テーマ : 富士市

大自在(10月21日)石油危機50年

 半世紀前の晩秋、日本は石油危機(オイルショック)のさなかだった。原油価格が上昇し物価が高騰した。物不足への不安から買いだめ・買い占めが横行し、それが物不足に拍車をかけた。象徴的だったのがトイレットペーパーだ。
 細かい記憶はないが社会が混乱していた覚えはある。物不足から社会不安が起きると、なぜトイレットペーパーが注目されるのか。新型コロナウイルス感染症が流行した2020年春、中国の生産活動が停滞して衛生用品不足の兆候が表れると、トイレットペーパーが不足するというデマが流れた。
 しかし、トイレットペーパーはほぼ国産。まして富士・富士宮地域は全国有数の生産地。富士市の生産量は全国で44・3%(21年)を占める。原料も再生古紙だ。ただ、買いだめが起きると店頭から商品が消える。それを見た人が不安に駆られる。
 温水洗浄便座を使うから紙切れが起きてもなんとかなる-。最初はそう思っていたが品切れ状況を見ているうちに列に並んでしまった自分がいた。これが群集心理なのだろうか。
 石油危機のきっかけは1973年10月に始まった第4次中東戦争。アラブ産油国が石油を戦略物資として原油価格の引き上げや禁輸をした。エネルギーで威嚇ができるのは資源国の強みだ。ウクライナに侵攻したロシアも天然ガス輸出を規制した
 日本では半世紀を経ても原油の中東依存は相変わらず。中東情勢の不安定さも同じで、パレスチナ・ガザの危機は混迷の度を増している。再びの石油危機がないよう願わずにはいられない。

いい茶0

富士市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞