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幼稚園で導入 エンゼル幼稚園(長泉町)【国際バカロレアとは? 静岡県内の認定校、全部取材しました④】

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 国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB)」。学校での導入が多い静岡県内で、幼稚園として認定されている長泉町のエンゼル幼稚園で活動内容を取材した。(取材は2024年1月)
どんな仕組み
 2020年にIBのPYP(Primary Years Programme)認定園となった。幼稚園教育要領改訂(18年4月施行)の審議が進む中、AIの進化などを踏まえて園内の教育課程を再検討し、世界的に認められる教育法の導入を決めた。
 PYPは決められた活動はないため、IBの理念に沿って活動を生み出す必要がある。同園ではIBの理念に則して、幼稚園教育要領を実践する。四つのユニットからなる年間計画をつくり、探究テーマや実現したい子どもの姿を設定している。
どんな活動 photo01   ユニットでの学びが、園内に掲示されていた
 毎年行われる発表会に向けてのユニットでは、各学年で年齢に合わせた表現を目指す。オペレッタに取り組む年少は、音楽やせりふに合わせて動きを楽しむ。クラスで選んだ絵本に沿い劇をつくる年中は、キャラクターやせりふを決める。年長では、それまでの学びの中から伝えたいテーマを自分たちで決める。ストーリーの起承転結を考え、話の流れ、せりふ、動きなどをクラスで相談して劇をつくり上げる。
どこがポイント photo01   外国出身講師と一緒に、英語の歌に合わせて園児が体を動かしていた
 園が重視するポイントの一つは、子どもが考えたり話し合ったりする場を生活の中につくること。工作の材料を子どもが自ら選択するといった日常の細かな点にとどまらず、演劇の事例のように内容自体を決めるといった中長期的な活動にも当てはまる。
 決められたプログラムに取り組むのでなく、自分たちで何をどうするかを決めて周囲と協力しながら成し遂げる。こうした経験をすることで、どんな環境にあっても自分の考えを持ち、自他を尊重して成長できるようになるという。
 PYPは国際的な大学入学資格を得られるDP(Diploma Programme・高2と高3で受講)とは異なり、成果が形で得られる訳ではない。「幼児期に目に見える結果を求めてはいない。子どもの成長過程で幼児期に体験して積み重ねたことが、徐々に開花していくと思っている」(野秋和弘園長)
 PYPはどのような言語でも提供可能だが、同園では将来必要になるとの理由で英語に力を入れている。通常の活動の中に英語遊びを取り入れるほか、希望者向けに1回40分のレッスンを毎日、提供している。

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