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 “地域の目”11年 活動に幕 長泉3小学校スクールガード「どんぐりおじさん」80歳区切り 元警察官・渡辺さん

 長泉町立全3小学校のスクールガードリーダーを長年務めた元警察官が3月末、活動に幕を下ろした。自らに課した使命は「地元の子どもたちの安心安全な学校を守り抜くこと」。子育て世帯が多く住む地域の安全を守り通した。

 「無事に任務を終えてほっとした」。11年にわたり務めたのは、同町竹原の渡辺正幸さん(79)。秋になると子どもにどんぐりを配るため、「どんぐりおじさん」の愛称で親しまれるようになった。
 子どもを守る大切さを強く感じたのは、2001年6月、大阪府池田市の大阪教育大付属池田小で発生した殺傷事件。現役の警察官として小学生の登下校時に通学路のパトロールをしたり、学校に見回りに立ち寄ったりした。退職後、孫が小学生の時、スクールガードリーダーに。「自分の手の届く範囲ではあんな悲惨な事件を絶対に起こさせない」と誓った。
 長泉、南、北の3小学校を掛け持ちした。元警察官の知識と経験を生かし、正門や通用口付近などを重点的に巡回。敷地外から校内を見回す人や落ち着きのない人には積極的に声をかけ、教職員に無線で情報共有をした。町から支給を受けた特殊警棒を身に着け、「何かあれば、身をていして防御するつもりだった」。
 学校内の危険箇所を教職員に伝えたり、普段と様子が異なる子どもに声かけをしたりと、スクールガードにとどまらない活動を重ねた。南小2年生の小川敦聖君(7)は「けがをした時、一緒に保健室に付いてきてくれた。いつも近くで見守ってくれていた」と感謝する。
 学校の巡回日は、歩数計が1万5千歩を優に超える。渡辺さんは今年80歳を迎えるに当たり、活動に区切りを付けることに。「子どもたちから楽しい思い出をたくさんもらった。『ありがとう』と声をかけてくれることがやりがいだった」と振り返り、そっと校舎を後にした。
 (東部総局・天羽桜子)

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