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テーマ : 富士宮市

富士登山者数、コロナ禍前に回帰 宿泊も遭難も... 地元安堵と課題 絶えぬ無計画「入山料義務に」

 2013年の世界遺産登録から10年の節目となった富士山の夏山シーズンは、新型コロナウイルス禍前の水準まで登山者数がほぼ回復した。山小屋や山麓の観光関係者は、宿泊や観光客の回帰を安堵(あんど)する。一方で、コロナ禍前と同様にマナー違反や無計画な登山は無くならず、関係者は頭を痛めている。

4年ぶりに行動制限のない夏山シーズンを迎え、大勢の登山客が詰めかけた=8月2日、富士山頂
4年ぶりに行動制限のない夏山シーズンを迎え、大勢の登山客が詰めかけた=8月2日、富士山頂


 「7、8月は宿泊客が多くて好調だった。個人や団体、国籍を問わず特に外国人客が増えた」。富士宮市内でホテルを営む経営者は、4年ぶりに行動制限が解除された今季を振り返った。山梨側に比べると、本県側は元々外国人の来訪が少ない傾向にある中、別の山小屋関係者は「国籍の幅が広がった」と話した。須走口(小山町)では、豊かな植生を目当てにした欧米系の登山客も目立ったという。山梨側の宿泊施設の利用者増を受け、本県側への流入があったと指摘する関係者も見られた。
 開山前後の予想に反し、登山者数は13年以降の10年(20年は開山せず)で7番目の人数にとどまった。静岡県富士山世界遺産課によると、山小屋の多くは今夏の宿泊定員をコロナ禍と同程度にしていて、静岡側の定員総数はコロナ禍前の6割以下となった。両県4ルートで最も登山者が少ない御殿場ルートの山小屋関係者は「前年までの定員を維持したが、平日は空きもあった。うれしい悲鳴という事態にはならなかった」と話した。
 開山期間中の富士山での遭難事故件数は63件、70人(前年比13件増、19人増)で、コロナ禍前の水準に戻った。富士宮口山頂に常駐してSNSで安全啓発をしている写真家の植田めぐみさんは、台湾などの団体客や日本の若者が増えた一方、比較的高齢な登山者が減少したとして「登山者層が変化した」と指摘する。アウトドアブームの影響からか、国立公園内で禁止されている煮炊きをする若者を複数目撃し、「気温が下がる夕方に無計画に登頂し、火を炊いてやり過ごそうとしていた。入山料を義務化して、ルールやマナーを啓発する仕組みが必要」と求めた。
 (政治部・青島英治)

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