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南アルプス・小河内岳へ「ヘリハイキング」いかが 9月から静岡県観光協会 日本初、特別地域に着陸

 静岡県観光協会は25日、ヘリコプターで南アルプス・小河内岳山頂(標高2802メートル)付近に降り立つヘリハイキングを盛り込んだ「南アルプス国立公園アドベンチャーツアー」を企画したと発表した。同協会によると、観光目的で国立公園法の特別地域にヘリで着陸する試みは日本初。小河内岳の登頂には通常複数日要するが、同ツアーでは約20分の空の旅を楽しみながら登頂することができる。インバウンド(訪日客)を主なターゲットに9月1日から10月31日までの間、要予約で実施する。

静岡県観光協会らがヘリで視察に訪れた小河内岳の山頂付近。富士山と南アルプスが一望できる=2023年11月
静岡県観光協会らがヘリで視察に訪れた小河内岳の山頂付近。富士山と南アルプスが一望できる=2023年11月

 日本平ホテル(静岡市清水区)を出発しヘリで小河内岳を目指す。参加者は山頂付近で富士山や南アルプスの壮大な景色を眺めながら最大30分、徒歩で散策を楽しめる。下山後は、登山拠点である椹島ロッジ(同市葵区)やウイスキー醸造を行う井川蒸留所(同区)などを見学する。
 ツアーは県観光協会と南アルプスを管理する十山(静岡市葵区)、地域振興交流協会(同区)が共同で企画した。2023年2月に同協会の上田和佳事業統括ディレクターが、元赤石岳避難小屋管理人の榎田善行さん(68)からヘリで登頂するアイデアを聞いたことがきっかけとなった。強風が吹く高山で人を安全に降ろせる場所の選定や、特別地域への着陸許可などさまざまなハードルをクリアし実現した。
 上田さんはヘリハイキングの利点について「体力のない高齢者や子どもでも簡単にたどり着ける」と語る。「インバウンドだけでなく、県民向けのツアーも検討し南アルプスの魅力を多くの人に伝えたい」と意気込む。

 ヘリ活用「山に優しい」 川根本町の榎田さん、企画提案
 今回のツアー実現の一端を担った川根本町の榎田善行さん(68)は2021年秋頃、ヘリコプターで南アルプス・光岳(2592メートル)に登頂する企画を同町観光課に持ち込んだ。
 同町から光岳へ向かう唯一の登山道だった寸又峡林道が、06年ごろから土砂崩れで通行止めとなり、現在光岳へ向かうには静岡市側から複数日かけて登るルートが主流となっている。榎田さんは「南アルプスが町民から遠くなってしまっている」と危機感を示す。
 榎田さんの最初の企画は着陸許可の問題などで立ち消えとなったが、形を変えて実現した。元赤石岳避難小屋管理人でもある榎田さんはヘリを活用した登山について「登山道整備が必要ないため山にも優しい。今後町民が気軽に利用できるようになってほしい」と期待した。
 (島田支局・白鳥壱暉)

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