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静岡県立がんセンター患者死亡 県と担当医に5600万円の賠償命令 地裁

 2018年に富士宮市の医師の男性=当時(63)=が食道がんで死亡したのは静岡県立静岡がんセンター(長泉町)の過失が原因だとして男性の遺族が県と担当医に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は25日、県と担当医に約5600万円の支払いを命じた。

静岡地裁
静岡地裁

 判決によると、男性は17年11月に同センターを受診した。担当医は食道がんの存在を示唆する所見を見落とし、12月に口腔底がんの除去手術を行った。男性が18年3月に別の医療機関を受診したところ、食道がんの進行が発覚し、その後口腔底がんの再発も明らかになった。男性は同年10月に死亡した。県側は所見を見落とした過失と、過失によって男性が死亡したことを認めていたため、損害額が訴訟の主な争点だった。
 菊池裁判長は判決理由で、担当医は食道がんの見落としを認識する機会が複数回あったにも関わらず、気付かないままがんを進行させて死期を早めたとして「過失は重大」と指摘。見落としがなければ、死亡日より2年程度生存していた蓋然(がいぜん)性が認められるとして逸失利益を算出した。慰謝料も認めた一方で、口腔底がんの再発やその治療には「不適切な部分があったと認めることはできない」とし、治療費や通院交通費などは食道がんにかかる分を損害額と認めるのが相当とした。
 遺族側の代理人は取材に対し、判決内容に不服な点があるとして「ご遺族と相談の上、控訴を前提に検討したい」と述べた。同センター担当者は「判決を精査した上で必要に応じて対応する」とした。

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