「雪女」西欧文化から考察 焼津 八雲記念館で講演会
焼津小泉八雲記念館(焼津市三ケ名)でこのほど、小泉八雲作品「雪女」をテーマに同記念館元学芸員で常葉大の那須野絢子助教による講演会が開かれた。那須野さんは八雲作品に登場する雪女について、江戸時代の伝承でのモデルと違いがあることから、「日本と西欧の文化を融合させたヒロイン」と自説を展開した。
雪女は「怪談」に収録されている作品の一つだが、八雲の怪談作品で唯一原典や原話がないとされる。那須野さんは八雲が来日して初めての著作で、松江滞在時に聞いたとされる伝承の雪女について「さもしい顔をした化け物」などと表現していることを指摘。八雲作品の雪女について、語り継がれていた日本の雪女像と、西洋文学で流行していた「男を破滅させる魔性の女」のイメージを融合させることで「髪の長い美しい女性という雪女を作り上げた」と説明した。
講演は同記念館で来年1月8日まで開催中の「怪談」に収録された作品をテーマにした企画展の関連行事として行われた。