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旅の目的明確にし 行き先選択【非日常の宿坊旅へ③】

 「一番お薦めの宿坊はどこですか?」-これは私が100回以上は聞かれた質問です。ですが興味は人それぞれ。まず宿坊に行く目的をはっきりさせ、やりたいことを実現できそうな行き先を選ぶことが大切です。

宿坊が軒を連ねる長野の善光寺周辺の様子
宿坊が軒を連ねる長野の善光寺周辺の様子

 宿坊には大まかに3種類あります。一つは、和歌山の高野山や東京の御岳山など、大きな寺社の周りに造られた「宿坊街」です。中心の寺社に属する宿坊が集まるエリアで、江戸時代やそれ以前から続くところも多く、戦国武将にゆかりがあったり、文化財に指定される寺宝が伝わっていたりと、歴史や美術ファンにも人気があります。
 二つ目は、規模の大きな寺社に建てられた宿泊施設。例えば、全国の所属寺院を統括するさまざまな宗派の総本山や大本山の寺院には、その境内に宿坊が建っていることも多くあります。ホテルのような内装で快適に過ごせる所や、お坊さんにガイドをしてもらえたり、普段は入れないお堂に上がれたりと、大きな場所ならではの体験も魅力です。
 最後は、近年増えてきた地方の小さな寺社で宿坊が建てられるケース。これらは客室数が少なく、寺社の方との距離が近いことが特徴です。中にはお坊さんとお酒を飲んだり、人生相談ができたりする場所もあります。
 宿坊は規模や地域などにより特色が違います。座禅や写経をしたいのか、料理を重視したいのか、文化財に興味があるのか。宿坊に期待したいことを明確にしてから場所選びを始めましょう。
 ちなみに、泊まる上での決まり事を心配される人が多くいます。門限が設定されていることもありますが、大抵はそれほど厳しいルールはありません。ただ、宿坊は単なる宿としてではなく、お参りする気持ちを持って泊まるとよいでしょう。可能であれば、少し早起きして朝の法要や祈禱[きとう]に参加すると、宿坊の醍醐味[だいごみ]をより深く味わうことができます。
 (堀内克彦・宿坊研究会代表)

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