防火願い4時間念仏 富士宮 個人宅で8年ぶり
富士宮市の内野地区に江戸時代初期から伝わる火伏(ひぶせ)念仏が18日、同市内野の伊藤信夫さん方で行われた。六斎衆と呼ばれる住民6人が時折休憩を挟んで4時間ほど、念仏を唱えて防火を願った。
伊藤さん方に紫色の法被を着た六斎衆と、近隣住民約30人が集まった。「ナンマミダー」「ナンマイダブツ」と異なる節回しで何度も唱え、太鼓やかねを打ち鳴らした。
座敷には阿弥陀(あみだ)三尊の掛け軸を正面につるし、5色の紙で作った「御幣(おんべ)」や「四天王」などと呼ばれる装飾を付けたやぐらを設けた。念仏の最終盤になると、飾りの争奪戦が繰り広げられた。飾りは各家庭に持ち帰って防火のお守りにする。
火伏念仏は同地区で発生した2度の大火を機に、再び火事が起きないようにとの願いを込めて1684年に始まったとされ、市無形民俗文化財に指定されている。かつては新築や屋根をふき替えた家屋を「当家」として毎年順番に行う風習があったが、近年は内野区民館を会場にしていた。内野の住宅で実施するのは8年ぶり。