防災への備えに理解を深めた。
 同町は昨年度、各小中学校の体育館にWi-Fiを設置した。有事の際には避難者の利用が見込まれることから、訓練の重点事項として盛り込んだ。集まった住民らは自らの携帯端末を使って接続方法を確認。会場ではチラシなどで災害時に役立つ情報を発信する県のアプリ「静岡県防災」の利用も促した。
 町によると、訓練には町内約8600人が参加した。

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