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木の葉に刻む優しい世界 「リト@葉っぱ切り絵」さん作品展 20日から静岡・駿府博物館

 手のひら大の木の葉に広がる、動物たちの優しい世界―。葉に施した切り絵がSNS(交流サイト)を通じて多くの人を魅了する「リト@葉っぱ切り絵」さんの作品展が、20日から静岡市駿河区の駿府博物館で開催される。発達障害の一つADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性である「過集中」を前向きに生かした創作についてリトさんが語った。
「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
 とにかく怒られてばかりの会社員でした。5年ほど前、ADHDだと診断されたときは「自分の生きづらさの原因がわかった」と、ほっとしました。逃げ出すように仕事を辞めました。
 葉っぱ切り絵との出合いは2020年。自分のペースでできることを仕事にしなくてはと、切羽詰まっていた時でした。スペインのアーティストの作品を見つけて、すぐに作りました。それまでさまざまな「アート」を試しましたが、葉っぱ切り絵が最もしっくりきたのです。
リト@葉っぱ切り絵さん
 制作はまず、考えたアイデアを画用紙にスケッチします。0・05ミリの極細水性ペンで葉に下描きをします。“設計図”になるので丁寧に。動物の目のような細かい部分から切り抜きます。大まかに余分な部分を切り取ってから、アウトラインに取りかかります。刃を何度も替えながら、細い線を切り落とさないよう、細心の注意を払います。
 できあがったら撮影。天気や背景を含めてタイトルを考えます。誰も傷つけないように、とげがないように心がけています。タイトルだけで何時間も悩むことも。
 日常のすべてがアイデアにつながります。今回初めて出品する「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、富士山を中心に置きました。見る人それぞれがすでに思い入れのある富士山はモチーフにしにくいのですが、浮世絵の世界に動物を入れ込むことで奥行きが生まれたと感じています。
 喜んでもらえることが制作の原動力です。葉っぱ切り絵を通して、心が温まる体験をしてもらえたらうれしい。そのために、今日も優しい世界を紡いでいきます。
(聞き手=教育文化部・名倉佐記)
「新しい一年もどうかよろしくね」「手ぶくろを買いに」「美味しい新茶で一息どうぞ」枯れないよう乾燥加工を施した葉っぱ、4ミリ幅のナイフ、極細水性ペンを使う
(作品写真はいずれも©リト@葉っぱ切り絵)
 りと@はっぱきりえ 1986年、神奈川生まれ。自身の発達障害(ADHD)による集中力やこだわりを前向きに生かすため、2020年からリーフアート(葉っぱ切り絵)を独学で制作。インスタグラムやツイッター(現X)にほぼ毎日投稿される作品が注目され、全国各地で展覧会を開催。「いつでも君のそばにいる」「離れていても伝えたい」など、作品集多数。

<リト@葉っぱ切り絵展 葉っぱの小旅行in静岡>
 ■会期 1月20日~3月3日
 ■会場 駿府博物館 静岡市駿河区登呂3の1の1<電054(284)3216>
 ■開館 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館。2月12日は開館し翌日休館
 ■観覧料 高校生以上800円
 ■関連イベント 「サイン会」1月20日午前11時~正午、午後1~3時。書籍購入者のみ
 ■主催 駿府博物館、静岡新聞社・静岡放送

 

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