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テーマ : 焼津市

大自在(3月1日)ビキニ事件70年

 浜松市でロケが行われ、昨秋から公開中の怪獣映画「ゴジラ―1・0[マイナスワン]」は、終戦直後に時代設定されている。タイトルの「マイナス」は、敗戦でゼロになった日本がゴジラによってさらにマイナスの状況に追い込まれるという意味だという。
 日本で制作された実写版は30作目。第1作は終戦9年後の1954年11月に封切られた。その年3月1日の米国の水爆実験による放射能汚染禍「ビキニ事件」を強く反映。深海で生き延びていた恐竜が水爆実験により放射能を帯びた巨大怪獣になって人類に襲いかかった。
 焼津市歴史民俗資料館で始まった「被災70年特別展ヤイヅ1954」に展示されたこの映画のポスターに「水爆大怪獣」とあった。当時は広島、長崎の被爆の記憶も新しく、ゴジラの破壊力は核兵器の絶対悪を象徴していたのだろう。
 水爆実験では焼津港所属のマグロ漁船「第五福竜丸」などが被ばくした。特別展には、焼津の水産業、飲食業の風評被害や対応に忙殺された市役所の記録も並んでいる。目に見えない被害、記録に残りにくい思いを含め、語り継ぐべきことは多い。
 ビキニ事件、ゴジラ登場のころ、「鉄腕アトム」雑誌連載が始まっていた。主人公の少年ロボットは原子力がエネルギー源。
 原子力の軍事利用と、原発など平和利用はかつて別々に語られることが多かったが、東日本大震災を機に、コインの裏表として一層の緊張感をもって臨まなくてはならなくなった。さらにロシアのウクライナ侵攻で核廃絶への道のりは後退。「マイナス」にはできない。

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