あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 富士宮市

中高年ライダー 静岡県内死亡事故相次ぐ 心は若くても… 体力自覚し安全運転を

 若いころ二輪車に親しんだ中高年が再び乗るようになる「リターンライダー」が新型コロナウイルス禍をきっかけに増えた一方、中高年の死亡事故が県内で相次いでいる。今年発生したオートバイの死亡事故8件中6件は50~60代で単独事故が目立つ。事故が増える年末、県警や販売店は速度を控えた走行や防護ウエア着用を呼びかける。

バイク販売店で中高年層への事故防止呼びかけを依頼する鈴木英文交通課長(右)=静岡市駿河区
バイク販売店で中高年層への事故防止呼びかけを依頼する鈴木英文交通課長(右)=静岡市駿河区


 10月上旬、静岡市駿河区の販売店「ホンダドリーム静岡」。静岡南署が店内への掲示を依頼したのは安全装備の徹底や安全運転を求める啓発チラシ。過去5年間のバイク事故死者の多くが頭や胸を損傷していたとして、チラシではヘルメットの顎ひもをしっかり締めることやエアバッグジャケットの着用を訴えた。鈴木英文交通課長はリターンライダーについて、「年齢を重ねるとともに視力や反応時間は変わる。若いころの感覚のまま運転するのは危険」と指摘し、「自分の運転技術を過信しないでほしい」と警鐘を鳴らした。
 行楽地の富士宮市根原の道の駅「朝霧高原」では全体の2割程度がバイク利用者。吉里正臣支配人は「中高年の割合が増えている印象。ユニホームをそろえた集団も多い」とし、「周辺の国道では野生動物も頻繁に顔を出す。安全運転を呼びかけたい」と話した。
 浜松市北区でバイクスクールなどを展開する「交通教育センターレインボー浜名湖」では、新型コロナ禍からリターンライダーの受講が増えているという。スクールでは初心者に交ざって学び直してもらっているといい、担当者は「分かっていたつもりのことにも危険が潜んでいる可能性をスクールを通じて体感してもらっている」と説明する。
 直近では浜松市天竜区龍山町で10月11日に急カーブの下り坂で転倒し、運転していた60代の男性が頭を強く打ち死亡する事故があった。中高年の死亡事故6件のうち2件は4月29日と7月2日にいずれも高速道路で発生し、それぞれ50代の運転者が中央分離帯などに衝突して転倒したり、高架橋外に落ちたりして死亡した。県警高速隊の塩野裕治副隊長は「バイクの運転は自分が思う以上に体力を消耗する。長距離運転時は小まめな休憩を取ってほしい」と訴えた。
 (社会部・吉田史弥)

▶ 追っかけ通知メールを受信する

富士宮市の記事一覧

他の追っかけを読む