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大井川鉄道・神尾駅「タヌキ化計画」進行中! 無人駅を観光資源に スペシャルガチャも

タヌキの置物が並ぶ大井川鉄道神尾駅。駅名標を金色に変更するなど集客を図っている=1月下旬、島田市神尾
 大井川鉄道(本社・島田市)は、観光資源としてこれまでは比較的地味な存在だった無人駅にスポットを当て、駅を訪れてもらう企画を始動した。第1弾はタヌキの置物が数多く並ぶ神尾駅(同市神尾)に着目。駅名標を金色に変えておみくじ付きのガチャガチャを設置し、金谷ー神尾間の乗り放題切符も発売した。背景には、2022年秋の台風15号の影響で一部不通が長期化する中、現在の運行区間の魅力を改めて発信し、少しでも黒字化に近づけたい狙いがある。
さまざまなタヌキの置物が数多く並んでいる

 山あいに位置する神尾駅は、かつて集落の住民が通学などで利用していたが、車の普及などで利用客が減少。18年度の乗降人員は1日平均5人にとどまる。タヌキの置物の設置は、蒸気機関車(SL)に乗務して沿線を案内する「初代SL専務車掌」を務めた石原〆造さん(故人)が人々を楽しませようと、40年以上前の昭和50年代ごろに始めたとされる。
新たに設置されたおみくじと入場券付きのガチャガチャ
 大鉄は近隣に「合格駅」「門出駅」など縁起のよい駅名があることから、タヌキにちなみ「他を抜く」力にあやかろうと神尾駅に目を付けた。40体ほどだった置物を約60体に増やしたほか、設置したガチャガチャは入場券付きで、当たりは駅名を金色に箔(はく)押しするなど遊び心を加えた。駅近くには風情ある竹林や、造山運動を物語る地層「横臥褶曲(おうがしゅうきょく)」が見られる。
 乗り放題切符を使えば、門出駅隣接の商業施設「KADODE OOIGAWA」で食事や合格駅で合格祈願などの周遊も可能。曜日限定で臨時準急電車も運転する。企画初日に神尾駅に家族と訪れた会社員塩沢健さん(47)=焼津市=は「SLに乗る時は通過するだけだった。じっくりタヌキの置物や周辺を見る機会になり、小学生の息子も喜んでいる」と話した。
 全線での運行再開に必要な復旧費用は総額約22億円に上るとされ、現在も川根温泉笹間渡―千頭間で運転再開の見通しは立っていない。同社担当者は「今ある資源を改めて見直し、一歩ずつ乗客を増やす。〝開運路線〟として売り出したい」と声に力を込める。

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