テーマ : 牧之原市

ビジネスジェット 需要開拓の挑戦に注目【とうきょうウオッチ/記者余論】

 静岡空港を本拠地にする鈴与グループのフジビジネスジェット(FBJ、牧之原市)が9月中旬、新たに運航投入する中型機「ファルコン2000LXS」を東京の羽田空港で公開した。南はシンガポール、北はアラスカの範囲をカバーできる航続性能や豪華な機内の仕様とともに、興味を引かれたのはFBJが描いているこれからの事業戦略だった。

新型機ファルコンの前で、今後の事業戦略について説明するFBJの米原慎一社長=9月中旬、羽田空港
新型機ファルコンの前で、今後の事業戦略について説明するFBJの米原慎一社長=9月中旬、羽田空港

 ここ数年、多くの輸送機関が新型コロナ禍の影響を受ける中、ビジネスジェットは世界的にニーズが高まっている。時間を有効に使えるのに加え、接触感染リスクの低減を図れる点が好感されている。米国ではほとんどのローカル空港に就航し、アジアは中国を中心に1千機以上が使用されているそうだ。
 FBJでも保有するうちの1機を月曜日から金曜日まで松本空港(長野県)に置き、契約を結ぶ企業の技術者が庄内空港(山形県)との間を毎日行き来するのを支えているといった例があるという。ただ、海外に比べると日本のビジネスジェットの市場規模はまだまだ小さい。
 ファルコンの導入によりFBJは4機体制となり、将来は国際運航も視野に入れる。米原慎一社長は「本格的な事業の拡大を目指す。日本国内はもちろん、世界に羽ばたく」と宣言。機体の稼働率を高めてよりリーズナブルな料金を打ち出し、利用層を広げていく考えを説明した。
 新たな需要を開拓し、富裕層や大企業の経営者たちの移動手段という従来のビジネスジェットの概念を変えていくことができるか。静岡からの挑戦の行方に注目している。

いい茶0

牧之原市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞