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災害時、発電燃料シェアへ 静岡県東部企業や病院協力 BCP支援業者が実験、26年開始目標

 大規模災害に伴う長期停電に備え、非常用発電のエネルギー備蓄を企業間で補い合うための取り組みが静岡県内で始まった。11月、県東部の企業や病院の協力を得て、横浜市の民間企業が実証実験を実施した。燃料を共同管理することで保管場所の確保と運用コスト削減につなげ、災害時に最寄りの備蓄拠点から配送する試み。備蓄シェアリングサービス「BCPチャージ」として2026年の事業開始を目指す。

神奈川県平塚市からタンクローリーによる燃料配送を想定した実証実験=11月中旬、長泉町の特種東海製紙三島工場
神奈川県平塚市からタンクローリーによる燃料配送を想定した実証実験=11月中旬、長泉町の特種東海製紙三島工場


 防災・BCP(事業継続計画)対策支援を専門とするレジリエンスラボ(横浜市)が企画・運営する。同社によると、大規模災害が発生すると、1週間程度の長期停電が同時発生するため、BCPでは企業、自治体、病院などに外部からの供給なしで非常用電源を3日間稼働可能とする措置が求められる。ただ燃料は劣化や火災リスク、保管場所の確保などの観点から長期の大量保存が難しく、対応できる企業や自治体が少ないのが実情という。サービスは各社が運営費を出資し合い、燃料会社と連携して全国各地に設けた共同の備蓄拠点から、災害発生地域に燃料を運搬する仕組みを計画している。
 実証実験は、駿河湾を震源とする大規模地震が発生し、最寄りの備蓄拠点となる神奈川県平塚市からタンクローリーで特種東海製紙三島工場(長泉町)と三島中央病院(三島市)に配送する想定で行った。巨大な重油タンクと自家発電設備を所有する同工場の友竹義明工場長は「工場は県東部をカバーできる立地にある。災害時は病院や避難所への供給拠点として活用してほしい」と地域貢献に前向きな姿勢を示した。
 住宅街の中に位置する三島中央病院では、確実に通れるルートや道幅、給油口の形状などを確認。病院の防災担当者は「危険物である燃料の大量備蓄は難しく、災害時に確実に届けてもらえるサービスがあればありがたい」とする。
 同事業への参加企業は今後募り、安定した燃料供給を可能にするための保険商品開発を損害保険ジャパン(東京)と予定している。レジリエンスラボの沖山雅彦社長は「実現すれば、1社契約の10分の1以下のコストカットが可能になる見込み。検証を重ね、行政とも連携したい」と語った。
 (東部総局・菊地真生)

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