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労働環境、改善は程遠く 保育士、幼稚園教諭切実な声 静岡新聞社アンケート結果【届かぬ声 子どもの現場は今】

 静岡新聞社が静岡県内の保育士や幼稚園教諭らを対象に行ったアンケートでは、回答者の3分の1を超える110人が任意の自由意見欄で切実な声を上げた。乳幼児期の子どもと関わり、成長を間近に見られる喜びを感じる一方、世間を騒がせた事件に動揺は隠せない。低水準の賃金、煩雑化する業務など厳しい労働条件下で保育の「質」を求められる現状に、疑問の矛先は国の保育政策や働き方そのものに向かう。今の社会が進む先に、子どもの幸せはあるのか―。保育者たちが明かした揺れ動く胸中を紹介する。(かっこ内は勤務先、雇用形態の順。離職者は直近の勤務先について表記)

負担の増大 ■研修、会議の時間足りず家庭犠牲/激務に違和感

 県中部30代女性(認定こども園、正規) こんなにもサービス残業をしているのに、市からは残業代が多すぎるから減らすようにとお達しが来ることもありました。残業代をつけているのは保育や会議、運動会などの行事くらいなのに、書類作成や教材準備、環境整備はほぼサービス残業や持ち帰りです。有能な人は早くに見切りをつけて去っていき、残った人の労働時間が長くなる悪循環がずっと続いています。

 県中部の30代女性(認可保育所、正規) 精神的な負担はもちろん、不適切保育に関する書類などの業務が増え、疲弊している職員も多いです。虐待は許されないことですが、保育士だって人間です。落ち込んだときや、危険なときは強い言葉で注意してしまうこともあります。その負の面だけを見て、マスメディアが取り上げることに疑問を感じています。

 県中部の60代以上女性(認定こども園、非正規) 無駄な書類が多すぎる。子どもたちの成長に役に立つものなら良いが、役に立たない無駄な仕事が多いと感じる。

 県中部の30代女性(幼稚園、正規) 「質の向上」を求められるようになり、研修や報告書も増え、日頃の業務も質を求められ、残業代はつかない。支援が必要な子は増え、保護者や管理職からの重圧もあります。そんな中でうつ病になり、辞める人は後を絶ちません。帰ってからも保育準備に行事や保育の反省で睡眠時間を削るしかありません。いつどこで事故が起こってもおかしくないのではないでしょうか。責めるべきは保育現場だけなのでしょうか。

 県中部の30代女性(認可保育所、正規) 保育園がサービス業化している中で、保育の質も高めるべきというのは厳しいと思います。保育士の声は聞く気がない。そのため退職率は増え、復職率は低いままだと思います。

 県西部の40代女性(認定こども園、非正規) 資格はあるが保育の職に就きたくないという人が周りに何人かいます。とてもやりがいのある仕事ですが、命を預かる仕事なので神経をすり減らしてしまうことも事実です。20代の頃は正規職員として働きましたが職場で上司と部下の間に挟まれ、心が病みそうになり退職しました。今は非常勤講師としてサポートしていますが、子育てをしながらの私には今の働き方がちょうど良いと感じます。

 県中部の60代以上女性(地域型保育施設、正規) 何の前ぶれもなく認定こども園になり、職場内はとても大変で書類や公開保育など職員の負担がとても多くなった。若い保育教諭の質が下がり、人数を確保するために誰でも入れてしまう傾向が強くなっている。若い保育教諭の指導に手がかかってしまう。

 県中部の30代女性(認定こども園、非正規) 小規模園が増えたことで職員の奪い合いになり一人の仕事量が増え、退職を選択する人が増えている。園は開かれたものであるべきではあるが、働く職員のモチベーションを保つことも大切。それがさまざまな事故の防止などにつながると思う。

 県西部の60代以上女性(認定こども園、非正規) 将来を担う子どもたちに豊かな心を育む保育をしたい。しかし、十分な研修や話し合いをする時間を確保できないのが現状。努力はしているが、夜の会議になるなどさらに負担が増えている。現場を知らない方の意見ばかりが優先されて、進められているように思う。子どもたちを受け入れる保育現場の土台作りが最優先ではないかと考える。

 県西部の20代男性(認定こども園、正規) 先輩保育士を見ると家庭を犠牲にしてまで遅くまで残業している方も多い現状です。残業代も全て出るわけでもないのに。自分の子どもをないがしろにしてまで他人の子どもを見ていることに違和感すら覚えてしまいます。働き手をもっと増やすには大幅に賃金を上げるほかにないと思います。

 県中部の40代女性(認可保育所、非正規) わが子のこと、家のこと、自分のことが後回しになりがち。それに見合う賃金や融通がきく職場ならよいのですが、家庭を考えると転職を考えてしまいます。

 県西部の20代女性(幼稚園、正規) 共働きが増えて子どもを見る人が足りない。私たちにも体力の限界があります。給料が上がればいいという問題でもない。

子育ての姿 ■社会の在り方問題/〝仕事優先〟危惧

 県中部の50代女性(NPO法人、非正規) 子育てをサービス業だと考えている今の社会そのものに問題があると感じています。子育てのメインは各家庭の中にあり、保育の現場だけでなく、子どもを取り巻く人々、地域も含めて皆で育てていってこそ、親も子も成長できる居心地のいい子育てが可能であり、地域も住み心地のいい場所になるように思います。

 県西部の30代女性(認可保育所、非正規) 希望保育の日でも預ける子どもが増えた。そのため、出勤になり昨年より休日が減った。給料は上がらない。このままだと辞める保育士が増えると思う。

 県西部の30代女性(幼稚園、正規) 持ち帰りの仕事も多く定時に帰る事はほぼ無いのに、世間では、子どもが帰ったら楽でしょう、子どもと遊んでいればいいみたいな捉え方をする人が、まだたくさんいる。私たちは、家庭やわが子との時間を犠牲にしながら働いているのにもかかわらず、世間との温度差がまだまだあるんだなあと感じている。何十人もの人の命を預かりながら、集団生活を通して生きる基盤を築いている大切な時期だということを、もっといろいろな人に知ってもらいたい。

 県東部の50代女性(認可保育所、非正規) 保育士たちは子どもを育てているんです。本当ならば親御さんが関わらなくてはならない子どもの感情を育んでいるんです。保育園に預けていてもお父さんお母さんが子どもとしっかり向き合ってほしいです。保護者の意識やモラルの低下も危惧しています。酷ですが子どもがいるのなら休みの日はないんです。それほど責任があるんです。国や自治体に言いたいことは、配置基準を変えられないのならば特別な事情がある家庭を除き「保育園の利用は保護者の仕事の日に限ること」を徹底してください。

 県西部の40代女性(認定こども園、非正規) 最近は子どものことは園任せな親が多く、特に仕事をしている親は忙しくて家庭で子どもとの時間が取れずお子さんが寂しい思いをしています。体や知識は人並みに成長していきますが、心の安定に目を向けないとその子の人間形成に影響があると思います。園でできることは限られていますので、保育士だけでなく家庭での親子の過ごし方も大切にしていただきたいです。

 県中部の50代女性(認定こども園、正規) 保育という営みは、本来であれば専門職であるはずだが、子育てに価値が置かれていない社会のあり方が物語っていると感じています。家庭での子育てに価値が置かれず、仕事優先社会となっているため、専門職としての価値を保育者自身も見いだせなくなっているのではないかと考えます。

 県中部の50代女性(認可保育所、正規) 保護者の要望が増大し、洋服の汚れ一つも苦情につながり気が休まらない。社会の働き方に問題があるままだからだと思う。保護者が子育てをしながら働くことへの理解の無さ。休めない、早く帰れない現実。保護者のゆとりの無さが、保育園への要望の増加につながっている。社会全体で子育てをと政府が言うなら、働き方が子育てに優しくならなければ、解決しない。

制度のひずみ ■公立、私立 待遇に差/配置基準見直しを


 県東部の40代女性(認可保育所、非正規) 起きてしまった事件を伝えることも大事ですが、背景にある保育の現場問題(配置基準や業務過多など)にクローズアップして保育士の実情を知っていただき、国が改善するきっかけとなり、子どもにより良い保育ができるようにしてほしい。

 県中部の20代女性(認定こども園、正規) 国には保育士不足がなぜ起きているのか、もっと現場に向き合ってもらいたい。保育士はサービス業ではないということを知ってほしい。

 県西部の20代女性(認定こども園、正規) 配置基準が満たされていないクラスがあり、監査のために書類上変えていたり、書類を書き直したりしたことがある。保育室の大きさや保育教諭の人数に対して、入園する人数が多すぎる。

 県西部の30代女性(幼稚園、正規) 私立と公立の差ができているように感じます。民営化する園が増えている中、質が低くなったり危機管理が薄れたり、子どものためでなく先生の負担を減らすための保育に変化していく不安もある。

 県東部の40代女性(幼稚園、正規) 政府の賃金待遇改善は、公立の職員には適用されていません。同じ保育士という立場で、公私の差が出てしまっていることが残念です。

 県東部の50代女性(認可保育所、正規) 処遇改善手当が出ていると言っても、園長の采配で払われるべき人材に払われず好き勝手に支払われており、また任命責務も不十分という実態に意見もできず、監査があってもそこまで調べず、いつまでたっても改善なんかされない現実である。

 県東部の40代女性(企業主導型保育園、正規) 保育者の職業価値が低すぎる。もっと国や社会が仕事の重要性を理解し、評価を上げてもらいたい。

 県東部の50代女性(認可保育所、正規) 乳幼児教育の重要性が浸透していない。ゆえに、保育所保育指針、幼稚園教育要領、こども園教育保育要領にのっとった教育保育よりも、見た目重視の傾向がある。配置基準の見直し、保育者の待遇の改善などに取り組んでほしい。

 県中部の40代女性(地域型保育施設、非正規) 昨年度1歳児15人を3人の保育士で保育しました。国の配置基準は1対6なので満たしていますが、それは常に満たされているわけではありません。例えば給食後、ひとりが給食の片付けをすると15人を2人の保育士でみることになります。さらに便が出るとおむつ交換(1人5分×数人)になり、この場合保育士1人で14人をみることになってしまいます。かみつきなどもあるため、保育するというより危険がないか見張ることが精いっぱいで、子どもと遊んであげるなどよりよい保育ができません。

 県中部の60代以上女性(地域型保育施設、非正規) 育てる方の力量、経験の差もあり、デメリットもかなりあるように思います。親が園を選び、ますます格差が出てきてしまいます。母親が子どもを産んですぐに働かなくてはならないこの時代、3歳くらいまでは、親子で子育てをゆっくり楽しめる時代にまた戻ることを期待します。

やりがいの陰で ■成長に喜び、業務に悩み/仲間の存在に支えられ

 県中部の40代女性(認可保育所、非正規) 保育士は大変な仕事で、体を壊すことも多い。子どもの病気をもらうことも多い。子どもが体調不良でも親が仕事を休んでくれず、保育園に来て、その病気を保育士がもらってしまう。疲れて辞めたい時もある。そんな時に給料が高い求人を見たら、いつでも辞められてしまう。だけど辞めないのは、やはり同じ保育士の立場で仲間がいるから。

 部の20代女性(認可保育所、正規) 保育の仕事はやりがいがある仕事だが、ただ子どもを見ているわけではなく、保護者対応や書類業務、行事があり忙しい。子どものいない時間に書類を進めるが、その時間は勤務時間の中ではほぼなく、持ち帰りや残業になっている。それでも仕事を続けている。虐待はだめだし、あってはならないことだが、メディアを見た人があれもこれもと保育士を責める状況に息苦しさ、保育士を続けるメリットを悩んでしまうことがある。

 県東部の40代女性(認定こども園、正規) 保育者は常にやりがい搾取をされていると感じています。加えて配慮が必要な子や、育児の全てを園に丸投げの保護者が増えているのも現状です。もっと余裕を持って子どもたちと向き合い、一人一人の育ちを大切にしてあげたいのです。

 県東部の50代女性(認定こども園、正規) 夢を持って保育士、幼稚園教諭、保育教諭になろうとしていても、待遇の悪さや仕事の過酷さ、いろいろな事が先に情報が入り、夢を捨てる人もいるようです。園は私たちの子どもが好きだという気持ちと努力と根性とで成り立ってるんじゃないかと思うのです。

 県中部の30代女性(認可保育所、非正規) 保育の仕事は、本当にやりがいのある仕事だなと思っていて、子どもたちの成長が近くで見られたり、時には保護者の方より先に成長した姿が見られたり。半面、保育士の事件が多発していて園外の方からどう見られているんだろうと気にするようになったのは事実です。

 県西部の30代女性(認可保育所、正規) やりがいを感じる仕事ではあるが、事あるごとにやりがいや子どもへの情をいいことに搾取されているように感じる時もある。子どもに対するお金は充実していくがそれを育てていく保育士に対するお金は上がっていない。保育士が子どもを産むために産休育休を取るとその分、他の保育士の負担だけが増えて喜びたくても喜べない時もある。

 県西部の50代女性(認定こども園、正規) 報道により保護者も保育士の言動や行動に敏感になってます。毎日の保育の中では子どもを叱る場面もあるのですが、正直、保護者の目も気になってしまう事もあります。一部分だけを切り取って考えてほしくない。

 県中部の40代女性(認可保育所、正規) やりがいを感じて保育をしてきたが、負担に見合わない給与や休憩が取れないなど、監査で見る書面上と現場の状況の違いが伝わりづらく、さまざまな原因で辞めたくなった。

離職者の意見 ■心身とも疲れ切った/第三者の目を入れて

 県西部の20代女性(認定こども園、正規) 2年前、結婚を機に保育教諭を退職しました。園からパートでも良いので残ってほしいとの話はありましたが、お断りしました。持ち帰り残業、サービス出勤、責任に対して低い給与、配慮が必要な子への対応で心身ともに疲れ切ってしまったからです。主人も保育教諭のため同じく給与が低く本来なら正規職員で私も働くべきなのだと思いますが、ほかの職種のパート勤務と給与が変わらないので、保育に復帰するメリットがありません。

 県東部の30代女性(認可保育所、正規) 私立の園はどうしても公立に比べて人員の配置換えがなく、狭い世界で保育を行ってしまっている。第三者の目を保育現場に入れるようにしてほしい。

 県中部の30代女性(児童発達支援センター、正規) 最近起きている事件事故は人数の問題だけでなくその園の体質でもあり保育士本人の支援者としての思いのなさだと思います。福祉は対人支援だからこそ本当にその支援者にかかっています。責任と誇りを持って働きますが、なぜか社会的地位が低く賃金も低い。そして、人手不足で誰でもなれる。良い人材が集まりにくい業界です。園が大きければ大きいほど、一人一人への目は届きにくいと感じます。

 県東部の40代女性(放課後等デイサービス、正規) 約20年保育園に勤めていました。初めて保育園で働き始めてから給与は3万円ほどしか増えていません。やりがいはありますが、やはり実績とお金がついていかなければ、保育士離れは加速すると思います。幼稚園、保育園だけではなく、福祉施設に勤めている保育士も多いです。子どもの様子をライブカメラで配信することは保護者は良いかもしれませんが、保育士にとっては監視され心身ともにストレスを感じる、耐えきれずに離職するなど不満は出てくると思います。

 県西部の60代以上女性(幼稚園、正規) 3歳以上の保育料が無償になったことにより、子どもを預けて働きたい親が増えた。働く人を増やすための政策に重きがあり、子育てに対する親の責任や自覚が薄れているように感じる。その分、園や保育者に求めるものが多い。

 県中部の50代女性(認可保育所、非正規) 保育士が配置基準を満たすと、クラスや保育から抜けて園内の掃除などの環境整備を職員交代でさせられた。保育士は子どもの命を預かる仕事なのに割に合っていない給料。非常勤は最低賃金に近い。人員不足で誰彼構わず雇うため、質の悪い保育をする職員も多い。子どもの成長や達成感、保護者からの感謝などのやりがいだけで続けていたと思う。

 県中部の40代女性(認定こども園、正規) これまで目が向けられなかった保育の実情に焦点が当たり、保育の闇が明らかになり、膿が出て、子ども一人一人の人権が尊重される園が当たり前になってほしいと願います。子どもは大人の目線やまなざしを肌で感じ成長しています。この重要な時期にどれだけ適切な関わりや主体的な遊びをしてきたかでその後の成長に影響があると思います。

 県中部の40代女性(認定こども園、正規) 以前幼稚園(現在はこども園)と認可保育園で働いていました。勤務していた幼稚園でもバス通園があり、私自身もバス補助を行っていました。だからこそ、なぜこんな出来事が起こってしまったのか理解できませんでした。当たり前のことを当たり前にできていなかった。誰か1人でも気にかけてくれる人がいたらこんな事にはならなかったはずなのに。深い憤りと怒りとでいっぱいでした。理由も分からず閉じ込められてしまった千奈ちゃん、保護者の方の気持ちを思うと本当に辛くて悲しくて、時を戻せたらどんなにいいだろうかと考えてしまいます。

低い賃金 ■人手不足拍車の恐れ/働いても生活できず

 県中部の40代女性(認可保育所、非正規) そもそも最低賃金と変わらない千円程度の時給では、求人を出しても保育士が集まらない。専門職にもかかわらず低い賃金が続く限り、人手不足からくる質の低下は(避けられず)絶望的です。パートの場合、1500円程度に時給を上げれば130万の壁は軽く超えられる。そうすれば、潜在保育士の発掘につながり、保育士が確保できると思う。配置基準を上げる案が出ているが、今の時給のままでは保育士が集まらず、問題解決にならない。

 県中部の30代女性(企業主導型保育園、非正規) 本当に賃金が安いです。正社員で16万、手取りにすると13万円程度が一般的です。この給料では生活できません。国家資格を取ってもこれではやりがいはありません。平均額が20万円とかそう言った情報すら信じられません。「そんなにもらっている保育士いますか?」と聞きたくなります。そして問題があれば保育士全員が悪い目で見られてしまいます。一生懸命働いてもこれでは保育士が辞めていくのは当然です。保育園に文句ばかり言っている世間の人たちは保育園を利用しなければいいんです。仕事を辞めて自分の子を育ててください。

 県中部の40代女性(認定こども園、正規) 配置基準の改定をする前に、保育業界の賃上げをする必要性を政府にも分かってもらいたいです。賃金が上がらないままだと、保育者不足に拍車がかかり、そのまま配置基準を見直したら預かれる子どもの人数も減ってしまい元も子もないです。たった9千円上がるだけでは納得いかないですし、実際、潜在保育者が戻ってきていないです。

 県中部の50代女性(地域型保育施設、正規) 以前、大きな保育園に勤めていた頃はトイレに行く間もないほど忙しく、その子のペースを待つゆとりも余裕もなかったけれど、今は小規模園で子ども3人に対し保育士1人で、その子の気持ちに寄り添った保育ができ、毎日楽しく保育しています。しかし、給与や保障面は雲泥の差で、今は正規職員ですが厚生年金ではありません。交渉しましたが駄目でした。働きやすさを取るか待遇面の良さを取るかしかないのでしょうか。

 県東部の30代女性(地域型保育施設、非正規) 国家資格なのにスーパーのパートさんより時給が低い時は本当にがっかりする。

事件の余波 ■「一部」に注目、不本意/努力と責任感知って

 県西部の20代女性(認定こども園、正規) 子どもに対しての不適切な保育だけを切り取られているが、どれだけ責任を持って何十人もの子どもを抱えているか真剣に考えてほしい。

 県東部の40代女性(認可保育所、正規) 一つの事件から保育全体が悪く言われてしまっている。ちゃんと子どもたちのことを考えて真剣に向き合っている保育士が多くいることを分かってほしい。

 県中部の40代女性(認可保育所、正規) 保育の闇は深いです。理不尽に子どもや保育士に暴言を吐いたり差別したりする怖い園長や主任がいる園で苦しんでいる保育士こそ、怖くて訴えられずにいます。言葉の暴力や虐待はそこら中にあります。

 県西部の50代女性(認定こども園、非正規) 以前の職場では子どもが事故に遭わないようにという考えからか、皆が同じことをするのを強制する保育が行われていて人権がないと感じました。保育者が園全体で勉強し合う時間と環境が必要だと思います。

 県中部の60代以上女性(認定こども園、非正規) 「人格形成」にとって最も重要な基礎となる乳幼児期の子どもたちと関われる仕事に誇りややりがいを感じる一方で、保育者の人格、保育の質が大きく問われる仕事であることに対し、自覚と責任も強く感じている者です。最近の園児バス置き去りや子どもへの虐待など、保育者としては、聞くに耐え難い悲しい事件が、県内で起こっているという事実は、本当に遺憾です。決して良いとはいえない労働条件の中でも、一人一人の子どもと真剣に向き合い、質の高い保育を目指し、努力している保育者、また保育施設も多くあることは事実です。

 ◇お断り それぞれの意見は取材班が要約、または要点部分を抜き出して掲載しています。

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