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生産者の願い 「花のある暮らし」浸透へ【彩りをつなぐ 浜名湖花博2024㊦】

 「浜名湖花博2024」の開催地・浜松市は日本一のガーベラ生産量を誇る。「花を飾る楽しさを伝えたい。その中にガーベラがあればうれしいよね」。会場の一つ、はままつフラワーパーク(同市中央区)にほど近い庄内地区でガーベラ栽培に取り組む鈴木誠さん(65)は明るい笑顔で花博に寄せる期待を口にした。

ガーベラの生育状況を確認する鈴木誠さん(左)と藤野行宏さん=14日、浜松市中央区
ガーベラの生育状況を確認する鈴木誠さん(左)と藤野行宏さん=14日、浜松市中央区

 フラワーパーク会場では、4月18日の「ガーベラの日」を前に13日、花のボランティア活動などで活躍する俳優志穂美悦子さんが浜松開誠館高(中央区)の生徒らと共に花生けパフォーマンスを披露する。生ける花は鈴木さんたち11人の生産者でつくるJAとぴあ浜松の生産部会「浜松PCガーベラ」の400~500本。生産者たちは「当日はどうか晴天に」と願う。
 部会は市役所に100種以上の色鮮やかなガーベラで飾ったパネルを展示したり、音楽ユニットのライブ会場を花々で彩ったりと、長年にわたってガーベラのPRに力を入れてきた。
 PRに目覚めるきっかけになったのが20年前の浜名湖花博だ。当時の先端技術が並んだ「花みどり未来館」に「ガーベラの壁」としてずらりと花々を展示した。鈴木さんは「出展を通じてつながった人脈を生かしてさまざまなイベントに参加するようになった。市民のガーベラの認知度は当時の2割から今では4割くらいには上がったかな。まだまだ足りないけど」とひょうひょうと振り返る。
 だが、コロナ禍で生産者は苦しい経営状況に追い込まれた。もとより切り花需要が落ち込んでいた中、冠婚葬祭や贈り物の需要が激減したからだ。一時は他の花の栽培も考えるほどだったが、部会は「ガーベラを極めようとまとまった」(同部会の藤野行宏さん)。
 全国的に切り花の生産が落ち込んだ影響でガーベラの需要は高まり、単価としては直近20年で最も高い水準にまで回復した。20~30代の男性といった若年層の関心も高まっているといい、藤野さんは「ガーベラは150種ほどあり、アレンジ方法が豊富なことも知られてきた。花博を契機に、ガーベラに限らず好きな花を見つけてもらい、多くの人に花のある暮らしの素晴らしさを知ってほしい」と語った。
 (浜松総局・仲瀬駿介、宮崎浩一、白本俊樹、山川侑哉)

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